マハー・シヴァラートリ(シヴァの大夜祭)
光と祈り、変容の神秘が満ちる“シヴァの大夜祭”
2026/02/14
冬の終わり、月が最も暗くなる夜、インド各地は“マハー・シヴァラートリ(シヴァの大夜祭)”の神秘的なエネルギーに包まれます。ヴァラナシの古いガートからヒマラヤの山岳寺院まで、信者たちは夜通しの礼拝や音楽、瞑想のために集います。巡礼者、インド文化を愛する人、そしてこの祭りの独特な雰囲気に惹かれるすべての人にとって、マハー・シヴァラートリはインドで最も深い祈りと宇宙的な祝祭を体感できる特別な一夜です。
マハー・シヴァラートリは毎年2月または3月(ヒンドゥー暦ファルグナ月の新月前夜)に、インド全土や世界中のヒンドゥー教コミュニティで祝われます。老若男女、夫婦、修行僧、スピリチュアルな探求者まで、何百万人もの人々がシヴァ神を祀る寺院や聖なる川、家庭の祭壇に集い、“破壊と再生の神”シヴァに祈りを捧げます。
主な見どころ
夜通しのジャガラン(徹夜礼拝)とシヴァ・プージャ
マハー・シヴァラートリの中心は“ジャガラン”と呼ばれる夜通しの礼拝・瞑想・音楽です。寺院は油灯の揺れる光で照らされ、サンダルウッドやお香の香りが漂い、鐘や法螺貝、「オーム・ナマ・シヴァーヤ」のマントラが夜を満たします。信者たちはシヴァ・リンガ(象徴石)に花やベールの葉、ミルクや蜂蜜、水を注ぐ“アビシェーカム”という儀式を行い、石の冷たさや灯りの温もり、祈りのエネルギーが静謐かつ高揚した空気を生み出します。
断食・瞑想・奉納舞踊
多くの人が心身の浄化を願い、断食(時には水も断つ)を行います。夜通し瞑想やシヴァ神の物語・賛歌の朗読が続き、寺院によってはシヴァを“宇宙の舞踏王ナタラージャ”として称える古典舞踊“ナティアンジャリ”も奉納されます。太鼓のリズム、舞踊の渦、群衆の熱気で、五感も魂も研ぎ澄まされる夜です。
衣装と装飾
信者は純粋や放棄を象徴する白やサフラン色、シヴァの“青い喉”にちなむ青い衣装を身につけることが多いです。寺院はマリーゴールドやベールの葉、灯りで飾られ、額に灰を塗ったりルドラクシャ(聖なる実)の数珠を首にかけたりする人も。川や寺院の石床の冷たさ、花や灯明の手触りも祭りの一部です。
伝統料理とお供え
夜明けの断食明けには、果物やミルク、ココナッツ、玉ねぎやニンニクを使わないサットヴィック料理が振る舞われます。プラサード(お供え)として、タンダイ(スパイス入りミルク)、サブダナ・キチュディ(タピオカのピラフ)、ペダやキール(甘味)などが人気。冷たいミルクやベルフルーツの食感、カルダモンやサフランの香りが祭りの余韻を残します。
文化・歴史的背景
マハー・シヴァラートリは『スカンダ・プラーナ』や『リンガ・プラーナ』などの古代聖典にも記され、起源にはさまざまな伝説があります。最も有名なのはシヴァとパールヴァティの“宇宙的結婚”や、シヴァが宇宙創造・維持・破壊の舞“タンダヴァ”を踊った夜、または“乳海攪拌”で猛毒ハラハラを飲み込み“青い喉(ニールカンタ)”となった夜とも伝えられます。信者にとってこの夜は、闇や無知を乗り越え、祝福や解脱(モークシャ)を願う特別な時間です。
参加者の声
カシ・ヴィシュワナート寺院で毎年マハー・シヴァラートリに参加しています。夜通しのマントラや川岸の灯り、夜明けの鐘の音に、シヴァ神や周囲の人々との深いつながりを感じます。
豆知識
- マハー・シヴァラートリはインド国内外で何百万人もの人が祝う祭りで、カシ・ヴィシュワナート(ヴァラナシ)、ソムナート、チダンバラムなどの寺院が特に有名です。
- 一部の寺院では“ナティアンジャリ”という夜通しの古典舞踊奉納が行われ、全国から舞踊家が集います。
- シヴァ神に特に捧げられるのはベールの葉で、リンガにミルクや蜂蜜、水を注ぐ“アビシェーカム”儀式が行われます。
- 夜通し起きてシヴァの名を唱えることで、祝福や厄除けになると信じられています。
- 伝説によれば、この夜はシヴァとパールヴァティの結婚、または宇宙舞踊“タンダヴァ”が行われた特別な夜です。
開催日程
マハー・シヴァラートリは毎年2月または3月、インド全土や世界中のヒンドゥー教コミュニティで祝われます。日程はヒンドゥー暦(ファルグナ月)に基づきます。
開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。
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