パソーラ

スンバ島の槍と馬、祖霊が躍動する戦いの祭礼


2025/02/27 - 2025/03/09

毎年2〜3月、インドネシア東部スンバ島では、稲作の季節と祖霊への祈りを祝う「パソラ」が開催されます。これは馬に乗った戦士たちが槍を投げ合う、何世紀も続く勇壮な伝統儀式。西スンバの草原で繰り広げられるこの祭りには、島中や世界各地から家族や旅行者が集まり、神話と興奮、そして共同体の誇りが渦巻く“生きた伝統”を体感できます。

祭りが始まると、地響きのような馬の蹄音、戦士たちの叫び声、スンバ語の詠唱や太鼓のリズムが大地に響きます。踏みしめられた草の香り、焚き火やスパイシーな豚肉の煙、雨上がりの土の匂い…。太陽の下、羽根飾りや色鮮やかな衣装、光る槍をまとった騎手たちが繰り広げる光景は、島の野生と美しさそのものです。

主な見どころ

祖霊儀礼とマラプ信仰の祈り

パソラは村の司祭によるマラプ信仰の儀式で幕を開けます。祖霊への感謝と豊作祈願の供物、浄化の儀式、詠唱が神聖な空気を作り出し、最初の槍が投げられると戦いが始まります。

パソラの戦い:馬上槍投げ合戦

祭りの中心は、村ごとのチームに分かれた騎手たちによる馬上槍投げ合戦。鮮やかな民族衣装に身を包み、先端を丸めた竹槍を手に、裸馬で全力疾走しながら槍を投げ合います。土煙と歓声、危険と興奮が渦巻き、時に流血も起こりますが、それこそが土地の豊穣を呼ぶと信じられています。

文化パレードと伝統芸能

戦い以外にも、村人たちの華やかな衣装パレードや伝統音楽、踊り、馬の飾り付け、女性たちのイカット織りや装身具の展示も見どころ。会場ではワークショップや織物実演、地元グルメの屋台も並び、スンバ文化の多彩さを体感できます。

衣装とデコレーション

戦士は羽根飾りやビーズのネックレス、手織りサロンをまとい、馬も色鮮やかな布や飾りで装われます。盾や槍、装身具には村や家系の誇りや祖霊への敬意が込められています。

文化・歴史的背景

パソラの起源はスンバ島のマラプ信仰と神話にあり、伝説では悲恋と部族間抗争を和解に導くための儀式として始まったとされます。現在は祖霊への敬意と豊作祈願、共同体の再生を象徴し、祭りの日程は祖先のサインとされる「ニャレ(海のゴカイ)」の出現によって決まります。

スンバの人々にとってパソラは単なる見世物ではなく、祖先と土地、家族を結ぶ神聖な義務であり、流血さえも大地への供物とされます。家族の帰省や村の再会、共同体の誇りを確認する“生きた伝統”です。

参加者の声

パソラの戦いは圧巻。スピード、音、色彩…スンバ人の誇りと魂が伝わる瞬間でした。

豆知識

  • パソラはスンバ語で「槍投げ」を意味する。
  • 流血は豊作のしるしとされ、土地への供物と考えられている。
  • 祭りは島外や海外からの帰省者も多く、スンバの一大ホームカミングイベント。

開催日程

パソラは毎年2〜3月、西スンバ各地で開催。村人とともに草原を歩き、馬と槍、祖霊と興奮が交錯する“スンバの生きた伝説”を体感してみてください。

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実際の様子


開催情報

名称 パソーラ
インドネシア
エリア スンバ島
開催時期 2025/02/27 - 2025/03/09
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