オクトーバーフェスト

ババリア(バイエルン)の伝統が織りなす世界的大祭典


2026/09/18 - 2026/10/03

毎年秋、ミュンヘンのテレージエンヴィーゼは、世界中から600万人以上が集まるオクトーバーフェストの会場に変わります。この世界最大の民俗祭は、9月中旬から10月初旬にかけて16日から18日間開催され、地元の人や観光客がディルンドルやレザーパンツ(伝統的なバイエルン地方の衣装)を着て、1リットルのビールジョッキを掲げ、ババリア(バイエルン)地方ならではの音楽・食・伝統を全身で体験します。ビールテントの賑わい、家族連れも楽しめる遊園地、華やかなパレードなど、初めての方でも文化好きでも、誰もが本場のバイエルン文化を味わえる多彩な体験が待っています。

主な見どころ

伝説のビールテントとババリアのホスピタリティ

オクトーバーフェストの中心的な魅力は、17の大規模なビールテントと21の小規模なテントにあります。これらのテントはミュンヘンに拠点を置く6つの歴史ある醸造所が運営しており、特別にアルコール度数が高めに調整されたビールが、1リットルの大きなガラスジョッキで提供されます。ディルンドルやレザーパンツといった伝統的なババリアの衣装を身にまとったウェイトレスたちは、オムパバンドの生演奏に合わせて来場者と一緒に歌い、賑やかな雰囲気を作り出します。最大で1万名もの人々を収容できるテントもあり、それぞれのテントが独自のテーマや装飾で訪れる人々を楽しませています。

壮麗なパレードと伝統衣装

オクトーバーフェストは、地主や醸造所の代表者たちが参加する壮大なパレードで幕を開けます。馬車や花で飾られた華やかな馬車が街を練り歩き、市長が最初のビール樽を開ける「O’zapft is!」の掛け声とともに祭りが正式に始まります。初日には1万人以上の参加者が仮装やライフルマンの衣装を身にまとい、7キロメートルにわたる道のりを行進します。このパレードはアルプス地域の誇りを示すもので、ディルンドルやレザーパンツを着た人々が多く見られます。女性のエプロンのリボンはその人の婚姻状況を示し、男性の帽子にはヤギの毛が飾られているのが特徴です。

遊園地や歴史的アトラクション、家族向けの楽しみ

ビールテントの外には80以上の遊園地が広がり、世界最大の移動式ローラーコースター「オリンピア・ルーピング」や高さ80メートルのスカイフォール、クラシックな観覧車など、多彩なアトラクションが訪れる人々を楽しませています。家族連れには、昔ながらの遊具やバラエティショーも人気で、子どもから大人まで幅広い年齢層が楽しめる内容となっています。夜には幻想的な光と音楽が会場を包み込み、祭りの雰囲気を一層盛り上げます。

ババリア料理と飲み物

オクトーバーフェストは五感を刺激する食の祭典でもあります。会場には焼き鶏(ハルベス・ヘンドル)、焼きソーセージ、豚のひざ肉(シュヴァインシャクス)などの香ばしい香りが漂い、巨大なプレッツェルや甘いデンプフヌーデル、キャンディーアーモンドも多くの人に愛されています。ビーガンやベジタリアン向けには、カーゼシュペッツレ(チーズヌードル)やオバツダ(スパイスチーズスプレッド)などの料理も用意されています。ビールが主役の祭りですが、スナップスやジンジャンスピリッツ、リンゴスプリンターといった地元の蒸留酒も楽しむことができます。ここで味わうすべての料理は、ババリア地方の豊かな伝統を感じさせるものです。

文化的・歴史的背景

オクトーバーフェストは1810年、バイエルン王国の王太子ルートヴィヒとテレーゼ王女の結婚式を祝うために、ミュンヘンの城壁外に広がるテレージエンヴィーゼで大規模な競馬が開催されたことに始まります。市民も参加できる祝祭として大いに盛り上がり、翌年以降もその喜びを分かち合う恒例行事となりました。19世紀末には会場が電飾で彩られ、ビールや焼きソーセージなどの屋台やテントが並び、遊園地や大道芸人、音楽演奏会場なども加わって、国民的な祝祭に発展していきました。開催期間も徐々に延び、より温暖な9月にスタートし、最後の週末のみが10月にかかる現在のスタイルが定着しています。

この祭りは、ババリア(バイエルン)地方の伝統や誇り、そして「ゲミュートリッヒカイト(親しみやすさ・心地よさ)」という精神を象徴する存在です。ミュンヘン市内で醸造されたビールのみが提供され、地元の食や音楽、民族衣装が一堂に会することで、ババリア文化の粋を体感できる場となっています。戦争や疫病、経済危機など幾度もの困難を乗り越え、オクトーバーフェストは200年以上にわたり続いてきました。2020年・2021年のパンデミックによる中止を経て、2022年に復活した際には、改めて「変わらぬ伝統」の価値が強く認識されました。

現在では世界最大級のビール祭りとして、毎年600万人以上が来場し、会場だけで4億ユーロ超の経済効果を生み出しています。ビールや料理だけでなく、家族連れが楽しめる遊園地やショー、伝統衣装や記念グッズなども人気で、地元経済や観光産業を支える重要な役割も果たしています。オクトーバーフェストは単なるビールの祭典ではなく、世代や国籍を超えて人々が集い、ババリアの温かさと誇りを分かち合う“生きた文化遺産”なのです。

参加者の声

30歳の誕生日を祝うために、友人たちとオクトーバーフェストに行きました。数ヶ月前から公式サイトで希望のビールテントを選び、10人単位でしか予約できないルールに合わせてみんなの予定を調整し、無事にテント内の席を確保できた時は本当に嬉しかったです。当日は朝から会場入りして、ディルンドルやレザーパンツ姿の人々に囲まれ、巨大なビールジョッキを片手に乾杯。バンドの生演奏や隣のテーブルの陽気なドイツ人たちと肩を組んで歌い、まるで映画のワンシーンの中にいるような一体感を味わいました。

ビールテントを出てからは、遊園地エリアでジェットコースターやお化け屋敷、そして有名な観覧車にも挑戦。48メートルの高さから見下ろす会場は、色とりどりのテントや人波、夜にはイルミネーションがきらめき、まさに“ビールの都”そのもの。観覧車のゴンドラではみんなで写真を撮り合い、風に乗って漂う焼きソーセージやプレッツェルの香り、遠くから聞こえるバンドの音楽、どれもが五感に焼きつきました。

想像以上の規模と熱気、そして見知らぬ人とも自然に乾杯して笑い合える雰囲気に圧倒され、また必ずこの場所に戻ってきたいと心から思いました。

豆知識

  • オクトーバーフェストは年間600万人以上が訪れ、700万リットル以上のビールが消費されます。
  • 当初は10月に開催されていましたが、天候の良い9月に変更されました。
  • オクトーバーフェストでは、ミュンヘン市内で醸造されたビールのみが提供されます。

開催日程

オクトーバーフェストは毎年、ミュンヘンのテレージエンヴィーゼで開催され、9月中旬から10月初旬にかけて行われます。終了日は10月の最初の日曜日に設定されますが、祝日と重なる場合は10月3日まで続くこともあります。

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実際の様子


開催情報

名称 オクトーバーフェスト
ドイツ
エリア ミュンヘン, テレージエンヴィーゼ
開催時期 2026/09/18 - 2026/10/03
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