アルバカーキバルーンフェスティバル

砂漠の空に広がる色彩の万華鏡

毎年10月、ニューメキシコ州アルバカーキの空は、数百の熱気球が飛び立つアルバカーキ国際バルーンフェスタによって、息をのむような絵画へと変貌します。10月の第1週目に開催されるこの9日間の壮観なイベントは、毎年80万人以上の観客を魅了します。世界中から訪れた観客がバルーンフェスタパークに集まり、500機以上の気球が澄んだ秋の空気の中に上昇する圧巻の光景を目撃します。サンディア山脈を背景に、色とりどりの形の気球が織りなす魅惑的な光景が広がります。

主な見どころ

マスアセンション(Mass Ascension)

マスアセンションは、アルバカーキバルーンフェスタの最も壮大なイベントの一つです。「大量上昇」を意味するこのイベントでは、500機以上の気球が一斉に打ち上げられます。安全性を考慮し、気球は2波に分けて打ち上げられます。まず、午前7時頃から第1波が始まり、続いて第2波が打ち上げられます。黒と白の縞模様のシャツを着た「シマウマ」と呼ばれる打ち上げディレクターたちが、安全で秩序ある離陸を指揮します。広さ約80エーカー(約32ヘクタール)の打ち上げ場全体が、様々な色とデザインの気球で埋め尽くされ、空には数百の気球が浮かび、まるで動く虹のような光景を作り出します。マスアセンションは通常、週末の朝と水曜日に行われ、フェスティバルで最も人気のあるイベントの一つとなっています。

スペシャルシェイプロデオ(Special Shape Rodeo)

スペシャルシェイプロデオは、通常木曜日と金曜日に開催される特別なイベントです。「ロデオ」という名前が示すように、このイベントでは通常の球形ではなく、様々な形をした特殊形状の気球が主役となります。100機以上の特殊形状の気球が参加し、巨大なペンギン、ダース・ベイダー、スヌーピーの家、ウェディングケーキなど、想像を超える形の気球が次々と打ち上げられます。これらの気球の中には高さ100フィート(約30メートル)を超えるものもあり、製作には最大で40マイル(約64キロメートル)もの糸が使用されます。スペシャルシェイプロデオは、子供から大人まで幅広い観客を魅了し、フェスティバルの中でも特に写真撮影に人気のイベントです。

バルーングロー(Balloon Glow)

バルーングローは、夕暮れ時に行われる幻想的なイベントです。「グロー」は「輝く」という意味で、文字通り気球を輝かせるショーです。このイベントでは、数百機の気球が地上に係留されたまま、プロパンバーナーを点灯させます。音楽に合わせてパイロットたちがバーナーをコントロールし、気球を巨大なランタンのように光らせます。暗闇の中で気球が次々と明滅する様子は、まるで地上の星座のようです。「グロードー」と呼ばれる特別なバルーングローでは、特殊形状の気球も参加し、昼間とは全く異なる魅力を放ちます。イベントのクライマックスでは、全ての気球が一斉にバーナーを最大出力で点火する「オールバーン」が行われ、夜空が一瞬昼のように明るくなります。バルーングローの後には通常、華麗な花火大会が行われ、観客を魅了します。このイベントは、気球を間近で見られる貴重な機会であり、フェスティバルの中でも最も幻想的で人気の高いイベントの一つです。

文化的・歴史的背景

アルバカーキバルーンフェスタの起源は、1972年に地元ラジオ局KOBの50周年記念祝賀の一環として開催された小規模なイベントにさかのぼります。当時、わずか13機の気球がコロナドセンターモールの駐車場に集まりました。この控えめな始まりから、バルーンフェスタは急速に成長し、1978年には273機が参加する世界最大の気球イベントとなりました。現在では約600機の気球が参加し、50カ国以上から気球愛好家が集まる国際的な祭典へと発展しています。

バルーンフェスタは、アルバカーキの文化的アイデンティティの重要な一部となっています。このイベントは、ニューメキシコ州の多様な文化遺産を反映しており、ネイティブアメリカン、ヒスパニック、アングロの影響を色鮮やかに融合させています。例えば、特殊形状の気球の中には、地域の文化や歴史を象徴するデザインが多く見られます。また、フェスタ期間中は地元のアーティストによる展示や、伝統的な音楽パフォーマンスも行われ、バルーニング文化と地域の芸術文化が融合する場となっています。

アルバカーキの住民にとって、バルーンフェスタは単なる観光イベント以上の意味を持ちます。多くの地元の人々がボランティアとして参加し、世界中からの訪問者をもてなすことで、コミュニティの絆を強化しています。また、このイベントは地域の経済に大きく貢献し、毎年約80万人の観客を集め、数億ドルの経済効果をもたらしています。

バルーンフェスタは「世界で最も写真に撮られるイベント」としても知られており、毎年推定2500万枚以上の写真が撮影されます。この視覚的な魅力は、アルバカーキの青い空と、サンディア山脈を背景にした色とりどりの気球のコントラストによるものです。この独特の景観は、多くの地元アーティストにインスピレーションを与え、バルーンをテーマにした芸術作品が数多く生み出されています。

さらに、バルーンフェスタはアルバカーキの気球文化の中心的存在となっており、年間を通じて300人以上の地元気球乗りが活動しています。この数は全米で最も多く、アルバカーキが「世界の気球の首都」と呼ばれる所以となっています。フェスタを通じて培われた気球技術と知識は、次世代に継承され、地域の重要な文化的資産となっているのです。

参加者の声

私はこのバルーンフェスタに20年間通っていますが、飽きることはありません。今年は初めて孫を連れてきました。夜明けに最初の気球が膨らみ始めたときの孫の目の輝き、顔にバーナーの温もりを感じる瞬間 - まるで魔法を再び体験しているようでした。気球の外皮を広げる作業を手伝うこともできました。ここのコミュニティの雰囲気は素晴らしく、この美しい光景を共有しながら、見知らぬ人々が友人になっていくのです。
朝4時に起きてここに来ましたが、本当に価値がありました。ドーンパトロールの気球が暗い空を照らした瞬間、何か特別なものを目撃していると感じました。パイロットと会話を交わし、気球飛行の複雑さについて説明してもらいました。彼は私をチェイスクルーの手伝いにまで誘ってくれたんです!ここの人々のホスピタリティは、気球そのものと同じくらい心を高めてくれます。

面白い事実

  • バルーンフェスタは、毎年何百万枚もの写真が撮影される、世界で最も写真に撮られるイベントとされています。
  • 最大の特殊形状気球は高さ100フィート以上で、その外皮の製作には40マイル(約64km)の糸が必要です。
  • 「アルバカーキボックス」と呼ばれる風のパターンにより、気球が離陸地点のごく近くに着陸できることがあります。これは気球飛行では珍しい現象です。
  • 2000年には1,019機の気球が打ち上げられ、記録を樹立しましたが、現在は安全性と質を確保するために数が制限されています。

祭りの日程

アルバカーキ国際バルーンフェスタは、毎年10月の第1週目に開催されます。

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実際の様子

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photo by Lushy

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photo by Forsaken Fotos

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photo by gardener41


開催情報

名称 アルバカーキバルーンフェスティバル
アメリカ
エリア ニューメキシコ, アルバカーキ
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