アロハ・フェスティバル

ハワイアン文化の鮮やかな織物

毎年9月、ハワイ諸島はアロハ・フェスティバルで活気に満ちあふれます。この1ヶ月間の祭典は、ハワイの文化や音楽を祝うイベントで、オアフ島を中心に毎年10万人以上が参加します。ワイキキを巡る色鮮やかなフローラル・パレードでは、伝統的なフラダンスやウクレレの音色が響き渡ります。また、ワイキキ・ホオラウレアでは、現代的なジャワイアン音楽も楽しめるなど、ハワイの豊かな文化遺産に触れる貴重な機会となります。

主な見どころ

ロイヤル・コート就任式

フェスティバルは、ワイキキのヘルモアで行われる荘厳なロイヤル・コート就任式で幕を開けます。アリイ（王族）が鮮やかな色の羽毛のマントとヘルメットを身につけ、その色彩が陽光に輝く中、戴冠式が行われます。貝殻のトランペットと伝統的なオリ（チャント）の神秘的な音色が空気を満たし、観客を古代ハワイへと誘います。儀式と華やかさに満ちたこの式典は、これから始まる文化の旅の基調を設定します。

ワイキキ・ホオラウレア

ワイキキ・ホオラウレアは、アロハ・フェスティバルの中で最も人気のあるイベントの一つで、「ホオラウレア」はハワイ語で「お祝い」を意味します。毎年9月、カラカウア通りがハワイ最大の野外パーティー会場に変貌します。約3万人もの人々が集まるこのイベントでは、ハワイアン音楽の歴史が一晩で体験できます。伝統的なメレ（ハワイの歌）から、ウクレレやスチールギターの音色、そして現代的なジャワイアン（ハワイ版レゲエ）まで、様々なジャンルの音楽が楽しめます。「マイ・リトル・グラス・シャック」や「ラブリー・フラ・ハンズ」といった名曲の生演奏も聴くことができ、通りのあちこちで即興のフラダンスが繰り広げられます。また、カルアポークや新鮮なパイナップルなどのハワイ料理の屋台、コアウッドの彫刻や貝殻のレイなどの工芸品の展示もあり、ハワイの文化を五感で楽しめる一大イベントです。

フローラル・パレード

アロハ・フェスティバルのフィナーレを飾るのは、息をのむような美しさのフローラル・パレードです。アラモアナ・ビーチパークを出発し、ワイキキを巡るこの壮観な行列では、何千もの熱帯の花で飾られた精巧なフロートが登場し、その甘い香りが空気を満たします。目玉は、パウライダーと呼ばれる女性の騎馬隊で、ハワイの各島を代表する流れるようなドレスを着た女性たちが、レイで飾られた馬に乗って進みます。マーチングバンドとフラ・ハラウ（フラ教室）が祝祭的な雰囲気を盛り上げ、その演技は目と耳の饗宴となります。

文化的・歴史的背景

アロハ・フェスティバルは、1946年に「アロハ・ウィーク」として始まりました。第二次世界大戦後、ハワイの観光産業を再建し、ハワイの文化を祝う目的で、元ジュニア商工会議所のメンバーたちによって考案されました。当初は9月中旬の1週間のイベントでしたが、1991年に「アロハ・フェスティバル」と名称を変え、現在では9月全体を通して開催される米国最大のハワイアン文化フェスティバルに成長しました。毎年約10万人の観客を集め、その経済効果は1000万ドル以上と推定されています。

ハワイアンにとって、アロハ・フェスティバルは文化的アイデンティティを守る重要な機会です。例えば、フェスティバルのハイライトである「ロイヤル・コート」の儀式では、ハワイ王国時代の王族の衣装を身にまとった人々が登場し、古代ハワイの伝統を再現します。また、フラ・カヒコ（古典フラ）の公演では、ハワイの神話や歴史を伝える踊りが披露されます。工芸品展示では、カパ（樹皮布）作りやレイ作りなどの伝統技術が実演され、若い世代への技術継承の場ともなっています。さらに、ハワイ語での朗読会や伝統楽器の演奏会なども行われ、失われつつあるハワイの言語や音楽の保存にも貢献しています。このように、アロハ・フェスティバルは単なる観光イベントではなく、ハワイの文化を守り、次世代に伝えていく重要な役割を果たしているのです。

参加者の声

「本土から来た私は、アロハ・フェスティバルに圧倒されました。ハワイにはビーチとルアウを期待して来ましたが、体験したのはそれよりもずっと深いものでした。ホオラウレアの間、フラの基本を教えてもらいました。人々の忍耐強さと温かさは、私が聞いていたアロハの精神そのものでした。夜が終わる頃には、見知らぬ人から友人になった人々と一緒に体を揺らし、ハワイに第二の故郷を見つけたような気がしました。