トリシュール・プーラム

象と太鼓と傘が織りなすケーララ最大の祝祭


2026/04/30

毎年春、ケーララ州トリシュールの街は、色彩とリズム、信仰が渦巻く「トリシュール・プーラム」で熱狂に包まれます。「すべてのプーラムの母」とも呼ばれるこの祭りは、4月または5月の1日にわたり、ヴァダックナータン寺院の境内が豪華に飾られた象の行列、轟く太鼓と群衆の歓声で“生きた舞台”へと変わります。地元の人も巡礼者も世界中の旅人も、圧倒的な一体感とエネルギーに心を奪われます。

トリシュール・プーラムは毎年4月または5月(マラヤーラム暦メーダム月)、ケーララ州トリシュールのヴァダックナータン寺院で開催されます。伝統と芸術、コミュニティの調和を体感したい人々が、国内外から集まるケーララ最大級の祝祭です。

主な見どころ

象のパレードとクダマットム(傘交換)

祭りの中心は、金の装飾(ネッティパッタム)や鈴、絹の傘で豪華に着飾った50頭もの象の大行進。最大の見どころは「クダマットム」と呼ばれる傘交換競技で、象の上のチームが色鮮やかな傘を次々と交換し、観客から大歓声が上がります。寺院前に整列した象たちの壮観な姿は圧倒的です。

イランジタラ・メーラムと伝統音楽

ケーララ最大級の伝統オーケストラ「イランジタラ・メーラム」には、250人以上の打楽器奏者が参加。チェンダ太鼓やエラタラム(シンバル)、コンブ(ホルン)、クルムクザル(管楽器)が一斉に鳴り響き、群衆は音の波に身を委ねて踊り、歓声を上げます。お香や生花の香りとともに、陶酔と神聖さが満ちる空間です。

花火と夜のスペクタクル

夜になると、祭りは伝説的な花火「ヴェディケットゥ」で最高潮に。轟音とともに火花が夜空を彩り、寺院の古い壁に反射して幻想的な光景を生み出します。足元の花びらの感触や夜風の涼しさも、五感を刺激します。

衣装と装飾

参加者や観客は、白いムンドゥやカラフルなサリー、ジャスミンの花輪などケーララ伝統の装いで着飾ります。象は金や銀、絹で豪華に装飾され、寺院や街路もバナーや生花、灯りで彩られます。絹の手触りや花輪の重み、磨かれた金属の輝きが、祭りの“触れる美”を演出します。

伝統料理と飲み物

屋台では熱々のアッパム(米粉パンケーキ)、スパイシーなカダラカレー、バナナチップス、甘いパヤサムなどケーララ名物が並びます。ココナッツやカルダモン、揚げ物の香りが漂い、冷たいココナッツウォーターやチャイを片手に祭りを楽しむのが定番です。

文化・歴史的背景

トリシュール・プーラムの始まりは1796年。コーチン王サクタン・タンプーランが、雨でアラットプーザ・プーラムへの参加を断られた10の寺院をまとめ、新たな祭りを創設しました。彼はコミュニティの一体感と寺院芸術の壮大な発表の場を目指し、現在も“包摂・芸術・信仰”の象徴として多様な人々を惹きつけています。主祭神はシヴァ神で、ケーララ文化の豊かさを体現する生きた伝統です。

参加者の声

ムンバイから初めて来て、その規模と一体感に圧倒されました。地元の家族とイランジタラ・メーラムを一緒に踊りながら楽しみ、見知らぬ人の温かさに感動しました。

豆知識

  • トリシュール・プーラムには最大50頭、1頭4トン超の象が金の装飾をまとって登場します。
  • クダマットムでは30種類以上の傘が一度に交換されることも。
  • 1日で10万人超が集まる、インド最大級の寺院祭です。

開催日程

トリシュール・プーラムは毎年4月または5月、ケーララ州トリシュールのヴァダックナータン寺院で開催されます。日程はマラヤーラム暦(メーダム月)に基づきます。

開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。

続きを読む

実際の様子

Tokyo

photo by Amit Rawat

Tokyo

photo by Hareesh Haridas

Tokyo

photo by Rakesh R


開催情報

名称 トリシュール・プーラム
インド
エリア トリシュール
開催時期 2026/04/30
リンク