ジョーコ・デル・ポンテ(橋取り合戦)
勇気と誇りがぶつかるピサの橋上決戦
2026/06/26
毎年6月、ピサの象徴「ポンテ・ディ・メッツォ(中央橋)」は、街を二分する壮大な戦い「ジョーコ・デル・ポンテ(橋のゲーム)」の舞台となります。1年で最も熱いこの夜、ピサ市民は北側(トラモンターナ)と南側(メッゾジョルノ)に分かれ、古の伝統と誇りをかけて力と戦略を競い合います。太鼓のリズム、焼き肉の香り、何千人もの歓声が響く中、歴史が今も生きていることを全身で感じられる祭典です。
毎年6月最終土曜日に開催され、歴史や伝統、迫力ある競技を体感したい人にぴったり。地元の応援団も観光客も、ピサならではの情熱と色彩に巻き込まれる夏の一夜です。
主な見どころ
戦士たちの大行進
祭りは16世紀の衣装をまとった700人以上の大パレードからスタート。トランペットが鳴り響き、旗が舞い、甲冑姿の戦士たちが中世の街並みを堂々と練り歩きます。砂利道を踏みしめる音、ビロードや鎖帷子の重み、色鮮やかな旗がはためく光景が、これから始まる決戦への高揚感を高めます。
橋上バトル
夕暮れとともに、いよいよ本番。トラモンターナとメッゾジョルノの戦士たちが橋の両端に陣取り、巨大な鉄製トロッコを相手側へ押し込む力比べが始まります。金属のきしみ、戦士たちの掛け声、橋が揺れるほどの熱気と緊張感。観客の歓声も最高潮に達し、まさに全身で楽しむ決戦です。
衣装と装飾
参加者はルネサンス期を再現した甲冑やヘルメット、各地区ごとのカラフルな衣装を身にまといます。街には旗や紋章が飾られ、橋もライトアップや装飾で特別な雰囲気に。磨かれた金属の冷たさ、重厚な布の手触り、たいまつの灯りが石橋に映える光景も見どころです。
伝統グルメ&ドリンク
屋台やトラットリアでは、ポルケッタ(豚の丸焼き)、イノシシの煮込み、ペコリーノチーズ、焼きたてパンなどトスカーナの名物が並びます。グリルの香ばしさ、赤ワインの渋み、カントゥッチ(ビスコッティ)とヴィンサントの甘さが夜の空気を満たし、みんなで食卓を囲むのも祭りの醍醐味です。
文化・歴史的背景
ジョーコ・デル・ポンテの起源は13世紀にさかのぼり、中世の戦闘訓練や市民儀式が発展したもの。かつては素手や木製の盾で争う激しい戦いでしたが、20世紀に復活してからは、チームワークと伝統、街の誇りを競う平和な力比べに。ピサの人々にとっては、アイデンティティと結束、そして歴史を受け継ぐ象徴的な祭りです。
毎年数百人の参加者と数千人の観客が集い、ピサの街全体がルネサンス時代の舞台へと生まれ変わります。世代を超えて受け継がれる“橋のゲーム”は、地域の絆と誇りを再確認する夏の風物詩です。
参加者の声
フィレンツェから観戦に来ました。衣装や音楽、会場の熱気に圧倒されました。地元の人に“各地区が1年かけて準備する”と聞き、単なるゲーム以上の“誇り”を感じました。
豆知識
- バトルで使う鉄製トロッコは700kg超、20人の戦士が押し合います。
- かつてはあまりに激しく禁止された時期もありました。
- トラモンターナ・メッゾジョルノ両軍は、それぞれ6つの地区(色・紋章)に分かれます。
- Gioco del Ponteはイタリア語で「橋のゲーム」という意味です。
開催日程
ジョーコ・デル・ポンテは毎年6月最終土曜日、イタリア・ピサで開催されます。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
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