羌年節（チャン族の新年祭）

四川省の山々に紅葉が広がり始める10月下旬、羌(チャン)族の村々では新年祭の準備が進められます。旧暦10月1日に開催されるこの祭りは、村全体を活気づけます。石造りの特徴的な塔「碉楼」には色鮮やかな祝祭の旗が翻り、村の広場では羊皮太鼓の響きが山々にこだまします。3日から5日間にわたり、村人たちは最高の民族衣装に身を包み、シビ（祭司）の導きのもと山の神への生贄の儀式を厳かに執り行います。その後、サラン舞や羊皮太鼓の踊りが広場を埋め尽くし、空気は香ばしい羊肉の匂いと甘い米酒の香りで満たされます。訪れた人々は、羌族の伝統的な歌や踊りに参加したり、刺繍の施された美しい民族衣装に見入ったりしながら、この古代からの伝統文化に浸ります。夜には各家庭で先祖を敬う儀式が行われ、コミュニティの絆が再確認されるのです。

神聖な山羊の生贄

轟音の羊皮太鼓の踊り

魅惑的なサラン舞

感覚の饗宴

羌族の新年祭の起源は2000年以上前、秦王朝（紀元前221-207年）以前にまでさかのぼります。これは羌族の人々が収穫に感謝し、先祖を敬い、来年の繁栄を確実にするための方法として生まれました。収穫期の終わりに祭りの時期を設定することで、厳しい冬の月を前にコミュニティが集まり、彼らの勤勉な労働を祝うことができました。

羌族の人々にとって、この祭りは彼らの過去、現在、そして未来を織り成す糸です。古代の伝統が若い世代に受け継がれ、彼らのユニークな文化の継続性を確保する時期です。儀式や祝祭は、羌族の自然、先祖、そしてお互いとの深いつながりを再確認します。急速に近代化する世界の中で、羌族の新年祭は、彼らの文化的アイデンティティの永続的な強さを鮮やかに思い起こさせるものとなっています。

この祭りの文化的重要性は国際的にも認められており、2008年6月に中国の国家無形文化遺産リストに登録された後、2009年にはユネスコの「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載されました。この登録は、2008年の四川大地震で多くの羌族の村々が破壊され、新年祭の存続が危ぶまれたことを受けてのものでした。これにより、羌族の新年祭の保護と継承に向けた取り組みが強化され、国家からの財政支援によってシビ（祭司）たちが知識と伝統を伝承する活動や、祭りに関連する石造りの村や塔の再建が進められています。

四川をバックパッカーで旅している時に羌族の新年祭に偶然出会い、それが旅の中で最も信じられない経験となりました。村に入った瞬間、祝祭的な雰囲気に包まれました - 空気は太鼓の音と香の匂いで満ちていました。シビが山羊の生贄を捧げる様子を畏敬の念を持って見守りました。儀式の厳粛さは手に取るようでした。言葉は理解できませんでしたが、深く心を動かされました。私の拙い中国語と彼らの限られた英語でコミュニケーションを取ろうと苦労する中で、言語の壁を超える経験があることに気づきました。この祭りは、私が知らなかった世界を垣間見せてくれ、次回の再訪を既に計画しています。」

• 祭りの日付は旧暦に従って毎年変わりますが、常に収穫が完了する晩秋に行われます。
• シビ、つまり羌族の祭司は、何千行もの口承の歴史と儀式の手順を暗記するために何年もの訓練を受けます。
• 祭りの多くの歌や詠唱で使用される羌語は、中国で最も古い言語の一つで、文字を持ちません。

羌族の新年祭は通常、旧暦10月1日から始まり、3〜5日間続きます。