セダンの中世の祭り

騎士と炎と饗宴が織りなす“生きた歴史絵巻”


2026/05/15 - 2026/05/16

毎年5月、ヨーロッパ最大の要塞「セダン城」が“中世の街”へと生まれ変わります。2日間で2万人以上が訪れるこの祭りでは、騎士や吟遊詩人、火のショーや古の職人技が城内外にあふれ、焼き肉の香りや剣の音が空気を満たします。歴史好きも家族連れも、非日常を味わいたい旅人も、誰もが“本物の中世”にタイムスリップできる特別な週末です。

会場はベルギー国境近く、アルデンヌ地方のセダン。お堀や中庭、城壁が舞台となり、再現劇や職人市、迫力のトーナメントが繰り広げられます。年齢を問わず楽しめる、まさに“生きている中世”が体験できるお祭りです。

主な見どころ

中世キャンプと“生きた歴史”体験

本格的な中世キャンプでは、焚き火での調理やリネン織り、武器鍛造やカリグラフィーなど、当時の暮らしが目の前で再現されます。薪やハーブ、鍛冶屋の音や語り部の声が響き、子どもも大人も弓矢やフェンシング、ポニー乗馬などを体験でき、歴史が“手で触れる”ものに変わります。

騎士トーナメント&戦闘ショー

お堀では鎧をまとった騎士たちが剣を交え、観客の大歓声の中でトーナメントや模擬戦が繰り広げられます。600席の観覧席がすぐ満席になる“騎士ショー”は、単なるデモンストレーションではなく、勇気と技巧と華やかさが融合した大迫力の舞台です。

炎のショーと夜のスペクタクル

夕暮れになると、お堀は火吹きやジャグラー、幻想的な花火で彩られます。音楽やダンス、炎が織りなす“ファイアーナイト”は祭りのクライマックス。古城の石壁が炎に照らされる光景は、まさに時空を超えた幻想世界です。

中世市とグルメ

城内外には100以上の屋台が並び、手縫いの衣装やアクセサリー、木製おもちゃ、スパイスや蜂蜜酒(ミード)などがずらり。串焼き肉やパイ、ホットワインの香りが漂い、タヴェルン(居酒屋)ではシチューや地ビール、中世風スパイスワイン「イポクラス」も味わえます。粗削りのベンチやはためく旗の下で、時代を超えた食体験を楽しめます。

衣装と装飾

来場者も再現者も、ローブや鎖かたびら、ベルベットのマント、羽根付き帽子など本格衣装で参加。城はカラフルなバナーや盾、ペナントで彩られ、屋台もリネンや花で飾られます。子ども向けの衣装レンタルもあり、誰でも“中世の住人”になれるのが魅力です。

文化・歴史的背景

セダン中世祭の起源は1976年、セダン城(Château Fort de Sedan)の建設600周年を記念して初めて開催されたことにさかのぼります。セダン城は1424年、ジャン・ド・ラ・マルク伯爵によって建てられたヨーロッパ最大級の要塞で、ムーズ川沿いの戦略的要地に位置し、長い間地域の防衛と独立の象徴でした。16世紀にはプロテスタントの拠点としても知られ、歴史の転換点に幾度も登場しています。

20世紀後半、城とその歴史的価値を地域社会で再発見し、観光資源として活用する動きが高まりました。そこで地元自治体や文化団体が中心となり、中世の生活や職人技、戦闘、芸術を再現する祭りとして「セダン中世祭」が誕生。甲冑や衣装、伝統料理、音楽、手工芸など、当時の文化を体感できるイベントが毎年5月に開催されるようになりました。

この祭りは単なる観光イベントではなく、セダンの人々が自分たちの歴史やアイデンティティを再確認し、世代を超えて地域の誇りを共有する重要な機会となっています。ヨーロッパ各地から歴史愛好家や再現団体、家族連れが集まり、現代と中世が交差する“生きた歴史”を体験できる、まさに地域の宝といえる祭りです。

参加者の声

城門をくぐった瞬間、まるでタイムスリップ。子どもたちは弓矢体験、私はお堀で騎士の決闘を観戦、焼き豚も絶品でした。気づけば市場で鍛冶屋と話し、手織りのスカーフやミードを楽しみ、吟遊詩人の音楽に浸っていました。ここまで没入できるお祭りは初めてです。木の剣と一生の思い出を持ち帰りました。

豆知識

  • セダン城は3万5千㎡、壁の厚さ最大7mを誇るヨーロッパ最大級の要塞です。

開催日程

セダン中世祭は毎年5月、アルデンヌ地方セダンのセダン城で開催。

開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。

続きを読む

実際の様子

Tokyo

photo by Monique Janray

Tokyo

photo by Darkroom Project


開催情報

名称 セダンの中世の祭り
フランス
エリア セダン
開催時期 2026/05/15 - 2026/05/16
リンク