ファスナハト(ルツェルン・カーニバル)
湖畔に響く仮面と音楽と熱狂の一週間
2026/02/11 - 2026/02/17
毎年2月、中世の街ルツェルンは「ファスナハト(カーニバル)」の色と音と創造力であふれかえります。1週間にわたり湖畔の通りは仮面の人々、ブラスバンド、紙吹雪、奇抜な山車で埋め尽くされ、地元民も観光客も10万人以上がこの熱狂に酔いしれます。ルツェルン・カーニバルは五感と心を揺さぶる祝祭です。
夜明けのカウベルの音、羽根やスパンコールが舞う衣装、焼きアーモンドやホットワインの甘い香り、雪山に反響するグッゲンムジーク(ブラスバンド)のリズム…。伝統と幻想が湖畔で手を取り合う、ルツェルンならではのカーニバルです。
主な見どころ
フリッチパレード(Fritschiumzug)
祭りの幕開けを飾るのは伝説のフリッチ家が率いる「フリッチパレード」。2000人超の仮装参加者と40台以上の山車、奇抜な衣装のグッゲンムジーク(ブラスバンド)が旧市街を練り歩き、紙吹雪やお菓子をばらまきます。色彩と風刺、ユーモアが詰まった大行進です。
モンスターコンサート&グッゲンムジーク
祭り期間中は市内の広場や橋で「モンスターコンサート」が開かれ、グッゲンムジークの大合奏が夜遅くまで続きます。ブラスとドラムの大音響、笑い声、踊る人々…街全体が一体となる熱気が魅力です。
仮面舞踏会とストリートの熱狂
仮面舞踏会(Maskenbälle)ではホールが仮装の人々で埋まり、街中では即興パフォーマンスやイタズラ、遊び心いっぱいの交流が繰り広げられます。手作りの仮面はグロテスクなものからユーモラスなものまで多彩で、紙吹雪の感触やマスクの手触りも祭りの醍醐味です。
文化・歴史的背景
ルツェルン・カーニバルの起源は15世紀にまで遡ります。当時、カトリック教会の暦に従い、四旬節(イースター前の断食期間)の直前に冬の悪霊や厄災を追い払うための祭りが行われていました。最古の記録は1447年で、カーニバルの象徴的存在である「フリッチ家(Fritschi)」もこの年の文書に登場しています。フリッチ家は、豊穣や幸運、春の訪れを象徴するキャラクターであり、カーニバルの“ホスト”としてパレードや儀式の中心を担ってきました。
16世紀以降、宗教改革や社会の変化を経て、ルツェルン・カーニバルは単なる宗教行事から、風刺やユーモア、社会批判を盛り込んだ市民参加型の祝祭へと進化しました。市民は仮面やコスチュームで身を包み、音楽やパレード、寸劇などを通じて日常の秩序を逆転し、自由な表現を楽しむ場となりました。
19世紀以降、グッゲンムジーク(仮装ブラスバンド)や仮面舞踏会、山車などが加わり、現代の華やかで多彩なカーニバルへと発展。現在では毎年10万人以上が参加し、地元の人々にとっては人生の通過儀礼やコミュニティの絆を確かめる大切な一週間となっています。ルツェルン・カーニバルは、歴史・笑い・創造力が融合する“生きた伝統”として、世代を超えて受け継がれています。
参加者の声
フリッチパレードの迫力は圧巻。色と音とエネルギー…最初から最後まで純粋な楽しさに包まれました。仮面をつけると誰にでもなれる気がして、知らない人とも踊ったり、グッゲンムジークに混ざって大笑いしました。
豆知識
- グッゲンムジークは“わざと音を外して演奏する”のが伝統。
- 紙吹雪は至る所に…祭り後もポケットの中に残るとか。
開催日程
ルツェルン・カーニバルは毎年2月、ルツェルン市内各所で開催。湖畔で音と仮面と熱狂に包まれ、ファスナハトの魔法を全身で味わってみてください。
実際の様子

photo by Marcus Bohler

photo by Tobias Pflugshaupt

photo by christoph konrad

photo by christoph konrad

photo by christoph konrad

開催情報
名称 | ファスナハト(ルツェルン・カーニバル) |
国 | スイス |
エリア | ルツェルン |
開催時期 | 2026/02/11 - 2026/02/17 |
リンク |
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