ルケトポレモス(ロケット花火戦争)
火花とライバル心が夜空を焦がす、ヒオス島のイースターの戦い
2026/04/10
毎年ギリシャ正教のイースター前夜、ヒオス島のヴロンタドス村は「ルケトポレモス(ロケット戦争)」と呼ばれる壮絶な火の祭典で熱狂に包まれます。深夜が近づくと、二つの教区が谷を挟んで何万発もの手作りロケットを撃ち合い、夜空が炎と轟音、歓声で染まります。スリルを求める人、写真愛好家、忘れられない体験をしたい旅人にとって、ルケトポレモスは五感を刺激する異次元の祭りです。
火薬の香りと緊張感が漂い、空にはオレンジや青の火線が走ります。地元の人も観光客も屋上やバリケードの裏に集まり、心臓が高鳴る中、ロケットが頭上を飛び交い、何世代にもわたるライバル心が火花となって夜を照らします。
主な見どころ
ロケット戦争:ヴロンタドスの真夜中の大乱舞
最大の見どころは、まさにこのロケット花火戦争。教会の鐘が真夜中を告げると、アギオス・マルコス教会とパナギア・エリティアニ教会のチームが、6万本以上もの手作りロケットに火をつけます。目的は、相手教会の鐘楼にできるだけ多く命中させること。谷を越えて火花が舞い、爆音と煙、火薬の匂いが村を包み込む様子は、まさに圧巻の一言です。
準備は数ヶ月にも及び、竹筒や火薬、粘土でロケットを作り、教会周辺には防護ネットや鉄板が張り巡らされます。戦いは数時間続き、途中で復活祭のミサや鐘のカウントも挟みつつ、最終的にどちらが多く命中させたかで勝敗が決まりますが、毎年のように両チームとも「自分たちが勝った」と主張し、伝統の火花は翌年へと受け継がれます。
文化・歴史的背景
ルケトポレモス(ロケット戦争)は、少なくともオスマン帝国時代まで遡る歴史を持つ伝統行事ですが、その起源には諸説あります。支配下でイースターを祝うために、ロケットや花火を使って抵抗や注意をそらしたという説や、さらに古い春の祭りに由来するという説も。ヴロンタドスの人々にとっては、地域の誇りや世代を超えたライバル心、そして伝統が家族やコミュニティを結びつける大切な象徴です。
安全面や規制の声もありつつ、このロケット戦争は今も島の精神と創造力の証として受け継がれています。地元の若者にとっては通過儀礼であり、観光客にとってはギリシャ文化の“最もワイルドで熱狂的な一夜”を体感できる貴重な機会です。
参加者の声
世界中の祭りを撮影してきましたが、ルケトポレモスは別格。音も色もカオスも、写真に収めるのは大変だけど一生忘れられません。
面白い事実
- 毎年6万本以上のロケットが使われ、火薬は最大500kgに及ぶことも。
- 両教会はワイヤーメッシュや金属板で防護され、戦いの間の損傷を防ぎます。
- 勝敗は毎年曖昧で、両教区とも「自分たちが勝った」と主張し、伝統は翌年へと続きます。
- ロケット作りは数ヶ月前から始まり、専門チームが試作や調整を繰り返します。
開催日程
ルケトポレモスは毎年、ギリシャ正教のイースター前夜にヒオス島ヴロンタドス村で開催されます。日程は正教会の暦によって毎年異なります。
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