バスクのカーニバル
バスク山間に響く“太古の音と春を呼ぶ祭り”
2026/01/25 - 2026/01/26
毎年1月、スペイン北部バスク地方の山あいの村イトゥレンとスビエタでは、まるで太古の神話から抜け出したようなカーニバルが繰り広げられます。イトゥレン&スビエタのカーニバルは、現代的なカーニバルとは一線を画す、原始的で土着的な祝祭。牛の鈴の轟きや焚き火の香りが冬の空気に満ち、村人も旅人も、大地と自然、そして共同体のリズムに包まれた“生きた伝説”の世界に誘われます。
開催は毎年1月最終週の月曜・火曜。伝統や民俗、自然との一体感を求める人にはたまらない体験です。誰でも参加できますが、特にフォークロア好きや写真家、土地の空気を肌で感じたい人におすすめのバスクの冬祭りです。
主な見どころ
ジャンパンツァル(Zanpantzar)行列
祭りの中心は「ジャンパンツァル」と呼ばれる行列。ジョアルドゥン(Joaldunak=鈴持ち)と呼ばれる男たちが羊皮のベスト、リボン付きの円すい帽、そして腰に重い牛の鈴をつけて村から村へと練り歩きます。何十人ものジョアルドゥンが一糸乱れず歩くたび、山あいに鈴の轟きが響き渡り、悪霊を払い大地を目覚めさせると信じられています。その光景は神秘的かつ圧倒的で、まさに“古代の儀式”を目の当たりにする瞬間です。
主なイベント
月曜はスビエタのジョアルドゥンがイトゥレンへ行進し、村人たちが音楽や踊り、地元ワインで歓迎します。火曜は逆にイトゥレンのジョアルドゥンがスビエタへ。道中では、ボロボロの服や奇抜な仮装の“いたずら者”たちが小麦粉を投げたり、見物客を追いかけたりと、厳かな行列にユーモアと混沌が加わります。夜は村人や旅人が集い、焚き火を囲んでバスク音楽や歌、伝統料理を楽しみます。
衣装と装飾
ジョアルドゥンの衣装は羊皮のベスト、白シャツ、青いスカーフ、カラフルなリボン付きの円すい帽が特徴。腰には最大12kgもの牛の鈴を装着し、一歩ごとに重厚な音を響かせます。他の参加者はおどろおどろしい仮面やパッチワークの衣装、棒やほうきを持ち、混沌や豊穣の精霊を演じます。村には松の枝や素朴な旗、焚き火が飾られ、神秘的でどこか懐かしい雰囲気に包まれます。
伝統グルメ&ドリンク
行列の後は地元の居酒屋や集会所で素朴なバスク料理を囲みます。田舎パン、チョリソ、羊のチーズ、豆の煮込みなどが並び、地元のシードルや赤ワインが振る舞われます。焚き火や焼き肉、とうもろこしパン「タロ」やクルミのデザート「インチャウルサルツァ」など、冬の山村ならではの香りと味が楽しめます。
文化・歴史的背景
イトゥレン&スビエタのカーニバルの起源は定かではありませんが、キリスト教以前のバスクやピレネー山脈の豊穣儀礼に由来すると考えられています。ジョアルドゥンの鈴鳴らしは大地を目覚めさせ、悪霊を追い払い、豊作を祈るための古い儀式。何世紀にもわたり、村のアイデンティティや共同体の絆を象徴する祭りとして受け継がれてきました。
地元の人々にとってこのカーニバルは、単なる見世物ではなく、世代を超えて土地や人とのつながりを再確認する“神聖で喜びに満ちた再会”。自然や祖先、命の循環への敬意を体現する、バスク文化の生きた証しです。
参加者の声
バルセロナから写真を見て来たけれど、鈴の音の迫力は想像以上。胸に響く轟音、神話の世界みたいなジョアルドゥンの姿。子どもたちは小麦粉を投げる仮面の人たちに大はしゃぎ!全身真っ白になって大笑い。料理も最高で、特にチーズとシードルが忘れられません。まるで別世界に迷い込んだみたい
豆知識
- ジョアルドゥンは一人最大12kgもの牛の鈴を腰に巻きつけて行進します。
- ヨーロッパ最古級のカーニバルとされ、素朴さと神秘性が今も色濃く残ります。
- イトゥレンとスビエタはわずか3kmしか離れておらず、ジョアルドゥンが2日かけて往復します。
- 「ジョアルドゥン」はバスク語の「jo(鳴らす)」が語源です。
- 見物客も小麦粉まみれになるので、汚れてもいい服装がおすすめ!
開催日程
イトゥレン&スビエタのカーニバルは毎年1月最終日曜の翌月曜・火曜に開催されます。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
開催情報
| 名称 | バスクのカーニバル |
| 国 | スペイン |
| エリア | ナバラ州, イトゥレン/スピエタ |
| 開催時期 | 2026/01/25 - 2026/01/26 |
| リンク |
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