アティ・アティアン
歴史と信仰が響く、踊りと太鼓のカーニバル
2026/01/10 - 2026/01/18
毎年1月、フィリピン・パナイ島のカリボの街は「アティ・アティアン祭り」で色彩とリズム、熱狂に包まれます。1週間にわたり、地元の人も観光客も顔を黒く塗り、カラフルな衣装をまとい、太鼓のビートに合わせて通りを踊り歩きます。サントニーニョ(幼きイエス像)への信仰と先住民アティ族への敬意が融合したこの祭りは、観客も参加者も一体となって楽しめる“生きた伝統”です。
毎年1月第3週に開催され、数万人が参加・見物に訪れます。信者も家族連れも観光客も、誰もが主役になれる、宗教と先住民文化、そして熱狂的なストリートパーティーが融合した唯一無二のフィリピンの祭りです。
主な見どころ
ストリートダンス&トライバルパレード
アティ・アティアンの中心は、トライバル(部族)ごとのグループ「トリブ」が通りを練り歩くストリートダンス。アティ族にインスパイアされた草スカートや羽根のヘッドドレス、顔や体を煤や炭で黒く塗った姿が特徴です。何百もの太鼓とゴングが鳴り響き、「ハラ・ビラ!ビバ・セニョール・サントニーニョ!」の掛け声が飛び交い、観客も一緒に踊り出す“熱狂の渦”が生まれます。
主なイベント
祭り期間中は、サッズァッド(Sadsad)と呼ばれるストリートダンスコンテスト、サントニーニョ像の宗教行列、巨大人形「ヒガンテ」パレード、夜のコンサート、アクラン・デーの市民パレード、「ムチャ・イット・カリボ」ビューティーページェントなど盛りだくさん。最終日にはカリボ大聖堂で厳かなミサと大行列、そして最後の大ダンスが行われます。
衣装と装飾
草スカートや貝殻のネックレス、カラフルなビーズや羽根のケープなど、手作り感あふれる創造的な衣装が特徴。多くの参加者が顔や体を黒く塗り、アティ族への敬意を表します。通りにはストリーマーやヤシの葉、バナーが飾られ、お香の香りや紙吹雪の感触が祭り気分を盛り上げます。
文化・歴史的背景
アティ・アティアン祭りの歴史は、13世紀にまでさかのぼります。伝説によれば、ボルネオからやってきた10人のマレー系首長(ダトゥ)が、パナイ島に漂着し、当時この地に住んでいた先住民アティ族の王マリクサと交渉。土地と引き換えに黄金や宝石、織物などを贈り、平和的に共存することとなりました。新天地を得た移民たちは、アティ族への感謝の気持ちを表すため、自分たちの顔や体を黒く塗り、アティ族の踊りや音楽を真似て一緒に祝宴を開いたと伝えられています。
この伝説的な出会いと友好の物語が、アティ・アティアンの原型です。16世紀にスペイン人がフィリピンに到来しキリスト教が広まると、祭りにはカトリックの要素が加わり、幼きイエス(サントニーニョ)への信仰と融合しました。現在のアティ・アティアンは、先住民文化・歴史・カトリック信仰が一体となった“生きた祝祭”として、カリボの人々のアイデンティティや感謝、信仰の表現となっています。
この祭りは、単なる観光イベントではなく、地域の誇りと絆を強め、世代を超えて受け継がれる“変わり続ける伝統”です。カリボの家庭では、祭りの準備や踊り、衣装作りを通じて家族や友人、地域社会とのつながりを深め、訪れる人々も温かく迎え入れられます。アティ・アティアンは、過去と現在、信仰と文化、地域と世界を結ぶフィリピンを代表する祭りなのです。
参加者の声
オーストラリアから写真を見て参加を決意。現地のグループに誘われて、グリル魚やもち米、ココナッツウォーターをごちそうに。夜には裸足で知らない人たちと一緒に踊り、まるで昔からの友達のような気分でした。
豆知識
- アティ・アティアンは「フィリピンのすべての祭りの母」と呼ばれ、シヌログやディナギャンなど他の有名祭りのルーツでもある。
- 「ハラ・ビラ!」は「思い切りやれ!」という意味の掛け声。
- 地元・観光客問わず誰でもストリートダンスに参加できる、フィリピンでも最も“参加型”の祭りのひとつ。
開催日程
アティ・アティアン祭りは毎年1月、フィリピン・パナイ島アクラン州カリボで開催されます。
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