聖コンスタンティヌスのアルディエ
信仰と熱狂、サルデーニャに響く伝説の騎馬祭
2026/07/04 - 2026/07/06
毎年7月、サルデーニャ島北部の小さな村セディーロは、「サン・コスタンティーノのアルディア」の熱気と興奮に包まれます。3日間、数万人が集い、皇帝コンスタンティヌスの伝説的な戦いを再現する勇壮な騎馬レースと宗教巡礼を見守ります。銃声が鳴り響き、草の香りと火薬の匂い、馬の蹄音と観衆の歓声が渦巻く中、歴史と信仰が今も生きていることを全身で感じられるお祭りです。
毎年7月5日から7日に開催され、地元住民や巡礼者、伝統を体感したい旅行者まで、約5万人がセディーロに集結。人口3,000人の村が、信仰とスペクタクル、そして伝説の熱狂に包まれます。
主な見どころ
荒々しい騎馬レース
祭りの中心は、サン・コスタンティーノ聖堂を駆け抜ける迫力満点の騎馬レース。数十人の騎手が急斜面を一気に駆け下り、聖堂を7周、さらに石造りの「コンスタンティヌスの門」を猛スピードで駆け抜けます。空砲が鳴り響き、土煙と歓声、馬の躍動感が一体となるクライマックス。最後の一周は儀式から一転、混沌とした激しい競争となり、コンスタンティヌスの勝利と信仰の力を象徴します。
旗の儀式(サス・パンデラス)
祭りのドラマの中心は、数年前から村で選ばれる「プリマ・パンデラ(第一旗手)」。金色の旗を掲げ、赤と白の旗を持つ2人の騎手とともに先頭を走ります。彼らは“異教徒”役の騎手たち(マクセンティウス軍)に追い越されないよう、護衛騎手たちが体を張って守ります。この象徴的な攻防は、信仰の勝利を体現する緊張感あふれる見どころです。
巡礼と宗教行列
レース前には、村の中心から聖堂まで厳かな行列が進みます。聖職者や名士、何百人もの騎手が加わり、ミサや旗の祝福、祈りが捧げられます。宗教的な荘厳さと祭りの高揚感が混ざり合う、特別な雰囲気が漂います。
衣装と装飾
騎手たちは刺繍入りのシャツやサッシュ、時には甲冑や羽飾りの帽子など、伝統衣装で登場。旗手は豪華な織物の旗を掲げ、聖堂や村は色とりどりの旗やガーランドで飾られます。馬具の革の手触り、旗の光沢、乾いた大地の土煙が五感を刺激します。
伝統グルメ&ドリンク
レース後は村全体が巨大な野外食堂に変身。薪焼きの子豚やウナギ、ペコリーノチーズ、素朴なパンなどサルデーニャの味覚が並びます。力強いヴェルナッチャワインや、度数の高い自家製リキュール「フィル・エ・フェル」も振る舞われ、肉やワインの香り、賑やかな食卓の温もりが夜遅くまで続きます。
文化・歴史的背景
アルディアは、312年の「ミルウィウス橋の戦い」で皇帝コンスタンティヌスが勝利し、キリスト教迫害を終わらせた歴史を記念する祭り。起源は古代の儀式や中世の祭礼、カトリック信仰が融合したもので、1806年からはセディーロが唯一の開催地となり、旗手は村の住民だけが務めます。
サルデーニャの人々にとってアルディアは、信仰と地域の誇り、結束を象徴する生きた伝統。馬の蹄音と旗のはためきは、歴史と伝説が今も息づく証しです。
参加者の声
ミラノから見物に来ました。地元の人が旗やレースの意味を丁寧に教えてくれて、ワインや豚肉を分け合いながら“セディーロの家族”の一員になった気分でした。
豆知識
- レースは聖堂を7周、さらに「サ・ムレッダの十字架」を6周と、すべてに儀式的な意味があります。
- 名物リキュール「フィル・エ・フェル」は度数50度超の強烈な味わい。
- 巡礼者の中にはサルデーニャ各地から徒歩で数日かけて来る人もいます。
開催日程
サン・コスタンティーノのアルディアは毎年7月5日~7日、サルデーニャ島セディーロで開催されます。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
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