エルス・エンファリナッツ
粉と卵と爆竹が舞う“逆転の一日”
2025/12/27
毎年12月28日、スペイン・アリカンテ県イビの街は、200年以上続く奇祭「エルス・エンファリナッツ」で真っ白に染まります。軍服姿の“エンファリナッツ”が街を占拠し、卵や小麦粉、爆竹を武器に“クーデター”を演じるこの祭りは、スペイン最大級のフードファイト。地元の人も観光客も、笑いと混乱、そして粉まみれのカオスに巻き込まれます。
イビの旧市街が舞台となるこの祭りは、誰でも参加・見学OK。クリスマスと新年の間、イノセントの日(スペイン版エイプリルフール)に行われ、老若男女が“逆転劇”とユーモア、そして思いっきりの非日常を楽しめるイベントです。
主な見どころ
粉と卵の“クーデターごっこ”
祭りの主役は“エンファリナッツ”と呼ばれる20人ほどのグループ。早朝から市庁舎前に集まり、模擬軍服や顔ペイントで“新しい正義”を掲げて市街を占拠します。対抗勢力“オポシシオ”と爆竹や消火器(中身は粉!)、卵、小麦粉を投げ合い、街は一瞬で真っ白に。見物客も巻き込まれ、笑いと歓声が絶えません。
主なイベント
午前8時に“エンファリナッツ”が市を乗っ取り、9時には“市長レース”でその日のリーダーを決定。その後、教会広場で“L'Aixavegó”と呼ばれる“罰金”儀式や、街中での“Arreplegada”という粉まみれの徴収劇が繰り広げられます。午後には伝統舞踊“ダンサ”が許可され、最後はみんなでダンスと宴で締めくくります。
衣装と装飾
エンファリナッツは模擬軍服や黒いシルクハット、カラフルな顔ペイントが定番。オポシシオも仮装や変装で対抗し、街は旗やバナー、花で飾られます。祭りが進むにつれ、衣装も顔も真っ白になっていくのが名物です。
伝統グルメ&ドリンク
粉まみれの戦いの後は、イビ名物のトゥリッタ(揚げパン)やチュロス、ホットチョコレートで体を温めます。地元のワインやカバ(スパークリング)も人気。粉と卵の香り、揚げ菓子の甘い匂いが街に広がります。
文化・歴史的背景
エルス・エンファリナッツの起源は定かではありませんが、少なくとも200年以上の歴史があり、ローマ時代の“主人と奴隷の逆転”やカーニバル、サトゥルナリア祭の影響が指摘されています。独裁時代に一時禁止されていましたが、1980年代に復活。イノセントの日(無垢な者の日)の“いたずら”文化と結びつき、今ではイビの誇りであり、地元のチャリティー活動にもつながっています。
市民にとっては“権力逆転”を笑いとユーモアで表現する大切な日であり、地域の結束やアイデンティティを感じる瞬間です。
参加者の声
観光で訪れましたが、爆竹や卵の迫力にびっくり!でも最後はみんなで踊って、地元の揚げパンを食べて、スペインらしい温かさを感じました。
豆知識
- エンファリナッツは20人ほどの親しい友人や親族で構成され、毎年メンバーはほぼ固定。
- “罰金”で集めたお金は地元の老人ホームなどに寄付されます。
- 祭りの起源は1636年の記録が最古で、独裁時代の禁止を経て復活しました。
- 卵と小麦粉の消費量は数百キロ単位、スペインでトマティーナに次ぐ“最大級のフードファイト”です。
- 最後の“ダンサ”はエンファリナッツ市長の許可がないと踊れません。
開催日程
エルス・エンファリナッツは毎年12月28日、アリカンテ県イビで開催。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
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