デルヴィーシュ回転舞踊僧の祭り
神聖な愛の魅惑的な舞
2025/12/06 - 2025/12/16
トルコの古都コンヤで毎年12月に開催されるメブラーナ週間の中心的な見どころは、セマと呼ばれる神秘的な回転舞踊です。白い長いスカートをまとった舞踊僧たちが、生演奏の伝統音楽に合わせて約1時間にわたって回転し続けます。彼らは右手を天に向けて神の恵みを受け取り、左手を地に向けてそれを地上に分け与える姿勢で回り続けます。この儀式は13世紀の哲学者ルーミーの教えに基づいており、回転することで神との一体化を図る祈りの一種です。3000人ほどを収容できる会場は地元の人々や世界中からの観光客で埋め尽くされ、幻想的な雰囲気に包まれます。2008年にユネスコ無形文化遺産に登録されたこの儀式は、宗教や文化の違いを超えて多くの人々を魅了し続けています。
主な見どころ
セマーの儀式
祭りの中心はセマーの儀式です。セマーとは、イスラム神秘主義(スーフィズム)の一派であるメヴレヴィー教団による神秘的な回転舞踊のことで、13世紀の哲学者ルーミーの教えに基づいています。この儀式は、回転することで神との一体化を図る祈りの一種であり、2008年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
セマーは毎晩メヴラーナ文化センターで行われ、魅惑的な光景を繰り広げます。照明が落とされると、ネイ笛の幽玄な旋律とクドゥム太鼓のリズミカルな鼓動が空間を満たします。死装束を象徴する白い長衣と、墓石を表すラクダの毛で作られた背の高い帽子(シッケ)を身につけた舞踊僧(セマーゼン)たちが円形の舞台に登場します。彼らはゆっくりと、そして次第に速度を上げて回転し始め、スカートが完全な円を描くように広がります。右手を上に向けて神の恩恵を受け取り、左手を下に向けてそれを地上に分配する姿勢で回り続けます。約1時間続くこの回転は、観客を催眠的な雰囲気に引き込み、深い感動を与えます。
ルーミーの墓
メヴレヴィー教団を創設した13世紀のスーフィー神秘主義者であり詩人のジャラールッディーン・ムハンマド・ルーミーの墓への巡礼は、祭りの体験において重要な部分です。精緻な書道で飾られ、静かなバラ園に囲まれたターコイズブルーのドームを持つ霊廟には、毎日何千人もの訪問者が訪れます。バラ水と焚かれる香の香りが漂う中、静かに唱えられる祈りの声が深い畏敬の念を醸し出しています。
伝統料理
この祭りは味覚の饗宴でもあり、コンヤ独特の料理を味わう機会を提供します。地元のレストランでは、細長いパンに挽肉をのせたエトリ・エクメキや、じっくり煮込んだラム料理のフルン・ケバブが提供されます。シロップに浸したペイストリーのシェケル・パレの甘い香りが街中に漂います。多くの訪問者は、シナモンをふりかけたラン科の球根から作られるホットドリンク、サレップを飲んで夜を締めくくります。その温かさは、12月の冷たい夜にぴったりです。
文化的・歴史的背景
シェビ・アルース(結合の夜)としても知られる回転舞踊僧の祭りは、1273年12月17日のルーミーの命日を記念しています。ルーミーは死を終わりではなく、神との再会と見なしていたため、祭りは祝祭的な性質を持っています。ルーミー自身も実践していたセマーの儀式は、精神的な恍惚状態の身体的表現であり、人間の精神的な旅の象徴的な表現です。
コンヤの人々や世界中のスーフィー信者にとって、この祭りは深遠な精神的イベントです。それは内省、刷新、そして神との繋がりを求める時間です。また、この祭りは毎年7万人以上の訪問者を惹きつけ、スーフィー文化と哲学の保存と促進に重要な役割を果たしています。2008年にユネスコはメヴレヴィーのセマー儀式を人類の口承及び無形遺産の傑作として認定し、その文化的重要性を強調しました。
参加者の声
珍しい踊りを見られるという軽い気持ちでコンヤを訪れました。しかし、実際にセマー儀式を体験すると、その深さに圧倒されました。 儀式が始まり、白い衣装の踊り手たちが回転し始めると、その美しさに息を呑みました。しばらく見ていると、自分も一緒に回っているような不思議な感覚になりました。隣席の地元のおじいさんが「彼らは自分を忘れ、神と一つになるために回るんだよ」と教えてくれ、その言葉を聞いて何かが腑に落ちました。儀式後も、その光景と言葉が頭から離れませんでした。スーフィズムの教えを完全に理解することはできないかもしれませんが、信仰の力に深い感銘を受け、心が洗われたような気持ちでコンヤを後にしました。
面白い事実
- 舞踊僧たちは1回の儀式で最大2,000回転することがありますが、長年の訓練のおかげでめったにめまいを感じません。
- 舞踊僧たちが被る特徴的な背の高い帽子は「シッケ」と呼ばれ、ラクダの毛で作られており、自我の墓石を象徴しています。
- 回転中、舞踊僧たちは片足をしっかりと地面につけ、もう片方の足で回転します。これは物質世界と精神世界の両方とのつながりを象徴しています。
- コンヤにあるルーミーの墓には、カアバ神殿の覆いの一部と、預言者ムハンマドのものとされる髭の毛が納められています。
- ルーミーの墓を含むメヴラーナ博物館は、トルコで2番目に訪問者の多い博物館で、年間350万人以上が訪れます。
祭りの日程
回転舞踊僧の祭り、またはシェビ・アルースは、通常毎年12月7日から17日まで開催され、ルーミーの命日に最高潮を迎えます。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
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