リエカのカーニバル

仮面と熱狂、地中海の魂がぶつかり合う祭典


2026/01/16 - 2026/02/14

毎年冬、クロアチアの港町リエカは「リエカ・カーニバル」の熱気に包まれます。ヨーロッパ最大級・最もワイルドな謝肉祭のひとつで、1月中旬から2月下旬まで続き、10万人以上の観客と1万人を超える仮装参加者が集う圧巻の祭りです。

地元の人も旅行者も家族連れも、誰もがこのお祭りの渦に飛び込めます。古代の異教儀式から現代のパレードまで、日常を忘れ、非日常の世界が街を包みます。

主な見どころ

グランドパレードとズヴォンチャリ:カーニバルの鼓動

祭りの中心は国際カーニバルパレード。5時間にわたり、100以上のグループがダンサーや音楽隊、風刺的な山車や幻想的な仮装で街を練り歩きます。ブラスバンドの音、太鼓のリズム、観客の笑い声が響き、紙吹雪が舞い、街の隅々までダンスと音楽があふれます。

中でも圧巻なのが、ユネスコ無形文化遺産にも登録されたカスタヴ地方の「ズヴォンチャリ(鐘鳴らし)」。羊皮や動物の仮面、大きなカウベルを身につけ、跳ねたり stomping したりしながら進む姿は、邪気を追い払い春を呼ぶ古代スラヴの伝統そのもの。原始的でパワフルな存在感が観客を圧倒します。

仮面舞踏会、子どもカーニバル、プスト人形の火刑

リエカ・カーニバルはパレードだけではありません。豪華な仮面舞踏会やストリートパーティー、数千人の子どもたちが参加する子どもカーニバルパレードも見どころ。祭りのクライマックスは、1年の災厄を背負った巨大な人形「プスト」を港で焼く儀式。火花と歓声が夜空を彩ります。

街中にはヴェネツィア風やグロテスク、コミカル、幻想的な手作り仮面があふれ、バルコニーや街路はカーニバルの旗や電飾で華やかに飾られます。

伝統グルメとカーニバルの味覚

カーニバルの香りも魅力のひとつ。焼きソーセージやフリトゥレ(粉砂糖をまぶしたミニドーナツ)、クロシュトゥレ(カリカリのねじり揚げ菓子)、大鍋で煮込む豆のシチューなどが屋台に並びます。地元ワインやラキヤ(果実ブランデー)、ホットワインも大人気。どれもリエカの海辺の味とお祭りの豊かさを感じさせてくれます。

文化・歴史的背景

リエカ・カーニバルの歴史は中世にまで遡り、カトリックの四旬節(イースター前の断食期間)を迎える前に、人々が心ゆくまで飲み食いし、仮装やパレードで日常を忘れて盛り上がる「謝肉祭」の伝統に由来します。しかしリエカのカーニバルは、さらに古い古代スラヴの異教儀式とも深く結びついています。特に「ズヴォンチャリ」と呼ばれる仮面の男たちが牛の角や毛皮、鈴を身につけ、大きな鐘を鳴らしながら街を練り歩く姿は、冬や悪霊、災厄を追い払い、春の再生と豊穣を祈る古代の呪術的な風習の名残です。

中世から近代にかけて、カーニバルは市民の「逆転の時」としても機能してきました。仮面や仮装によって身分や階級の差が消え、庶民が権力者や社会を風刺したり、日常とは逆の役割を演じたりすることで、社会の緊張を解き放ち、連帯感や自由な空気を生み出してきました。こうした「世界がひっくり返る」祝祭の精神は、今もリエカ・カーニバルの仮面パレードやユーモア、創造性に息づいています。

20世紀に入り、戦争や体制変化の影響で一時カーニバルは衰退しましたが、1982年に地元有志によって復活。以降、リエカ市民の誇りとアイデンティティ、世代や出自を超えた連帯の象徴として年々規模を拡大し、イタリアやオーストリア、スロベニアなどヨーロッパ各地、さらには世界中から参加者が集う国際的なイベントへと発展しました。

現代のリエカ・カーニバルは、伝統と革新、地域性と国際性が融合した“開かれた祝祭”として、地元の人々にとっては誇りと帰属意識の源であり、世界中の人々を歓迎する多様性と創造性の象徴となっています。仮面やパレードを通じて「自分を解放し、みんなで一つになる」喜びが、今もこの街を包んでいます。

参加者の声

ドイツからカーニバル目当てで来ました。パレードは圧巻で、色彩も音楽もすごい!道で出会った学生グループは巨大な海の生き物の仮装で、何カ月もかけて衣装を作ったそう。フリトゥレとホットワインも最高にお祭り気分でした。

豆知識

  • ズヴォンチャリ(鐘鳴らし)はユネスコ無形文化遺産に登録。
  • リエカ・カーニバルはサンデー・タイムズやCNNで「世界で最もワイルドな祭り」の一つに選出。
  • プスト人形の火刑は冬の終わりと厄払いの象徴。

開催日程

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実際の様子


開催情報

名称 リエカのカーニバル
クロアチア
エリア リエカ
開催時期 2026/01/16 - 2026/02/14
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