メヴラーナー・ジェラーレッディーン・ルーミー追悼式(シェビ・アルース)

神聖なる愛への旋回の旅

メヴラーナー・ジェラーレッディーン・ルーミー追悼式: 神聖なる愛への旋回の旅

トルコのコンヤで開催されるメヴラーナー・ジェラーレッディーン・ルーミー追悼式で、旋回するデルヴィシュの魅惑的な光景とスーフィー神秘主義の深い精神性を体験してください。毎年12月7日から17日まで開催されるこの10日間の祭典は、「シェビ・アルース」または「婚礼の夜」として知られ、13世紀の偉大な詩人・神秘家が神と一体となった記念日を祝います。世界中から数千人の巡礼者や好奇心旺盛な見物人が集まり、催眠的なセマー儀式を目撃し、愛、寛容、精神的啓発に関するルーミーの時代を超越した教えに浸ります。

主な見どころ

セマー儀式

追悼式の中心となるのは、魅惑的なセマー儀式です。セマー儀式は、13世紀にメヴラーナー・ジェラーレッディン・ルーミーの教えに基づいて確立された、イスラム神秘主義(スーフィズム)の重要な儀式です。「セマー」とはアラビア語で「聴くこと」を意味し、神の言葉に耳を傾け、神との一体化を目指す精神的な実践を表しています。セマー儀式は人間の精神的な上昇、つまり心と愛を通じて完全性に至る神秘的な旅を象徴する、目を奪う旋回の儀式です。

ネイ(葦笛)の物悲しい音色が空気を満たす中、白い衣装を纏ったデルヴィシュたちが恍惚状態で回転を始め、彼らのスカートが広がって完璧な円を形作ります。スーフィー音楽の催眠的な詠唱に伴う律動的な回転は、観客を精神的な恍惚の境地へと導く、この世のものとは思えない雰囲気を作り出します。

メヴラーナー文化センターで行われるこの儀式は、感覚の饗宴です。ろうそくの柔らかな光がデルヴィシュたちの穏やかな表情を照らし、香の香りが漂い、神秘的な雰囲気を高めます。旋回が激しさを増すにつれ、踊り手たちから放射されるエネルギーをほとんど肌で感じることができ、彼らの動きはルーミーの詩の物理的な具現化のようです。

特徴的な衣装

デルヴィシュたちの衣装は象徴的な意味に富んでいます。デルヴィシュとは、イスラム神秘主義(スーフィズム)の修行者のことを指し、「貧者」や「托鉢僧」という意味を持ちます。彼らは世俗的な欲望を捨て、神との一体化を目指す修行者たちです。彼らの背の高いラクダ毛の帽子は自我の墓石を、白いスカートは自我の経帷子を表しています。儀式の始めに劇的に脱ぎ捨てられる黒いマントは、世俗的な執着を捨て去ることを象徴しています。儀式の前にこれらの衣装が丁寧に着付けられる様子を目にすることは、デルヴィシュたちの深い精神的な準備の一端を垣間見る機会となります。

スーフィー音楽コンサート

祭りの期間中、心を揺さぶるスーフィー音楽コンサートがコンヤの空気を神秘的な旋律で満たします。ネイの物悲しい音色、クドゥム(小型の両面太鼓)の共鳴する鼓動、そしてルーミーの詩の幽玄な詠唱が、没入感のある聴覚体験を生み出します。市内の様々な会場で開催されるこれらのコンサートは、目を閉じて音楽に身を委ね、精神的な瞑想の状態へと誘われる機会を提供します。

伝統料理

この追悼式は味覚の饗宴でもあり、何世紀もの間スーフィーの神秘家たちを養ってきた料理を味わう機会を提供します。コンヤ名物のエトリ・エクメク(ひき肉をのせた平たいパン)の香りが街中に漂います。口の中でとろける、ゆっくりと調理されたラム料理のフルン・ケバブや、ルーミーのお気に入りだったという甘くてシロップのようなデザート、ギュラブを味わう機会をお見逃しなく。これらの味は、ルーミーの時代の料理の伝統との具体的なつながりを感じさせてくれます。

文化的・歴史的背景

メヴラーナー追悼式の起源は、1273年12月17日、ルーミーが自身の死を「婚礼の夜」- 神との再会の瞬間 - と呼んだ夜にさかのぼります。最初の正式な追悼式は1278年に、ルーミーの息子スルタン・ヴェレドによって開催されました。何世紀もの間に、小規模な私的な集まりから、ルーミーの生涯と教えを祝う盛大な公的祝典へと発展しました。

コンヤの人々や世界中のスーフィーにとって、この式典は非常に重要な意味を持ちます。これはただルーミーの死を追悼するだけでなく、彼の精神的な遺産を祝うものです。この行事はルーミーの普遍的な愛、寛容、神との一体化を求める教えを体現しています。トルコの豊かな精神的遺産を強く想起させ、多様な背景を持つ人々を引き寄せ続け、統一感と共通の人間性の感覚を育んでいます。

2005年、ユネスコはメヴレヴィー・セマー儀式を人類の口承及び無形遺産の傑作として宣言し、トルコの国境を越えたその文化的重要性を認めました。この指定により、儀式の地位がさらに高められ、国際的な関心が高まっています。

参加者の声

「ルーミーの詩を少し読んだことがあって、興味本位で参加したんです。でも、帰るときには心に深い静けさを感じていました。セマー儀式は、本当に言葉では表せないような体験でした。くるくると回り続けるデルヴィシュたち、そして耳に染み入るような音楽。まるで催眠術にかけられたみたいでした。思わず息を呑んで、目が離せなくなってしまったんです。儀式が終わった後、地元の女性と話す機会があって、デルヴィシュの動きに込められた意味を教えてもらいました。彼女のルーミーへの熱い思いに、こちらまで引き込まれそうでした。結局、その方のご家族と一緒に食事をすることになって。アツアツのフルン・ケバブを頬張りながら、精神性についてあれこれ語り合ったんです。この祭りのおかげで、私の知らなかったトルコの一面、深い精神性と人々の温かさに触れることができました。」

面白い事実

  • 旋回するデルヴィシュたちは、1回の儀式で最大2,000回も回転することがありますが、集中力と訓練のおかげでめったにめまいを感じません。
  • コンヤにあるルーミーの墓(現在のメヴラーナー博物館)は、年間200万人以上が訪れる、トルコで最も人気のある観光スポットの一つです。
  • デルヴィシュたちが被る特徴的な背の高い帽子「シッケ」は、圧縮されたラクダの毛で作られており、手作りで約3ヶ月かかります。
  • 祭りの期間中、一部の信者たちは、ルーミーの傑作であるスーフィーの精神的詩「マスナヴィー」の全25,618節を読破しようと試み、しばしば一晩中起きてこの課題を完遂します。
  • スーフィー音楽の中心的な楽器であるネイ(葦笛)は、ルーミーの教えでは人間の魂を表すとされ、その物悲しい音色は魂が神聖なるものから分離されていることを象徴しているといわれています。

祭りの日程

メヴラーナー・ジェラーレッディーン・ルーミー追悼式(シェビ・アルースとしても知られる)は、毎年12月7日から17日まで開催されます。主要なセマー儀式は常に12月17日の夜に行われ、ルーミーの命日を記念します。

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実際の様子


開催情報

名称 メヴラーナー・ジェラーレッディーン・ルーミー追悼式(シェビ・アルース)
トルコ
エリア コンヤ,
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