オメガング
ブリュッセルが中世に蘇る壮麗な歴史絵巻
2026/06/30 - 2026/07/01
毎年夏、ブリュッセルのグラン・プラスは「オメガング」の舞台となり、街は中世の栄華と誇りで彩られます。ユネスコ無形文化遺産にも登録されたこのイベントでは、2夜にわたり、皇帝カール5世の凱旋入城を再現する壮大なパレードや音楽、色とりどりの衣装が広場を埋め尽くし、数千人が歴史の一員となる瞬間を体験します。歴史好きはもちろん、華やかな祭典やヨーロッパの伝統に触れたい人にもぴったりの、五感を刺激する夏の一大イベントです。
甲冑のぶつかる音、ローストナッツやスパイスの香り、たいまつの炎が石畳と歴史的建築を照らす幻想的な光景。オメガングは単なるショーではなく、誰もがブリュッセルの物語に飛び込める“生きた伝統”です。
主な見どころ
オメガング大行列
最大の見どころは、約1,400人が本格的な歴史衣装で練り歩く大パレード。1549年のカール5世と息子フェリペ2世のブリュッセル入城を再現し、騎士や貴婦人、鷹匠、音楽隊、ダンサーなどが続々登場。太鼓やトランペットの音、甲冑のきらめき、色鮮やかなバナーが広場を中世の祝祭空間に変えます。
主なイベント
パレード以外にも、中世のトーナメントや鷹狩りの実演、ストリートパフォーマンスなど盛りだくさん。近くのサブロン広場では「オメガング村」が開かれ、弓矢やクラフト体験、昔ながらのゲームなど家族で楽しめます。夜にはグラン・プラスで音と光のショーが行われ、歴史的建物が音楽とともにライトアップされる幻想的な演出も。
衣装と装飾
ビロードや刺繍、羽根飾り、輝く甲冑など、豪華な衣装はまるでルネサンス時代そのもの。グラン・プラスにはバナーや旗、たいまつが飾られ、干し草や花の香り、屋台から漂う焼き肉の匂いが混ざり合います。重厚な衣装の質感や、数百人のパフォーマーが一斉に歩く迫力も圧巻です。
伝統グルメ&ドリンク
屋台ではカリカリのフリッツや焼きソーセージ、ワッフル、地元ビールなどベルギー名物がずらり。中世風のスパイスナッツやハニーケーキ、ホットワインなども楽しめ、甘さや香ばしさ、スパイシーな香りが広場に漂います。食べ歩きも祭りの醍醐味です。
文化・歴史的背景
オメガングの起源は14世紀半ば、ブリュッセルのノートルダム・デュ・サブロン教会に聖母マリア像が祀られたことにさかのぼります。当時、ベアトリス・スートケンズがもたらしたとされるこの像を囲んで「輪になって歩く(オメガング)」宗教行列が始まりました。これは奇跡を祝う巡礼行事として地域に根付き、射手ギルドなど地元の団体も参加する重要な宗教・市民イベントとなっていきました。
1549年、神聖ローマ皇帝カール5世とその息子フェリペ2世がブリュッセルを公式訪問した際、街はこの伝統行列を壮大な歓迎セレモニーとして発展させました。皇帝一行のために市民やギルド、貴族たちが盛大なパレードを繰り広げたこの出来事が、現在のオメガングの原型となっています。
18世紀以降、オメガングは一時衰退しましたが、ベルギー独立100周年を記念した1930年の復活を経て、20世紀以降は毎年夏に開催されるブリュッセル最大の歴史祭典として定着しました。現在は約1,400人の出演者が本格的な衣装で参加し、本物のベルギー貴族が貴族役を務めるなど、歴史的リアリティと市民参加型の祝祭性が特徴です。
2019年にはユネスコ無形文化遺産に正式登録され、オメガングはブリュッセル市民の誇りと地域の結束、そしてヨーロッパの歴史文化を象徴する祭りとして、世界的にも高く評価されています。
参加者の声
グラン・プラスのバルコニーからパレードを見下ろすと、まるで歴史画の中にいるような気分。衣装や音楽、たいまつの光が本当に幻想的でした。現地のパフォーマーの方に話を聞くと、家族3代で参加しているそうで、その誇りが伝わってきました。
豆知識
- オメガングの行列は、ヨーロッパ史上最強の王カール5世の入城を再現している。
- 「オメガング」とは古オランダ語で「巡る・歩く」という意味。
- グラン・プラスはユネスコ世界遺産。
開催日程
オメガングは毎年7月初旬、ブリュッセルのグラン・プラスとサブロン地区で開催されます。最新の日程や詳細は公式サイトをご確認ください。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
実際の様子

photo by Natali Antonovich

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