マンカ祭り
アンデス高地に息づく素焼き壺と人と交流の祭典
2026/10/17 - 2026/10/24
毎年10月、アルゼンチン北部フフイ州の高地都市ラ・キアカは、「マンカ・フィエスタ(素焼き壺の祭り)」で賑わいます。数日間にわたり、フフイやサルタ、ボリビア南部から集まった生産者や職人たちが、手作りの素焼き壺や織物、じゃがいもや豆、チーズなどを物々交換し、伝統料理を分け合い、アンデスの文化を祝います。市場には活気ある会話、フォルクローレ音楽、素焼き壺がぶつかる音、焼きとうもろこしや煮込みの香りが広がり、五感を刺激します。
マンカ・フィエスタは毎年10月第3~4日曜日にラ・キアカで開催され、地元の家族や旅する商人、観光客まで幅広く歓迎されます。何世代にもわたり続く物々交換の現場を体験し、地域の味や温かさ、アンデスのコミュニティの力強さを感じられる特別な機会です。
主な見どころ
大物々交換市
祭りの中心は青空の下で開かれる物々交換市。素焼き壺(マンカ)や織物、じゃがいも、豆、手作りチーズなどが並び、生産者や職人が「交換する」ことを通じて絆を深めます。市場はカラフルで活気にあふれ、ラバやロバが荷物を運び、旧鉄道跡地に青いタープが張られた独特の風景が広がります。
文化・歴史的背景
マンカ・フィエスタ(素焼き壺の祭り)の歴史は、アンデス高地の先住民社会にまでさかのぼります。インカ帝国時代、この地域は「カパック・ニャン(インカ道)」の重要な中継地点であり、各地から農産物や手工芸品が運ばれ、交易が盛んに行われていました。マンカ(ケチュア語で素焼き壺)は、物々交換の単位として使われ、じゃがいもや豆、トウモロコシ、チーズ、織物などを「壺一杯分」で交換するのが一般的でした。
スペイン植民地時代以降も、現金経済が十分に普及しなかった高地の村々では、物々交換市が生活の中心であり、マンカ・フィエスタは年に一度、遠方の農民や職人、商人が集まる最大の交流の場となりました。ラ・キアカの旧鉄道駅跡地や周辺の広場には、何百もの青いタープが張られ、ラバやロバ、ラマに荷物を積んだ人々が国境を越えて集まる光景が今も見られます。
この祭りは単なる物々交換市ではなく、アンデスの「アイニ(助け合い)」や「ミンカ(共同作業)」といった精神文化を体現する場でもあります。家族や親戚、古くからの友人が再会し、食事や音楽、パチャママ(大地の母)への感謝の儀式を分かち合うことで、地域コミュニティの絆が強まります。近年ではボリビアとアルゼンチン両国の生産者が国境を越えて参加し、国際的な交流の場としても発展しています。
現代のスーパーマーケットや商業流通が発達した今でも、マンカ・フィエスタは地域のアイデンティティや伝統を守る大切な年中行事として、多くの人々に受け継がれています。
豆知識
- 「マンカ」とはケチュア語で「素焼き壺」の意味で、もともとは物々交換の単位だった。
- 1980年代まで、多くの商人がラバやロバ、ラマに荷物を載せて高地を越えてやってきていた。
- 会場はラ・キアカ旧鉄道駅跡地で、青いタープが市場の目印。
開催日程
マンカ・フィエスタは毎年10月、フフイ州ラ・キアカで開催され、ピークは第3日曜日。
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