エディルネ国際カカヴァ祭り

春とロマ文化の活気あふれる祝祭

エディルネ国際カカヴァ祭りで、色彩、音楽、喜びが溢れ出す様子を体験してください。春の到来とロマ文化を祝うこの魅力的な祭りは、トルコの歴史ある都市エディルネで毎年5月5日から6日にかけて開催されます。街中は鮮やかな衣装を身にまとった人々で溢れ、リズミカルな音楽が響き渡り、魅惑的な香りが漂う中、訪れる人々はまるでおとぎ話の世界に迷い込んだかのような感覚を味わいます。7万人以上の地元民と国際的な訪問者が集まり、伝統や音楽、共同体の精神が華やかに表現される中で、春の訪れを迎えましょう。

主な見どころ

壮大なカカヴァの火

5月5日の夜、エディルネの中心地サライチに集まった群衆の期待に満ちた息遣いが聞こえる中、突如として巨大なカカヴァの火が点火されます。一瞬にして闇を切り裂く炎の柱が立ち上がり、周囲に集まった何千もの顔が赤々と照らし出されます。パチパチと燃え上がる火の音が、興奮した群衆のざわめきと混ざり合い、独特の雰囲気を醸し出します。

空気は燃える木の香ばしい匂いで満たされ、その中を縫うように、勇敢な参加者たちが次々と炎に挑みます。彼らが火を飛び越える瞬間、観客からの歓声が沸き起こり、まるで時が止まったかのような緊張感が漂います。飛び越えた者の顔には、達成感と来年への希望が満ち溢れています。

夜が更けるにつれ、火の周りでは踊りの輪が広がり、太鼓やバイオリンの音が鳴り響きます。炎に照らされた踊り手たちのシルエットが夜空に浮かび上がり、まるで幻想的な影絵のようです。火の熱と群衆のエネルギーが一体となり、その場にいる全ての人を包み込み、心に深く刻まれる忘れられない体験を生み出すのです。

トゥンジャ川の儀式

5月6日の夜明け、春を迎える儀式のためにトゥンジャ川の岸辺へ向かう行列に加わりましょう。涼やかな朝の空気が、咲き誇る花々の甘い香りを運んできて、参加者たちは穏やかな流れに足を浸します。水しぶきがはじける音とともに、笑い声や興奮した話し声が響き渡ります。人々が顔や足を洗う様子は、浄化と自然の目覚めを祝う象徴的な行為です。

この儀式では、色とりどりの願い紙が川に流され、来年への希望と夢を運びます。水面に映る朝日と共に、願い事が叶うことを願う参加者たちの姿は、まさに春の訪れを祝う美しい光景です。この瞬間は、エディルネの文化とロマの伝統が融合した特別なひとときであり、参加することで心からの感動を味わえることでしょう。

鮮やかな衣装とパフォーマンス

エディルネの街路は、伝統的な衣装を身にまとったロマのダンサーたちが生演奏の感染的なリズムに合わせて踊り、跳ねる様子で、万華鏡のような色彩に溢れます。深紅、エメラルドグリーン、金色の流れるようなスカートを着た女性たちが優雅に回転し、その動きに合わせて装飾品がチリンと鳴ります。刺繍入りのベストと幅広の帽子を身につけた男性たちが足を踏み鳴らし、手を叩き、その熱気が雰囲気を電撃的なものにします。アコーディオン、バイオリン、そして特徴的なダルブッカ(片面太鼓)のビートが空気に響き渡り、思わず踊りたくなるような衝動を生み出します。

美食の喜び

祭りに欠かせないのは感覚の饗宴であり、カカヴァ祭りはそれを存分に提供します。巨大なフライパンでエディルネ名物のタヴァ・ジイェル(フライドレバー)を調理する達人シェフたちの手によって、ジュージューと音を立てるレバーの香りが空気中に漂います。このカリカリで風味豊かな珍味を、ふわふわのピラウ(炊き込みご飯)と一緒に味わってください。豊かな味わいのバランスを取るために、さっぱりとしたヨーグルトドリンクのアイランで喉を潤しましょう。甘いものがお好みの方は、蜂蜜のような香りに誘われて、もう一つ食べたくなってしまう粘り気のある甘いロクマ(揚げ菓子)をお楽しみください。

文化的・歴史的背景

カカヴァ祭りは、ロマの人々の豊かな文化遺産と歴史的な旅路を体現する重要な行事です。その起源は、1400年以上前にさかのぼり、エジプトからの脱出という神話的な物語に根ざしています。伝説によると、ロマの英雄的指導者ババ・フィンゴが、聖書のモーセのように人々を紅海から安全に導いたとされています。この物語は、ロマの人々の強靭さと自由への渇望を象徴しており、カカヴァ祭りを通じて世代を超えて語り継がれています。

この祭りは、ロマの伝統とトルコのヒドレッレズ祭りが融合した独特の文化的表現です。エディルネの人々にとって、カカヴァは単なる春の訪れを祝う行事以上の意味を持ちます。それは、ロマの人々の文化的アイデンティティを祝福し、彼らの芸術、音楽、ダンスの豊かな遺産を披露する機会となっています。火を飛び越える儀式や川で身を清める行為は、古代からの浄化と再生の象徴であり、ロマの人々の精神的な価値観を反映しています。

2017年、ユネスコがこの祭りを無形文化遺産リストに登録したことは、カカヴァ祭りの文化的重要性が国際的に認められた証です。この認定は、ロマ文化の保存と世界との共有の重要性を強調し、多様性の尊重と文化間の対話を促進する上で重要な役割を果たしています。カカヴァ祭りは今や、ロマの伝統を称える地域の祭りから、文化的多様性を祝う国際的なイベントへと発展し、毎年世界中から多くの訪問者を魅了しています。

参加者の声

写真家として多くの祭りを取材してきましたが、カカヴァは私によって特別な場所を占めています。トゥンジャ川での夜明けの儀式を撮影することに集中していました。人々が水に願いを投げ入れる時の希望に満ちた表情を柔らかな朝の光が照らす様子は、本当に魔法のようでした。年配のロマの男性と話をする機会があり、彼が一つ一つの仕草の背後にある象徴性を説明してくれました。ババ・フィンゴと先祖の旅について語る彼の目は輝いていました。カカヴァが単なるカラフルなイベント以上のもの、世代をつなぐ生きた歴史の一部であることを実感しました。

面白い事実

  • 2018年、エディルネ市はカカヴァ祭りの期間中に「世界最大のレバーフライパン」でギネス世界記録を樹立し、市の名物タヴァ・ジイェルを壮大なスケールで披露しました。
  • カカヴァの火は1400年間絶え間なく燃え続けているとされ、ロマの人々の不滅の精神を象徴しています。

祭りの日程

エディルネ国際カカヴァ祭りは毎年5月5日から6日にかけて開催されます。

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実際の様子

Tokyo

photo by Rincewind42

Tokyo

photo by Steve Langguth

Tokyo

photo by Tracy Hunter


開催情報

名称 エディルネ国際カカヴァ祭り
トルコ
エリア エデルネ,
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