マラガのセマナサンタ
信仰と芸術、情熱が街を包むアンダルシアの春
2026/03/28 - 2026/04/04
毎年春、スペイン南部マラガの街は「セマナ・サンタ(聖週間)」の壮麗な舞台へと変貌します。1週間にわたり、街中に香るインセンス、太鼓とトランペットの響き、揺れるキャンドルの灯りの中、巨大な聖像行列が歴史ある中心街を練り歩きます。芸術や歴史、心揺さぶる体験を求める人にとって、マラガのセマナ・サンタは五感と心に深く残る祭典です。
毎年、枝の主日(Palm Sunday)から復活祭(Easter Sunday)まで開催され、地元の人々はもちろん世界中から多くの観光客が訪れます。何世紀も続く伝統美とバロック芸術、アンダルシア文化の情熱が凝縮された必見の祭りです。
主な見どころ
トロノ(聖像台)行列
セマナ・サンタの中心は、兄弟会(コフラディア)が担ぐ巨大なトロノ(聖像台)の行列。重さ5トンを超えるものもあり、金箔や花々、数百本のキャンドルに彩られたキリスト像や聖母像が夜の街を進みます。太鼓の重低音、トランペットの哀愁、バルコニーから響く「サエタ」と呼ばれるフラメンコ調の祈り歌。250人以上の担ぎ手(オンブレス・デ・トロノ)が一体となって運ぶ姿は、宗教的でありながら壮大なスペクタクルです。
主なイベント
毎日それぞれに見どころがあります。火曜日はマラガの花で飾られた「ペーニャの聖母」行列、水曜日は18世紀から続く「ヘスス・エル・リコ」の行列で囚人が恩赦される伝統、木曜日は軍楽隊が港から上陸してキリスト像を運ぶ「レギオネールのパレード」。金曜日は最も厳粛な雰囲気で、黒衣の喪服や重いトロノが印象的。日曜日は復活の喜びに満ちたパレードで祭りが幕を閉じます。
衣装と装飾
「ナサレノ」と呼ばれる参加者は、長いローブと先の尖ったフード(カピロテ)姿で行進。裸足や鎖を引く人もいて、兄弟会ごとに色や紋章が異なります。女性は黒いベールでキリストの死を悼み、道にはキャンドルの蝋が溶け、バルコニーにはビロードや花が飾られます。蝋の感触や絹の衣擦れ、揺れる灯りが幻想的な雰囲気を醸します。
伝統グルメ&ドリンク
セマナ・サンタは食の祭りでもあります。ひよこ豆とほうれん草の煮込み、バカラオ(タラ)のコロッケや煮込み、蜂蜜とアニスが香るペスティーニョ(揚げ菓子)、トリハ(スペイン風フレンチトースト)、ライスプディング、ブニュエロ(揚げドーナツ)など、春の空気にインセンスやオレンジの花の香りとともに甘い香りが漂います。
文化・歴史的背景
マラガのセマナ・サンタは15世紀末、カトリック両王による征服後に始まり、対抗宗教改革期に現在のような壮麗な行列や美術が発展しました。戦争や災害で中断もありましたが、現在は40以上の兄弟会が独自の聖像や儀式を守り続けています。地元の人々にとっては信仰と誇り、芸術と地域の絆を象徴する特別な一週間です。
地元の人にとっては感情と祈り、訪れる人にとってはマラガの魂を体感できる一大イベント。信仰の有無を問わず、美と伝統が人々をひとつにする力がこの祭りの魅力です。
参加者の声
観光客として参加しましたが、スケールと熱気に圧倒されました。担ぎ手の男性と話したら、“痛みも信仰の一部”と誇りを語ってくれて、祭りの見方が変わりました。
豆知識
- 一部のトロノ(聖像台)は重さ5トン超、250人以上で担ぎます。
- 水曜日の「ヘスス・エル・リコ」行列では18世紀から囚人の恩赦が行われています。
- 何千本ものキャンドルの蝋で道が滑りやすくなるため、しっかりした靴をおすすめします。
開催日程
セマナ・サンタ・エン・マラガは毎年、枝の主日から復活祭までスペイン・マラガで開催されます。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
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