マソプスト
ユネスコ無形文化遺産にも登録された仮面と笑いと肉料理のカーニバル
2026/02/13 - 2026/02/16
毎年冬の終わり、チェコ各地の村や町は「マソプスト(Masopust)」の賑やかなパレードとごちそう、笑い声に包まれます。特に東ボヘミアのフリネツコ地方(Hlinecko)の村々で行われる伝統的な仮面行列と戸別巡回(Shrovetide door-to-door processions and masks)は、2010年にユネスコ無形文化遺産に登録され、チェコの謝肉祭文化を象徴する存在となっています。四旬節(レント)前の数日間、住民たちは思い思いの仮装で街を練り歩き、音楽や踊り、肉料理を思いきり楽しむ“春を呼ぶ祝祭”。フォークロア好きや写真好き、地元の素顔に触れたい旅人にとっても、チェコの素朴な喜びと生命力を体感できる特別な時間です。
カウベルの音、豚肉や揚げドーナツの香ばしい匂い、雪を踏みしめる足音、悪魔や熊、花嫁や肉屋が手を取り合って踊るカラフルな光景…。日常がひっくり返る数日間、村全体が笑いと音楽、昔ながらの儀式の舞台になります。
主な見どころ
ユネスコ登録・フリネツコ地方の仮面行列
祭りのハイライトは、村人たちが伝統的な仮面や衣装で熊や煙突掃除人、竹馬、神話の怪物などに扮し、家々を巡って歌や音楽、寸劇、いたずらを披露する仮装パレード。特にフリネツコ地方では、未婚の青年は赤い仮面、既婚男性は黒い仮面をつけ、ブラスバンドとともに村を練り歩きます。各家で4人の男性が儀式的なダンスを披露し、豊作や家族の繁栄を願うのが特徴です。
伝統音楽とダンス
祭り期間中はフォークバンドがポルカや古いチェコのメロディーを奏で、広場や納屋では仮面ダンスが繰り広げられます。アコーディオンやフィドル、笑い声が響き、即興のコンガラインができることも。
衣装とデコレーション
マソプストの衣装はとにかく自由!手描きの仮面、パッチワークの衣装、藁人形やカラフルなリボンなど、創意工夫のオンパレード。熊(豊穣の象徴)、肉屋、花嫁と花婿、悪魔など定番キャラクターも。家々はガーランドや動物の骨で飾られ、素朴でワイルドな雰囲気に。
文化・歴史的背景
マソプストの起源は13世紀まで遡り、キリスト教の四旬節(レント)前に“肉断ち”を控えた最後のごちそうと、さらに古代の豊穣祈願や冬を追い払う異教的な儀式が融合したものです。語源は「肉断ち」を意味し、村人たちが仮面をかぶって権威を茶化し、役割を逆転し、笑いと食で絆を深める“社会のガス抜き”としての役割もありました。
特に東ボヘミアのフリネツコ地方(Hlinecko)で行われる「仮面行列と戸別巡回(Shrovetide door-to-door processions and masks)」は、2010年にユネスコ無形文化遺産に登録され、チェコのマソプスト文化を象徴しています。
この伝統的な仮面行列では、村の男性や少年が赤や黒の仮面をかぶり、ブラスバンドとともに家々を巡ります。各家で4人の男性が儀式的なダンスを披露し、豊作や家族の繁栄を願います。最後には「牝馬の処刑」と呼ばれる象徴的な儀式が行われ、ユーモラスな遺言朗読や“処刑”後の復活とダンスで祭りが最高潮に達します。
この伝統は18~19世紀のカトリック教会や20世紀の社会主義政権下で禁止された時期もありましたが、地域コミュニティの結束を守る重要な役割を果たし、今も親から子へと仮面や儀式が受け継がれています。現在も各地で独自の歌や踊り、仮装パレードが行われ、世代を超えて受け継がれる“生きたチェコの原風景”として根付いています。
参加者の声
「熊の仮装で雪の中を踊るのが子どもの頃から大好き。村のみんなで歌って笑って…これぞ幸せの原点!」
「プラハ出身だけど、毎年小さな村のマソプストに参加。手作り料理や音楽、衣装…まるで別世界に迷い込んだ気分です。」
「去年は悪魔役でパレードに参加。おばあさんが仮面の意味を教えてくれて、伝統の奥深さとコミュニティの温かさを実感しました。」
豆知識
- マソプストは「チェコのマルディグラ」とも呼ばれ、灰の水曜日直前の週末に開催。
- 熊役は家を訪れると豊作と幸運をもたらすと信じられている。
開催日程
マソプストは毎年2〜3月、チェコ各地の村や町で開催。特にフリネツコ地方の仮面行列はユネスコ遺産にも登録された必見の伝統。田舎のコミュニティを訪れ、仮面をつけてパレードに参加すれば、笑いと踊り、そして一口ごとにチェコの伝統を体感できます。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
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