イーズダクラール王様騎馬行
モラヴィアの伝説が生きる“馬と色彩の祝祭”
2026/05/22 - 2026/05/23
イーズダクラール王様騎馬行(Ride of Kings)は、毎年5月、チェコ南部モラヴィア地方のヴルチノフ村で開催される、華やかな民族衣装と装飾馬による伝統的な騎馬行列のお祭りです。200年以上の歴史を持ち、ユネスコ無形文化遺産にも登録されているこの祭りは、村全体が色彩と音楽、伝説に包まれる特別な体験。民俗文化やヨーロッパの本物の祝祭を味わいたい人におすすめです。
石畳に響く蹄の音、刺繍衣装のきらめき、咲き誇るライラックや焼き立てパンの香り、地元ワインやコラーチュ(伝統菓子)の味…。週末のヴルチノフはまるで“生きた物語”の世界。五感すべてでモラヴィアの誇りと伝説を味わえます。
主な見どころ
王様の騎馬行列
祭りのクライマックスは「王様の騎馬行列」。100頭以上の馬と伝統衣装の騎手たちが、顔を隠しバラをくわえた“王様”役の少年(女性衣装を着用)を中心にパレード。王様の護衛役の少年たちが馬上から韻を踏んだ詩を朗読し、荘厳さと祝祭感が交錯します。音楽や歌、蹄のリズムが街に響き渡ります。
民俗音楽・舞踊・クラフト市
週末は町中が民謡バンドやフォークダンス、手描きイースターエッグや陶器、刺繍などのクラフト市でにぎわいます。フィドルの音や焼きソーセージの香り、グラスを交わす音、地元の笑顔と歓声がモラヴィア流のおもてなしを感じさせます。
衣装とデコレーション
参加者は手刺繍のブラウスやベスト、リボンやレース、ビーズで飾られた“クロイエ”と呼ばれる民族衣装を着用。馬も花やリボン、豪華な馬具で飾られ、沿道の家々はライラックやバナーで彩られます。生地の手触りや色彩の美しさも必見です。
文化・歴史的背景
イーズダクラール王様騎馬行の起源は、15世紀のハンガリー王マーチャーシュ・コルヴィヌス(マティアス・コルヴィヌス)にまつわる伝説にさかのぼります。伝承によれば、コルヴィヌス王が敵軍から逃れる際、女性の衣装をまとい、顔を覆い、バラをくわえて変装し、護衛とともに町を抜けたという逸話が、祭りの「王様」役の少年の姿に反映されています。こうした伝説は、モラヴィア地方の他の町やスロバキアにも残っていますが、ヴルチノフでは特に厳格に守られ、地域の誇りとなっています。
一方で、さらに古い異教時代の春の豊穣・再生儀礼や、若者の通過儀礼が基層にあるとも考えられています。騎馬行列や仮装、詩の朗読、花やリボンで飾った馬や家々などは、春の生命力や共同体の繁栄を願う農村文化の象徴でした。19世紀にはナショナル・ルネサンス運動の中で民俗芸能として再評価され、20世紀の戦争や社会主義時代にも地域アイデンティティの核として守られてきました。
現在のイーズダクラール王様騎馬行は、地元の少年が「王様」や護衛役に選ばれる“通過儀礼”として、家族や村全体が何週間も準備に携わる一大イベントです。ユネスコ無形文化遺産にも登録され、国内外から多くの観光客が訪れる“生きた伝統”として、モラヴィアの誇りと共同体の絆を現代に伝えています。
参加者の声
王様の行列を見て鳥肌が立ちました。馬、衣装、音楽…まるで伝説の中に入り込んだような体験でした。
豆知識
- 王様役は10〜15歳の地元少年が女性衣装&顔を隠し、バラをくわえて登場。
- 王様や護衛役は地元の家系の少年のみが選ばれる“通過儀礼”。
開催日程
イーズダクラール王様騎馬行は毎年5月、南モラヴィア・ヴルチノフで開催。朝からクラフト市を巡り、馬と衣装と伝説が織りなす“モラヴィアの魔法”をぜひ体験してください。
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