西大寺会陽(はだか祭り)
裸と熱気がぶつかる、男たちの運試し
2026/02/20
毎年2月、普段は静かな岡山市の西大寺観音院が、男たちの熱気と歓声で揺れる「西大寺会陽(はだか祭り)」の舞台となります。極寒の夜、約1万人もの男たちが白いふんどしと足袋姿で集い、福を呼ぶ2本の「宝木(しんぎ)」を奪い合う壮絶な祭り。地元の人も観光客も、伝統とスリルを求める人には忘れられない体験となる、勇気と混沌、そして絆の祭典です。
会場は、国の重要無形民俗文化財に指定されている西大寺会陽。境内には裸足の足音、線香や冷たい川水の匂い、太鼓や掛け声が夜空に響き渡り、独特の緊張感と興奮に包まれます。冬の岡山で一番熱い夜を体感したい人におすすめの伝統行事です。
主な見どころ
宝木争奪戦:真夜中の運試しと男たちの激闘
クライマックスは夜10時、境内が暗転し、長さ約20cm、太さ4cmの宝木2本が群衆に投げ込まれる瞬間。1万人の男たちが一斉に押し合い、もみ合い、宝木を奪い合う壮絶な光景が広がります。宝木を「升(ます)」に納めた者がその年の「福男」となり、一年の幸運を授かるといわれています。
このほか、100本の柳の枝(ごこう)が投げ込まれ、こちらも縁起物として人気。熱気、歓声、体と体のぶつかり合い…まさに日本屈指の迫力を誇る祭りです。
水ごり・太鼓・祭りの高揚感
本番前には参加者が冷水で身を清める「水ごり」の儀式。男たちは「わっしょい、わっしょい!」と声を上げながら氷水に飛び込み、心身を引き締めます。昼間は子ども会陽や餅投げ、地元のイベントも開催。夕方からは女性だけの和太鼓演奏「会陽太鼓」が鳴り響き、提灯や屋台の明かりが境内を彩ります。祭りが進むにつれ、期待と熱気が最高潮に高まります。
ふんどし姿と境内の装飾
会陽の衣装は白いふんどしと足袋のみ。1万人の男たちが肌を寄せ合い、寒さを吹き飛ばす姿は圧巻。境内には提灯や旗が飾られ、線香の香りや水ごりの湯気が立ち上る神秘的な雰囲気。観音院の荘厳な本堂と裸の男たちのコントラストも見どころです。
文化・歴史的背景
西大寺会陽の歴史は500年以上。元々は新年の修行を終えた僧侶が、厄除けの護符(ごおう)を参拝者に投げ与えたのが始まり。あまりの人気で護符が奪い合いになり、紙から丈夫な木製の宝木へと変化しました。裸になるのは「けがれを祓い、清める」意味があり、神仏習合の祈りと厄除けの願いが込められています。
地元の人にとっては勇気と忍耐、そして地域の結束を象徴する伝統行事。「福男」は町のヒーローとなり、一生に一度は参加したいという人も多いです。外国人の参加も歓迎され、国際色豊かな祭りとしても知られています。
参加者の声
大学の友人と参加しました。照明が消え、宝木が飛んできた瞬間のエネルギーはすごかった!寒さも忘れるほど熱くなり、最後は知らない人同士でも健闘を称え合いました
豆知識
- 氷点下でも開催され、参加者の体からは湯気が立ち上ります。
- 宝木には香水が染み込ませてあり、香りを頼りに探す人も。
開催日程
西大寺会陽(はだか祭り)は毎年2月第3土曜日に岡山市・西大寺観音院で開催されます。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
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