パラチコスのお祭り
チアパ・デ・コルソに渦巻く色彩と信仰の祭り
2026/01/03 - 2026/01/22
毎年1月、メキシコ南部チアパス州の植民地時代の町チアパ・デ・コルソは、フィエスタ・グランデの期間中、音と色彩と信仰の熱狂に包まれます。この祝祭の中心となるのがパラチコスです。パラチコスとは、この地域独特の伝統的な踊り手たちのことで、その名は踊り手自身と踊りの両方を指します。白い顔の木製の仮面をつけ、カラフルな衣装を身にまとったパラチコスたちの力強い足音と、チンチン(マラカス)のカラカラという音が、約3週間にわたって石畳の街路に響き渡ります。ユネスコに認定されたこの祭りは、何千人もの参加者と観客を魅了し、先住民とカトリックの伝統が融合した魅惑的な光景を目の当たりにする機会を提供します。パラチコスの踊りは、地域の守護聖人への奉納として行われ、古代の儀式と植民地時代以降のカトリックの祝祭が独特に融合した文化遺産となっています。
主な見どころ
パラチコスの踊り
太鼓の鼓動が空気を震わせる中、何百人ものパラチコスが街路に溢れ出します。パラチコスとは、この地域独特の伝統的な踊り手たちのことで、その名は踊り手自身と踊りの両方を指します。青い瞳と長い髪の木製の仮面が、地元の人々の浅黒い顔と鮮やかなコントラストを生み出します。踊り手たちは一糸乱れぬ動きで、セラペ(ポンチョ)を色とりどりに旋回させ、ソナハ(踊り手たちが手に持つマラカスのような楽器)の金属音が催眠的なサウンドトラックを奏でます。鞭とギターを持ち、フルートを吹くパトロン(指導者)に導かれ、パラチコスたちは町中を練り歩き、町中の様々な礼拝所を訪れながら、1日中踊り続けます。「エスキプラスの主よ、万歳!」という掛け声が喧騒の中に響き渡ります。「エスキプラス」とは、チアパ・デ・コルソの守護聖人である「黒いキリスト」を指し、この地域で深く崇拝されているキリスト像のことです。この掛け声は、パラチコスの踊りが単なる娯楽ではなく、宗教的な奉納の意味を持つことを示しています。
ドニャ・マリア・デ・アングロのパレード
祭りのハイライトの一つが、パラチコスの起源となった伝説の再現です。ドニャ・マリア・デ・アングロに扮した女性が、町に癒しをもたらしたとされるスペインの貴婦人を演じ、華やかな山車の上に乗ります。彼女が通り過ぎる際、熱心な群衆に向かってお菓子や小銭を投げ、その慈悲深い笑顔が、感謝とコミュニティの精神に根ざした祭りの起源を思い起こさせます。ドニャ・マリアは、地域の人々にとって重要な存在であり、彼女の行動は町の人々に希望と喜びをもたらしました。このパレードは、彼女への感謝を示すだけでなく、地域社会の絆を深める重要な役割も果たしています。
郷土料理の楽しみ
ペピタ・コン・タサホ(カボチャの種のソースと干し肉)の香りが空気中に漂い、祭りの参加者たちをこの地元の珍味へと誘います。通りには屋台が並び、蒸したチピリンのタマレスや、トウモロコシと砂糖で作られたチアパネコの伝統的なデザート、甘いニクアトレを提供しています。夜になると、トウモロコシを原料とした爽やかな飲み物ポソルの香りが、コパル樹脂の香の煙のような香りと混ざり合い、陶酔的な感覚体験を生み出します。
文化的・歴史的背景
パラチコスの伝統は17世紀にさかのぼり、先住民の儀式とカトリックの聖人崇拝が融合したものです。伝説によると、ドニャ・マリア・デ・アングロという裕福なスペイン人女性が、病気の息子の治療を求めてチアパ・デ・コルソにやってきました。地元の治療師が少年を治すと、ドニャ・マリアは感謝の意を込めて「少年のために」(para el chico)宴会や踊りを催し、これが最終的に「パラチコ」となったとされています。
チアパ・デ・コルソの人々にとって、パラチコスは単なる祭りではありません。それは彼らの文化的アイデンティティと回復力の生きた象徴なのです。この踊りは聖人への共同の奉納であり、先祖代々の伝統を保存する方法であり、町のメスティーソ(混血)の遺産の象徴でもあります。2010年にユネスコの無形文化遺産に認定されたパラチコス祭りは、今もなおコミュニティの誇りと団結の源となっています。
参加者の声
出張で訪れたチアパ・デ・コルソに到着したとき、たまたま祭りの期間中でした。最初は特に期待していませんでした。しかし、少し覗いてみると、そのエネルギーは電撃的でした!私は踊り手の海に巻き込まれ、彼らの鳴らす鈴の律動的な音にほとんど催眠状態になりました。地元の女性が私の魅了された様子を見て、脇に引き寄せ、チンチンの正しい振り方を教えてくれました。「心の中のビートを感じて、それを腕を通して流すのよ」と彼女は言いました。その夜の終わりには、私は、何世紀も続く伝統に迎え入れられたような気分でした。
面白い事実
- パラチコスが着用する木製の仮面は地元の職人によって手作りされ、完成までに1ヶ月かかることもあります。
- パラチコスは祭りの期間中、1日に最大12時間踊り、1日で推定7,000カロリーを消費します。
祭りの日程
パラチコスの祝祭を含むチアパ・デ・コルソのフィエスタ・グランデは、毎年1月4日から23日まで開催されます。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
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