シュローヴタイド・フットボール
アッシュボーンに響く2日間の壮絶なカオス
2026/02/16 - 2026/02/17
毎年2月、イングランド・ダービーシャー州の静かな市場町アッシュボーンは、2日間だけ泥と熱狂、そして何世紀にもわたるライバル心に包まれます。「ロイヤル・シュローブタイド・フットボール・マッチ」は、四旬節前の火曜日と水曜日(シュローブ・チューズデーとアッシュ・ウェンズデー)に開催される、町全体がフィールドとなる壮大な伝統行事です。これは単なる試合ではなく、町の人々の魂を揺さぶる生きた伝統。地元民も、歴史と混沌の魅力に惹かれてやってくる旅行者も、誰もが心を奪われる体験となるでしょう。
数百人、時には数千人が通りや野原、川にまであふれ、シュローブタイド・フットボールはコミュニティや歴史、そして組織的なカオスを愛するすべての人のための祭りです。
主な見どころ
主要イベント
祭りの中心は、まさにこの試合そのもの。毎年午後2時、ボールが観衆の中へ投げ込まれると、町は一気に熱気を帯びます。町は「アップアーズ」と「ダウンアーズ」に分かれ、ヘンモア川を基準に生まれた場所でチームが決まります。目的は、ボールを通りやフェンス、泥だらけの野原、川の中まで運び、3マイル離れたゴールポストに3回ぶつけること。
「ハグ」と呼ばれる巨大なスクラムは生き物のように動き、時には闇の中に消え、時には泥の海からボールが一瞬だけ現れます。人々の歓声、川を駆ける足音、プレイヤーの笑い声やうなり声、そしてゴールが決まった瞬間の大歓声―この音は一生忘れられません。
独特な衣装と装飾
ユニフォームはありませんが、多くの参加者は迷彩パンツや軍靴、アウトドア用の頑丈な服装で臨みます。服は破れても泥だらけになっても気にしません。毎年手描きされるボールは、地元の紋章や王室の紋章が描かれた芸術品。ゴールが決まると、得点者は仲間に担がれ、誇らしげにボールを掲げてグリーン・マン・パブまで凱旋します。
伝統的な食べ物と飲み物
シュローブタイドは、フットボールだけでなくごちそうの祭りでもあります。パブは地元民や観光客でごった返し、エールや揚げ物、そしてシュローブ・チューズデーには焼きたてのパンケーキの香りが立ち込めます。グリーン・マンなどのパブは事実上の本部となり、プレイヤーや観客にボリューム満点の食事やビールを提供。通りにも笑い声とビール、汗、泥の匂いが溢れ、これもまた祭りの一部です。
文化・歴史的背景
アッシュボーンのシュローブタイド・フットボールは少なくとも1667年には記録があり、実際にはさらに古い起源を持つと考えられています(初期の記録は火災で失われました)。この試合は中世の「モブ・フットボール」を直接受け継ぐもので、四旬節前の最後の解放の日に行われてきました。
アッシュボーンにとってシュローブタイドは単なる祭りではなく、町のアイデンティティそのもの。世代を超えて家族や友人が参加し、強い絆を育んできました。アップアーズとダウンアーズのライバル心は激しいものの、どこか温かく、地理や家族の歴史に根ざしています。多くの人にとってシュローブタイドは「血に刻まれた伝統」であり、町を離れてもこの日には帰ってくる人もいます。
参加者の声
「マンチェスターから動画で見て興味が湧き、実際に体験しに来ました。ダービーから来ていた学生グループと仲良くなり、彼らがルール(というよりルールのなさ)を教えてくれたり、観戦のベストスポットを案内してくれました。エネルギーがすごい!みんな歌ったり叫んだり、ただ泥に飛び込むだけでも楽しい。地元のエールも飲み、試合後はパブで盛り上がりました。こんな体験は初めて。何年経っても語り継ぎたい思い出です。
面白い事実
- ロイヤル・シュローブタイド・フットボールのボールは毎年手描きされ、ユニオンジャックやチューダー王冠が描かれ、川に浮かぶようにコルクが詰められています。
- ルールはほとんどなく、「殺人・傷害・車でのボール運搬は禁止」だけです。
- ゴールを決めた人はボールを持ち帰ることができ、後で再塗装して記念品にします。
- 地元では「クリスマスよりもシュローブタイドを休みたくない」と言われるほど重要なイベントです。
開催日程
開催情報
名称 | シュローヴタイド・フットボール |
国 | イギリス |
エリア | イングランド, アッシュボーン |
開催時期 | 2026/02/16 - 2026/02/17 |
リンク |
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