ハリ・ラヤ・アイディルフィトリ

許しと家族、祝福があふれるシンガポールの春


2026/03/19

毎年春、シンガポールは「ハリ・ラヤ・アイディルフィトリ」の華やかさと連帯感に包まれます。ラマダン明けを祝うこの祭りは、イスラム教徒だけでなく、マレー文化や多民族社会の温かさを体感したい旅行者にもおすすめ。カンポン・グラムの煌めく街並みや、家庭でふるまわれるルンダンの香り、オープンハウスで交わされる笑顔と挨拶…すべてが感謝と再生、つながりの喜びに満ちています。

家々にはキラキラとしたライトやケトゥパット(ヤシの葉包みご飯)の飾りが揺れ、朝のモスクからは祈りの声が響き、ココナッツやスパイスの香りが町中に漂います。伝統と現代が溶け合うこの祝祭は、五感でマレー文化の豊かさとシンガポールの多様性を感じる旅へと誘います。

主な見どころ

カンポン・グラムのフェスティバル&バザール

歴史あるマレー人街カンポン・グラムは、ハリ・ラヤ期間中、最も賑わうエリア。通りには電飾がきらめき、バザールには伝統衣装や手作り雑貨、絶品グルメがずらり。コンパン(太鼓)のリズムやザピン舞踊、家族連れの笑い声があふれます。

オープンハウスと家族の集い

ハリ・ラヤの心は“家族と再会”。朝のモスクでの祈りの後は、親戚や友人宅を次々と訪れる「オープンハウス」の伝統があり、誰でも温かく迎えられます。テーブルにはケトゥパットやルンダン、サテ、カラフルなクエ(伝統菓子)が並び、挨拶や許し合いの言葉が飛び交います。

衣装とデコレーション

男性はバジュ・マラユ(ゆったりしたシャツとズボン、サンプンという腰布、ソンコッ帽)、女性は刺繍が美しいバジュ・クルンやクバヤを華やかな色で着こなします。家々にはケトゥパット飾りやライト、花が飾られ、温かく歓迎する雰囲気に。

伝統グルメ&スイーツ

ハリ・ラヤは食の祭典でもあります。ヤシの葉包みご飯「ケトゥパット」、スパイス香る牛肉煮込み「ルンダン」、ココナッツカレーのサユール・ロデ、サテ、色とりどりのクエ(伝統菓子)などが並び、ココナッツやレモングラス、スパイスの香りが食卓を彩ります。

文化・歴史的背景

ハリ・ラヤ・アイディルフィトリ(ハリ・ラヤ・プアサ)は、イスラム暦のラマダン(断食月)明けに祝われる「大きな祝祭日」という意味の祭り。イスラム教徒にとって感謝・許し・家族や地域との絆を新たにする大切な日です。シンガポールでは世代を超えた家族の集いから国民的祝日へと発展し、今では宗教や民族を問わず多くの市民が一緒に祝う“共生と尊重”の象徴となっています。

マレー文化とイスラム伝統に根ざしつつ、オープンハウスやバザール、パブリックイベントを通じて多民族社会の開かれた祝祭として現代に息づいています。許し合い、分かち合い、つながりを祝う“生きた伝統”です。

参加者の声

イスラム教徒ではないのに同僚のオープンハウスに招かれ、温かいもてなしとごちそうに感動。ケトゥパット包みも教えてもらい、コミュニティの一員になれた気分でした。

豆知識

  • シンガポールでは80万人以上のイスラム教徒とその家族・友人が祝う国民的祝日。
  • 家に入る前に靴を脱ぐのがマナー。
  • オープンハウスでは「グリーンパケット」と呼ばれるお年玉が子どもや若者に配られる。

開催日程

ハリ・ラヤ・アイディルフィトリは毎年春、シンガポール各地、特にカンポン・グラムやゲイラン・セライで盛大に祝われます。朝のモスクでの祈りやバザール巡り、オープンハウスのごちそうと笑顔に触れれば、シンガポールの温かな伝統と多文化の心をきっと感じられるはずです。

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実際の様子


開催情報

名称 ハリ・ラヤ・アイディルフィトリ
シンガポール
エリア カンポン・グラム
開催時期 2026/03/19
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