ブショーヤーラーシュ

仮面と炎、民俗が冬を追い払うハンガリーの祝祭


2026/02/11 - 2026/02/16

毎年2月、ハンガリー南部のドナウ河畔の町モハーチは「ブショーヤーラーシュ祭」の熱狂に包まれます。ユネスコ無形文化遺産にも登録されたこの祭りは、怪物のような木彫り仮面と羊毛のマントをまとった男たちが町を練り歩き、焚き火を囲んで踊り、冬を追い払い春を呼び込む古来の儀式。ブショーヤーラーシュは“神話と笑いが交錯する非日常”へと誘います。

牛の鈴の音、薪がはぜる音、焚き火とホットワインの香り、ピリ辛ソーセージや甘いお菓子の味、羊毛や木の仮面の手触り…。五感すべてが刺激される祝祭で、笑いと混沌、歴史とユーモアが町中にあふれます。

主な見どころ

ブショー仮面パレード

祭りの中心はブショー仮面のパレード。角付きの木彫り仮面と羊毛マント、ブーツ姿の「ブショー」たちが、牛の鈴や木のこん棒を鳴らしながらモハーチの町を練り歩きます。最後は広場で巨大な棺桶人形を燃やし、冬と邪気を追い払うクライマックスへ。

焚き火・ダンス・夜の祝祭

夕暮れには町や河畔に焚き火が灯り、ブショーや参加者が輪になって踊り、歌い、飲みかわします。タンブーラやアコーディオンのフォーク音楽が響き、年齢を問わず誰もが輪になってダンス。炎のぬくもりと人々の笑い声が、原始的でありながら温かい空気を生み出します。

衣装とデコレーション

ブショーの衣装は圧巻。手彫りの木仮面(大きな鼻や牙、角)、羊毛のマント、カラフルなサッシュ、重いブーツ。ラトルや牛の鈴、木のこん棒を持つ者も多く、馬車やトラクターに飾られて登場するグループも。町全体がバナーやランタン、民芸品で彩られ、モハーチが“生きたカーニバル”に変わります。

伝統グルメ&フード

屋台にはピリ辛コルバース(ソーセージ)、グヤーシュ、ラングシュ(揚げパン)、煙突ケーキやハチミツケーキなどが並びます。ホットワインやパーリンカ(果実ブランデー)、お茶も人気。焼き肉や薪、焼き菓子の香りが町に広がり、体も心も温まる味わいです。

文化・歴史的背景

ブショーヤーラーシュ祭の起源は16世紀、オスマン帝国によるハンガリー支配時代にさかのぼります。地元の伝説によれば、モハーチのショクチ人たちは圧政と恐怖の中、恐ろしい木彫り仮面と羊毛のマントを身につけて変装し、嵐の夜にドナウ川を渡って町に戻りました。彼らはラトルや牛の鈴で大きな音を立ててオスマン兵を脅かし、敵を町から追い払ったと伝えられています。この集団的な勇気と創意工夫の行動は、地域の抵抗と解放の象徴となりました。

やがてこの伝説は、冬の闇や悪霊を追い払い、春の豊穣と幸運を祈る儀式へと発展していきます。仮面行列や焚き火、棺桶人形の焼却といった劇的な要素は、古代の異教的な習俗と地域社会の不屈の精神を今に伝えています。

モハーチの人々にとってブショーヤーラーシュは単なる見世物ではありません。世代を超えた通過儀礼であり、家族や友人が再会し、創造性やレジリエンス、地域アイデンティティを祝う時間です。仮面作りや衣装の準備は家族で受け継がれ、子どもたちは祖先の歌や踊りを学びます。ハンガリー、クロアチア系(ショクチ人)など多様な文化が混ざり合うこの祭りは、地域の多文化性の象徴でもあります。

こうした深い歴史的・文化的意義が評価され、ブショーヤーラーシュは2009年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。現在では世界有数の民俗祭として、毎年何万人もの来訪者を集め、モハーチの精神を神話・儀式・コミュニティの力で今に伝えています。

参加者の声

観光客として参加したけど、エネルギーとおもてなしに感動。地元の人と踊り、グヤーシュや煙突ケーキを食べて、仮面もかぶって写真を撮った。ワイルドで楽しくて一生忘れない体験!この祭りはコミュニティそのもの。全国・海外から人が集まり、1週間だけみんなが同じ“ワイルドで楽しい部族”になるんです。

豆知識

  • Busójárásは「ブショー歩き」という意味で、ブショーは仮面の男たちのこと。
  • 木仮面は伝統的に手彫りで、家族で代々受け継がれることも。
  • 棺桶燃やしは“冬を埋葬し春を呼ぶ”劇的な儀式。

開催日程

ブショーヤーラーシュ祭は毎年2月、ハンガリー・モハーチで開催。仮面をかぶってパレードに飛び込み、炎と民俗が冬を追い払う“ワイルドな祝祭”をぜひ体験してください。

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実際の様子


開催情報

名称 ブショーヤーラーシュ
ハンガリー
エリア モハーチ
開催時期 2026/02/11 - 2026/02/16
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