ヘミス・ツェチュ
ラダックに息づく舞と色彩と祈りの大祭
2026/06/30 - 2026/07/01
毎年夏、ラダックの奥地にあるヘミス僧院は、「ヘミス・ツェチュ」の祭りで色と音、絹の舞があふれます。澄んだ山の空気にホルンや太鼓の音が響き渡り、豪華な仮面と錦の衣装をまとった僧侶たちが、何世紀にもわたって巡礼者や旅人を魅了してきた神聖な舞(チャム)を披露します。ラダックの精神文化と伝統の真髄を体感したい人にとって、ヘミス・ツェチュは忘れられない生きた祝祭です。
この祭りは毎年6月または7月、レーから約45km離れたヘミス僧院で開催されます。地元民や仏教徒、世界中の旅人が集い、鮮やかな儀式や神秘的な舞、ヒマラヤの絶景を楽しみに訪れます。
主な見どころ
チャム(仮面舞踏)
ヘミス・ツェチュ最大の見どころは、僧院の中庭で繰り広げられる仮面舞踏「チャム」です。僧侶たちは神仏や動物、悪魔を象った精巧な仮面をかぶり、太鼓やホルン、シンバルの音に合わせて円を描くように舞います。善が悪を打ち破る物語が繰り広げられ、中央にはグル・リンポチェ(パドマサンバヴァ)の仮面が登場。絹の衣のひらめき、金糸の刺繍の輝き、ジュニパーの香りが漂い、神秘的で高揚感あふれる空間が生まれます。
巨大タンカ(仏画)のご開帳
12年に一度、祭りの2日目の朝に僧院の巨大タンカ(グル・リンポチェの仏画)が公開されます。何階建てにも及ぶ大きさで、ヒマラヤ中から巡礼者が集まる貴重な瞬間。鮮やかな色彩と緻密な絵柄が朝日に輝き、参拝者はカタ(祈りのスカーフ)を捧げ、加護と幸運を祈ります。
儀式と主要イベント
祭りは法螺貝や長いホルンの音で始まり、浄化の儀式や守護尊への供物が続きます。2日間にわたり、僧侶たちが舞踏やマントラの読誦、神話の戦いの再現を行います。祈りの声や旗のはためき、石畳の温もり、太陽の光が会場を包み、地元民も旅人も一緒に食事や物語を分かち合います。
衣装と装飾
僧侶たちは深紅や金、ターコイズ色の絹衣装に、頭上にはドクロや宝石、ヤクの毛で飾られた巨大な仮面をまといます。僧院は旗やバターランプ、花輪で美しく飾られ、石畳の冷たさやバターランプの揺らめき、インセンスの香り、山風の感触が五感を刺激します。
伝統料理&ドリンク
祭りの屋台や僧院の台所では、ラダック名物のトゥクパ(麺スープ)、モモ(蒸し餃子)、バター茶などが振る舞われます。大麦やヤクのバター、山のハーブの素朴で力強い味わいと、冷涼な空気、温かいスープやお茶のぬくもりが心身を癒します。
文化・歴史的背景
ヘミス・ツェチュは、8世紀にチベット仏教をラダックにもたらしたとされるグル・リンポチェ(パドマサンバヴァ)の生誕を祝う祭りです。18世紀、ヘミス僧院の創建とともに始まり、ドゥクパ派の重要な宗教行事となりました。ラダックの人々にとって、祖先と信仰をつなぐ大切な時間であり、チャムは土地の浄化と厄除けを願う力強い儀式です。
参加者の声
デリーからこの祭りのために来ましたが、仮面舞踏の迫力とエネルギーに圧倒されました。地元の人とバター茶や昔話を分かち合い、心が満たされる体験でした。
豆知識
- 巨大タンカ(仏画)は12年に一度だけ公開され、次回は2030年予定です。
- チャム(仮面舞踏)は地域全体の厄除けと幸運をもたらすと信じられています。
- ヘミス僧院は1672年創建、ラダックで最も裕福かつ影響力のある僧院です。
開催日程
ヘミス・ツェチュは毎年夏、レーから約45kmのヘミス僧院で開催されます。日程はチベット暦により毎年変動します。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
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