カーリー・プジャ

ベンガルの夜を照らす女神と祈りの祭典


2026/11/05

毎年秋、カルティック月の新月の夜になると、ベンガルの街は無数の灯りと祈りの歌、そして力強いアートに包まれます。カリ・プジャーの夜、空気はお香とハイビスカスの香りで満ち、信者たちは煌めくパンダル(仮設祭壇)に集い、恐ろしくも慈悲深い女神カリを礼拝します。スピリチュアルな力とコミュニティの熱気が交差するこの祭りは、ベンガルの“生きた魂”を体感したい人にとって忘れられない体験となるでしょう。

カリ・プジャーは毎年、ヒンドゥー暦カルティック月の新月(通常10月か11月)に開催されます。中心地は西ベンガルですが、アッサム、オディシャ、トリプラ、ビハール、バングラデシュでも行われ、地元民やスピリチュアルな旅人、好奇心旺盛な旅行者がこの“ベンガルで最もエネルギッシュな夜”を求めて集まります。

主な見どころ

夜通しの儀式と女神像への礼拝

カリ・プジャーの中心は真夜中のカリ女神への礼拝。暗い肌に乱れた髪、首にドクロの花輪をかけた迫力あるカリ像が、華やかに飾られたパンダルの中央に鎮座します。信者たちは赤やオレンジの衣装で、ハイビスカスや米、豆、魚やココナッツなどを供え、太鼓やマントラのリズム、油灯やお香の香りが夜を神聖な雰囲気で包みます。

パンダル巡りとイルミネーション

ベンガル各地では、近隣同士が競い合って最も美しいパンダルを作り上げます。カラフルな電飾やアート、テーマ性のある装飾が夜の街を彩り、訪れる人々はパンダルを巡りながら芸術性や祭りの高揚感を楽しみます。花びらの感触や夜風、灯りのぬくもりが五感を刺激します。

伝統料理とお供え物

カリ・プジャーでは食も重要な役割を果たします。お供え(ボグ)にはキチュリ(豆ご飯)、揚げ魚、サンデーシュやラスグッラなどの甘味、果物などが並びます。ギーやココナッツ、スパイスの香りが家庭や屋台から漂い、儀式の後には家族や友人と深夜の食事を楽しむのが定番です。

衣装と装飾

信者たちは赤いサリーやクルタなど力強さと吉祥を象徴する衣装を身につけます。カリ像はハイビスカスの花輪や金の装飾、本物の武器で飾られることも。パンダルはマリーゴールドやバナナの葉、ランゴリ(色粉アート)で彩られ、油灯の揺れる光が女神の顔に神秘的な陰影を生み出します。

文化・歴史的背景

カリ・プジャーの起源は16世紀、タントラ学者クリシュナナンダ・アーガマヴァギシャが女神の啓示によりベンガルで初めて正式な礼拝を行ったことに始まります。18~19世紀のベンガル・ルネサンス期には、力や反骨、女性性の象徴として広まりました。現代ではドゥルガー・プジャーに次ぐベンガル最大級の祭りで、恐れと慈悲、守護と解放の女神として多くの人に親しまれています。

参加者の声

「コルカタで生まれ育ちましたが、カリ・プジャーの夜は毎年特別です。街中が光に包まれ、ダック太鼓の音が朝まで響きます。ハイビスカスをマ・カリに捧げる瞬間、守られている感覚になります。」― プリヤさん(地元住民)
「ムンバイから来た旅行者ですが、パンダルの芸術性と人々の温かさに驚きました。家族と一緒に深夜のボグを味わい、カリの多様な姿について語り合ったのが忘れられません。」― アニルさん(来訪者)
「私にとってカリ・プジャーは“恐れと向き合うこと”。祖母は“カリは内なる闇も外の闇も打ち破る存在”と教えてくれました。ご近所と灯りを灯し、マントラを唱えると、謙虚さと力強さの両方を感じます。」― リナさん(学生)

豆知識

  • カリ・プジャーはディワリと同じ日に開催されますが、インド各地でラクシュミー女神を祀るのに対し、ベンガルではカリ女神を祀ります。
  • 赤いハイビスカスはカリ女神の象徴で、必ず供えられる花です。
  • カリ・プジャーは地方によって「シャーマ・プジャー」「マハニシャ・プジャー」などとも呼ばれます。

開催日程

カリ・プジャーは毎年10月または11月の新月の夜、西ベンガルや東インド各地で開催されます。日程はヒンドゥー暦に基づきます。

開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。

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実際の様子


開催情報

名称 カーリー・プジャ
インド
エリア 西ベンガル
開催時期 2026/11/05
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