ベサク・デー
光と蓮、慈しみが満ちるシンガポール仏教最大の祝祭
2026/05/14
毎年5月、シンガポールの寺院や街角はベサク・デー(仏教の三大聖日)で神聖な光と祈りに包まれます。仏陀の誕生・悟り・入滅を記念するこの日は、仏教徒だけでなく多くの市民や旅行者も平和と優しさ、心の浄化を求めて寺院に集います。早朝の読経から夜のランタン行列まで、シンガポールの“生きた仏教文化”を体感できる特別な一日です。
サフラン色の僧侶、静かな読経の響き、線香と蓮の花の香り、何千ものキャンドルの柔らかな光。冷たい寺院の石床、精進料理のやさしい味、仏像に水を注ぐ手の感触、鳥や魚を放つ瞬間の希望と再生…。五感で感じるベサク・デーは、都会の中の“静寂と慈悲”の祝祭です。
主な見どころ
早朝の読経・祈り
仏牙寺やシュアンリン寺などの寺院では、夜明け前から僧侶や信者が集い、読経や瞑想、鐘の音に包まれます。朝焼けの金色の光と静寂の中、心が洗われるような時間が流れます。
仏像沐浴の儀式
ベサク・デーを象徴するのが「仏像沐浴」。香り高い水を幼い仏像に注ぎ、心と人生の浄化を願います。ジャスミンや花の香り、浮かぶ花びら、水の感触が“再生”を感じさせます。
灯明・ランタン行列
夜になると、寺院や街角は無数の灯明やランタンで幻想的な光に包まれます。信者や市民がキャンドルを灯し、ランタンを手に行列する光景は、静かでありながら圧倒的な美しさ。チャイナタウンでは何百ものランタンが流されることも。
慈善活動・お供え
ベサク・デーは善行の日でもあります。鳥や魚を放つ「放生」、寺院での炊き出しや寄付、献血など、慈悲の実践が各地で行われます。寺院周辺にはビーフンやカレー野菜、米粉菓子など精進料理の屋台も並び、誰でも無料で味わえます。
文化・歴史的背景
ベサク・デー(Vesak Day)の歴史は、19世紀末のシンガポールに中国、タイ、スリランカなどから移民が流入し、それぞれの仏教寺院を建立したことに始まります。最初期の仏教行事は主に中国系の観音堂やタイ・スリランカ系の寺院で、主に自分たちのコミュニティ内で静かに祝われていました。20世紀初頭には寺院の数も増え、仏教徒同士の交流や仏教団体の設立が進み、ベサク・デーが「仏陀の誕生・悟り・入滅」を祝う三大聖日として広く認知されるようになりました。
第二次世界大戦後、シンガポール社会の再建とともに宗教的な祭りの公共性が高まり、仏教団体や寺院が合同で大規模なベサク・デーの行事を開催するようになります。1950年代には仏教徒人口が急増し、1955年にはベサク・デーが正式な公的祝日として制定されました。これにより、宗派や出自を超えてシンガポール全体の仏教徒が一体となり、寺院での読経や仏像沐浴、慈善活動、ランタン行列など多彩な伝統行事が一般市民にも開かれるようになりました。
現代のベサク・デーは、仏教徒だけでなく、異なる宗教や民族の市民・観光客も参加する“開かれた祝祭”として発展。仏教の「慈悲・平和・気づき」という価値観を、都市生活の中で体感・共有できる日となっています。寺院では無料の精進料理やチャリティ活動が行われ、家族や世代を超えた交流、社会奉仕の機会としても重要な役割を果たしています。
参加者の声
観光で訪れ、仏像沐浴に招かれました。水をかけて祈り、夜はランタンの光を眺めて…温かく迎えられ、心が洗われる体験でした。
開催日程
ベサク・デーは毎年5月、シンガポール各地の仏教寺院や街角で開催。早朝の寺院参拝や仏像沐浴、夜のランタン行列に参加し、光と祈り、慈しみの空気をぜひ体験してください。
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