トラーパニの聖劇の行列

悲しみと祈りが夜を包むシチリア最大の受難祭


2026/04/02 - 2026/04/03

毎年聖金曜日、シチリア西端の港町トラーパニは「ミステリ行列」に染まります。24時間にわたり、街中を巡る荘厳な行列には、信仰と芸術、そして人々の深い感情が込められています。夜通し漂うインセンスの香り、ゆっくりと響く太鼓の音、ランタンの揺れる光に照らされたバロック彫刻…。宗教的伝統や文化的スペクタクル、あるいは“生きた芸術”を体感したい人にとって、この行列は一生忘れられない体験になるでしょう。

毎年聖金曜日に開催され、地元の人も巡礼者も観光客も誰でも参加可能。コミュニティと芸術、信仰が一体となる、シチリアの魂を感じることができる祭りです。

主な見どころ

ミステリ像のグループ

祭りの中心は、キリストの受難を描いた等身大の木彫「ミステリ」20体。それぞれの像は地元の団体が担ぎ、独特の「アンナカータ」と呼ばれる揺れるステップで進みます。花やロウソク、銀細工で飾られた豪華な山車は圧巻で、彫刻の細部や厳かな動きから歴史の重みが伝わってきます。

24時間の大行列

行列は聖金曜日の午後2時に始まり、翌日の同時刻まで旧市街を巡ります。ブラスバンドの哀愁漂うマーチ、インセンスとロウソクの香り、夜の冷たい空気と山車の木の感触、群衆の圧力…すべてが静かな感動を生み出します。沿道には涙ぐむ人や祈りを捧げる人も多く、街全体が厳粛な雰囲気に包まれます。

衣装と装飾

参加者は黒いチュニックに白い手袋、サッシュを着用。バルコニーや教会は紫や金の布で飾られ、街灯は落とされ、ランタンやロウソクの柔らかな光が街を照らします。影と光、銀のきらめき、ユリとインセンスの香りが幻想的な空間を演出します。

伝統グルメ&ドリンク

夜通し、地元のパン屋ではイースターの伝統菓子「クッドゥーラ・ク・ローヴァ(卵入りパン)」やカッサテッレ(リコッタ入り揚げ菓子)、パネッレ(ひよこ豆のフリット)が並びます。焼き立てパンやアーモンドの甘い香りが漂い、屋台では熱いコーヒーやマルサラワインが提供され、参加者や見物客の体を温めます。

文化・歴史的背景

ミステリ行列の起源は17世紀、スペイン統治時代に遡ります。それぞれの山車は漁師や大工、パン職人など地元の組合が1年かけて手入れし、世代を超えて受け継いできました。トラーパニの人々にとってこの行列は、アイデンティティや記憶、そして地域の誇りを象徴する神聖な義務です。24時間絶え間なく続くこの芸術と信仰の融合こそが、町の精神そのものなのです。

現在では毎年数千人が訪れ、イタリア全土で中継される一大イベントですが、その心は今もトラーパニの家族や組合の手と心に受け継がれています。

参加者の声

ミラノから見物に来ました。静寂と音楽、インセンスの香り…圧倒されました。ある女性が“家族で100年以上このミステリ像を守っている”と話してくれて、ただの行列ではなく“人生そのもの”だと感じました。

豆知識

  • 行列は20km以上、24時間ノンストップで続きます。
  • 独特の「アンナカータ」という揺れる歩き方は、漁師の舟の動きを模したもの。
  • 中には地震や戦争を乗り越えた、シチリア芸術の至宝とされるミステリ像も存在します。

開催日程

    トラーパニのミステリ行列は毎年聖金曜日、シチリア・トラーパニで開催されます。

開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。

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実際の様子


開催情報

名称 トラーパニの聖劇の行列
イタリア
エリア トラーパニ
開催時期 2026/04/02 - 2026/04/03
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