パリオ
シエナの魂が燃える、誇りと情熱の伝統競馬祭
2026/07/01
毎年夏、シエナの中世都市は「パリオ」の熱狂と色彩、歓声に包まれます。4日間、貝殻型のカンポ広場は、何世紀にもわたり受け継がれたライバル心と華やかなパレード、そして轟く蹄音の舞台に変貌。歴史好きもスリルを求める人も、伝統が石畳に脈打つこの祭りで、人生最高の体験ができるはずです。
毎年7月2日と8月16日に開催されるパリオは、シエナ市民や17のコントラーダ(地区)の熱狂的な住民、そして世界中の観光客が集う祝祭。誇りと信仰、そしてコミュニティの絆を全身で味わえる、他に類を見ないイベントです。
主な見どころ
伝説の競馬レース
祭りの中心は、カンポ広場を舞台にした伝説の裸馬レース。各コントラーダを代表する10頭の馬が鞍なしで3周を駆け抜け、わずか90秒の勝負に全てを賭けます。観客の大歓声、土埃、旗の波、蹄の轟音…スピードだけでなく、街全体が感情で揺れるスペクタクルです。
歴史パレード(コルテオ・ストリコ)
レース前には、ルネサンス衣装に身を包んだ何百人もの市民が街を練り歩く大パレード。旗手や太鼓隊、トランペット隊が続き、各コントラーダの色と紋章が誇らしく掲げられます。ビロードやブロケードの重み、甲冑のきらめき、リズムを刻む太鼓の音が本番への高揚感を高めます。
コントラーダのライバル心と祝宴
パリオは単なるレースではありません。1年を通じて続くコントラーダ同士のライバル心と連帯感が頂点に達する瞬間。各地区では祝宴が開かれ、伝統歌やワイン、旗やバナーで彩られ、笑い声と友情が街を包みます。
衣装と装飾
参加者はルネサンス様式の華やかな衣装や羽帽子、甲冑をまとい、街中はコントラーダの旗やシルクのバナー、花で彩られます。重厚な布の手触り、石畳の冷たさ、カラフルな街並みがまるで生きたアートのよう。
伝統グルメ&ドリンク
パリオの醍醐味は祝宴にも。コントラーダのキッチンでは、ピチ(手打ちパスタ)のイノシシラグー、リボリータ(トスカーナ風パンと野菜のスープ)、ロースト肉やペコリーノチーズ、パネットーネやパンフォルテ(スパイス入りフルーツケーキ)などが並びます。地元のキアンティワインもふんだんに振る舞われ、肉やハーブの香りが広場に漂います。
文化・歴史的背景
パリオの起源は中世にさかのぼり、公式なレースは1633年に始まりました。7月はプロヴェンツァーノの聖母、8月は聖母被昇天を記念し、宗教的な信仰と市民の誇りが融合した祭りです。シエナ市民にとってパリオは、単なるレースでなく、アイデンティティと伝統、そしてコミュニティの力を象徴する“生きた心臓”なのです。
現在は4万人以上が広場に集い、世界中に中継されますが、その魂は今も地元の人々の中に強く息づいています。
参加者の声
オーストラリアからパリオを観に来ました。歌や太鼓、パレード、そしてレースの熱気に圧倒されました。地元の人が秘密の握手やライバル関係を教えてくれて、“ただのレースじゃない、人生そのもの”だと実感しました。
豆知識
- 騎手は鞍なしで馬に乗ります(裸馬レース)。
- 優勝馬は騎手が落馬してもゴールすれば勝ちです。
- 優勝賞品は「ドラッペローネ」と呼ばれる手描きのシルクバナーで、毎年異なるアーティストが制作します。
- レース用の土は広場の石畳に敷かれ、終了後すぐ撤去されます。
開催日程
パリオは毎年7月2日と8月16日、トスカーナ州シエナで開催されます。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
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