ショプカ・コンテスト(最も美しい模型小屋コンテスト)
クラクフの冬を彩るきらめきと想像力のクリスマス伝統
2026/12/02
毎年12月、クラクフの中央広場は「ショプカ・コンテスト」の舞台となり、地元の職人や家族が手作りした豪華絢爛なクリスマス馬小屋飾り(ショプカ)がずらりと並びます。クラクフ伝統の豪華なクリスマス馬小屋飾り(ショプカ)の美しさと創造性を競う、冬の風物詩です。民芸と遊び心が融合したこの伝統は、クラフト好きも観光客も、クラクフの歴史的建築や聖誕物語をモチーフにした色とりどりのミニチュア宮殿に魅了される冬の風物詩です。細部までこだわった作品の数々は、子どもから大人まで誰もが夢中になるポーランド屈指のクリスマス体験です。
冷たい空気にホットワインや焼き栗の香りが漂い、広場には何百ものショプカがきらめきます。カロルの歌声が流れ、ランタンやクリスマスイルミネーションの光で街全体がおとぎ話のような雰囲気に包まれます。
主な見どころ
ショプカ・パレードと審査会
最大の見どころは12月最初の木曜日、職人や家族が自慢のショプカを手にアダム・ミツキェヴィチ像前に集うパレードです。塔やドーム、ステンドグラス、クラクフの歴史や聖誕の場面を段ボールやアルミ箔、色紙で再現した作品は圧巻。クラクフ歴史博物館の審査員がひとつひとつ丁寧に審査し、優秀作は冬の特別展で展示されます。
ワークショップと家族の体験
コンテスト前には子どもも大人も参加できるショプカ作りワークショップが開催され、家族や友人がテーブルを囲み、紙やキラキラの飾り、のりを手にオリジナル作品づくりに挑戦。世代を超えた交流と笑顔が広がります。
衣装とデコレーション
参加者の中には刺繍ベストや花冠、ウールのマントなどクラクフの民族衣装を着る人も。サンタ帽やクリスマス柄のマフラー姿も多く、広場にはツリーやランタン、ガーランドが飾られます。ショプカ自体も小さな電飾や金色のホイル、きらめくモールで彩られ、色と質感の万華鏡のようです。
伝統グルメ&フード
屋台では熱々のピエロギ、グリルソーセージ、ジンジャーブレッド、ホットワイン(グジャニェツ)が人気。シナモンやクローブ、焼き栗の香りが冬の空気に混じり、味覚でもクリスマス気分を満喫できます。
文化・歴史的背景
ショプカ(Szopka)は19世紀のクラクフで生まれた伝統的なクリスマス馬小屋飾りです。もともとは冬場に建設作業が減る石工や職人たちが、生活の糧とするためにクラクフの教会や城、歴史的建築を模した豪華な馬小屋飾りを作り始めたのが始まりです。これらのショプカは、聖家族の誕生シーンを中心にしながらも、塔やドーム、ステンドグラス、クラクフの名所を取り入れ、宗教的な物語と都市の誇り、遊び心が融合した独自の民芸品へと発展しました。
1937年、クラクフ市と歴史博物館がこの伝統を守り発展させるために「ショプカ・コンテスト」を公式に開始。以降、毎年12月最初の木曜日に中央広場でコンテストが開催され、職人や家族、子どもたちが自慢のショプカを持ち寄って競い合う冬の一大イベントとなりました。ショプカは世代を超えて受け継がれ、家族ごとに技法や物語、デザインが伝承される“生きた文化遺産”です。
この伝統は2018年にユネスコ無形文化遺産に登録され、世界的にもその芸術性と地域性が高く評価されています。クラクフの人々にとってショプカは、単なるクリスマス飾りではなく、家族の歴史と誇り、冬の喜びとコミュニティの絆を象徴する存在。今もなお新しい世代がこの技を学び、冬の街にきらめきを灯し続けています。
参加者の声
「子どもの頃から毎年ショプカコンテストに出しています。祖父に小さな塔や窓の作り方を教わったのが原点。家族でクリスマスを祝い、クラクフの物語を伝える大事な時間です。」
「12月にクラクフを訪れ、偶然ショプカのパレードに出会いました。色彩や創造性、音楽…すべてが魔法のよう。ワークショップにも参加し、自分だけのショプカ作りにも挑戦しました。」
「私にとってショプカは希望の象徴。冬の暗い時期でも、この小さな宮殿たちは光と想像力で輝きます。人と人とをつなぎ、街が“家”になる伝統です。」
豆知識
- 毎年150点以上のショプカがエントリーされ、小さなものから数メートル級の大作までさまざま。
- ショプカの多くは聖マリア教会やヴァヴェル城、織物会館などクラクフの名所をモチーフにしている。
- この伝統はユネスコ無形文化遺産に登録されている。
- 動く仕掛けやオルゴール、電飾付きのショプカも登場する。
- 受賞作は冬の間、クラクフ歴史博物館で展示される。
開催日程
ショプカ・コンテストは毎年12月最初の木曜日、クラクフ中央広場で開催。コートを羽織って人々の輪に加わり、きらめく伝統と冬の魔法を体感してください。
開催が近いお祭り
龍船節(杭州ドラゴンボートフェスティバル) 中国
湿地が奏でる櫂と伝統の交響曲
2025/05/30ダナン国際花火大会 ベトナム
ハン川に響く光と音のシンフォニー
2025/05/31龍船節(岳陽国際ドラゴンボートフェスティバル) 中国
櫂と伝統のリズミカルな交響曲
2025/05/31リスボン祭り ポルトガル
光とサルディーニャと夏の歌があふれる、ポルトガル最大の路上フェス
2025/06/01共和国記念日(フェスタ・デッラ・レプッブリカ) イタリア
イタリア民主主義を祝う三色の祭典
2025/06/01ガワイ・ダヤク マレーシア
サラワクの大地に響く、収穫と再会の祝祭
2025/06/04テキルダー・チェリーフェスティバル トルコ
夏の甘美な交響曲
2025/06/05ハリ・ラヤ・ハジ マレーシア
祈りと分かち合いが満ちる、マレーシアの犠牲祭
2025/06/11聖アントニオ祭り(いわし祭り) ポルトガル
リスボンが恋とサルディーニャに染まる、初夏の祝祭
2025/06/11聖アントニオ祭り(いわし祭り) ポルトガル
リスボンが恋とサルディーニャに染まる、初夏の祝祭