ガイ・フォークス・ナイト (ボンファイヤー・ナイト)
炎と自由、11月5日の英国スピリット
2025/11/04
毎年11月、イギリス各地の公園や広場は「ガイ・フォークス・ナイト(ボンファイヤー・ナイト)」の夜になると、炎と光と音の祭典に包まれます。11月5日の夜、何百万人もの人々が大きな焚き火の周りや花火の下に集い、火のきらめきやスパークラーの輝きに顔を照らされながら、秋の寒さを忘れて盛り上がります。都会の大きな公園から田舎の村のグリーンまで、ボンファイヤー・ナイトは家族や友人、そして火の興奮とコミュニティの温かさを求めるすべての人のための祝祭です。
ロンドンのバタシー・パークから歴史あるルイスの町まで、この夜はイギリス中が煙と伝統、光で満ちあふれます。子どもたちは花火に目を輝かせ、ティーンエイジャーはマシュマロを焼き、大人たちはホットサイダーを片手に、世代を超えて炎の前に集う…それがボンファイヤー・ナイトの醍醐味です。
主な見どころ
花火と巨大な焚き火
ボンファイヤー・ナイトの中心は、なんといっても花火大会です。イギリス全土の町や都市で、夜空を彩る大規模な花火ショーが開催され、爆音と鮮やかな光が秋の夜を照らします。花火はかつてガイ・フォークスが使おうとした火薬を象徴し、今では驚きと喜びのスペクタクルに変わりました。巨大な焚き火も欠かせない存在で、その熱気が11月の冷え込みを吹き飛ばします。多くの場所では「ガイ」と呼ばれる藁人形(ガイ・フォークスの人形)を焚き火の上で燃やす儀式も行われ、遊び心と歴史の象徴が融合した伝統です。
サセックス州ルイスのボンファイヤー・ナイトは特に有名で、松明行列やマーチングバンド、30以上のボンファイヤー・ソサエティによる大規模なパレードが町を練り歩きます。他にもロンドンのアレクサンドラ・パレスやバタシー・パーク、ケントのクエックス・パークなど、各地で個性的なイベントが開催されます。
仮装とパレード、炎に映える幻想的なデコレーション
特にルイスなどでは、仮装も大きな見どころ。ボンファイヤー・ソサエティのメンバーは、チューダー朝の王族や海賊、ストライプのセーターを着た“密輸業者”など、歴史や物語をテーマにした衣装を何ヶ月もかけて手作りします。街には松明やランタン、バナーがあふれ、子どもたちは自作の「ガイ」を引き連れて「A penny for the Guy」と声をかけながらパレードします。
カボチャやランタン、抗議や祝福のスローガンが描かれた旗など、デコレーションも多彩。薪や火薬の香りが秋の空気に混じり、どこかワイルドで祝祭的な雰囲気が漂います。
秋の夜に沁みる伝統グルメと温かなドリンク
ボンファイヤー・ナイトは五感を刺激するグルメの祭典でもあります。グリルで焼いたソーセージやホイル包みのベイクドポテト、真っ赤な砂糖でコーティングしたトフィーアップル(りんご飴)の甘い香りが漂います。北部ではパーキン(ジンジャー風味のオートミールケーキ)やボンファイヤー・トフィーが定番で、スパイスの効いた温かい味が秋の夜にぴったり。ホットサイダーやホットチョコレート、紅茶など、冷えた手を温める飲み物も人気です。
文化的・歴史的背景
ボンファイヤー・ナイトの起源は1605年11月5日、ガイ・フォークスと仲間たちが「火薬陰謀事件」で国会議事堂の爆破を企て、未遂に終わったことに由来します。陰謀の失敗はロンドン中で焚き火を焚いて祝われ、その後、議会の決議で11月5日は王の無事を祝う記念日となりました。
時代とともに、ボンファイヤー・ナイトは忠誠心の祭りから、抗議や自由の象徴、反骨精神を祝う複雑なイベントへと進化。ガイ人形を燃やす儀式は、非難とカタルシスの両方を意味し、花火は17世紀半ばにはすでに導入されていました。今ではイギリスのアイデンティティを映す“生きた伝統”として、団結・反骨・自由の精神を祝う夜となっています。多くの人にとって、炎と歴史のスペクタクルを通じて過去を思い、今を楽しむ大切な一夜です。
参加者の声
家族でバタシー・パークの花火と焚き火に行きました。子どもたちはスパークラーを振って、トフィーアップルをほおばり大はしゃぎ。花火を見ながら何時間もおしゃべり。まるで街全体が一つになって祝っているようでした。
面白い事実
- ボンファイヤー・ナイトは1605年以来毎年続く、イギリス最古級の伝統行事です。
- ルイスのボンファイヤー・ナイトは国内最大規模で、30以上のボンファイヤー・ソサエティ、数千人の参加者、時には時事ネタの人形も燃やされます。
- 「Remember, remember the 5th of November(11月5日を忘れるな)」は、火薬陰謀事件を語り継ぐ合言葉。
- 国会議事堂は今も開会前に衛兵による“火薬チェック”が行われています。
開催日程
ボンファイヤー・ナイトは毎年11月5日にイギリス全土で開催されます。ルイスやロンドン、各地の町や村で大規模なイベントや花火大会が行われ、一部では複数日にわたるパレードやショーもあります。
開催情報
名称 | ガイ・フォークス・ナイト (ボンファイヤー・ナイト) |
国 | イギリス |
エリア | イングランド, バタシーパーク |
開催時期 | 2025/11/04 |
リンク |
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