シルバーボール投げ

コーンウォールの海と伝統が響き合う千年の大騒動


2026/02/08

毎年2月、コーンウォール州セント・アイヴスの港町は「シルバーボール投げ」の日、千年の歴史を持つ伝統行事で活気にあふれます。ラグビーのような激しさと儀式的な神聖さ、そしてコーンウォール人の誇りが交錯するこの祭りでは、石畳の通りに笑い声が響き、潮風の中に子どもたちの歓声と音楽が溶け合います。生きたフォークロアや荒々しい自然、町よりも古い伝統の息吹を感じたい人には、絶対に見逃せない祭りです。

シルバーボール投げは毎年2月3日後の最初の月曜日、セント・アイヴス教会の奉献(1434年)を祝う「セント・アイヴス・フィーストデー」の一環として開催されます。地元の子どもたちや住民、観光客が集い、コーンウォールのケルト文化が色濃く残るこの伝統行事を体感します。

主な見どころ

シルバーボール投げの試合

祭りの中心はやはりシルバーボールをめぐる大乱戦。朝の行列とボールの祝福の後、銀細工が施されたリンゴの木のボールが港の砂浜で市長から子どもたちに投げ込まれます。約90分間、町中が舞台となり、子どもやティーンたちが砂や細い路地を駆け回り、笑い声や歓声、冷たい銀の感触や砂のザクザクした足ざわりが一体となった、時を超えたエネルギーがあふれます。

行列とセレモニー

朝はギルドホールから聖アイアの泉までの市民行列で始まります。市長がアイビーの葉に載せたシルバーボールを持ち、フォーク音楽やアイビーの冠をかぶった子どもたちが続きます。泉で神父がボールを祝福し、英語とコーンウォール語で伝説や歌が披露されます。アイビーの湿った香りやフィドルの音色、子どもたちが踊る姿が、まるで昔話の世界に誘ってくれます。

衣装と装飾

参加者は聖アイアにちなんでアイビーの小枝や冠を身につけ、音楽隊やダンサーは伝統的なコーンウォール衣装で登場。シルバーボールは冬の陽射しに輝き、町中は旗やバンティングで彩られます。石畳の通りや港が色と歌、熱気で満ちあふれます。

伝統料理と飲み物

試合の後は家族や友人がパブやカフェに集まり、コーニッシュ・パスティやサフランバン、ホットチョコレートや地元エールで体を温めます。焼きたての香りやサフランの甘さ、賑やかなパブの温もりも祭りの醍醐味です。

文化・歴史的背景

シルバーボール投げの起源は1000年以上前に遡り、ケルトとキリスト教の両方の伝統が色濃く残っています。コミュニティや幸運、町の守護聖人アイアを祝うこの行事は、かつては大人も参加していましたが、現在は子どもたちが主役。ボールを手にした者には幸運や健康、豊穣がもたらされると信じられ、今もコーンウォールのアイデンティティを次世代へと伝えています。

参加者の声

「セント・アイヴス育ちで、フィーストデーのボール投げは毎年一番の楽しみ。泥だらけでワイルドだけど最高の日です。祖父も昔のボール投げの話をよくしてくれます。」― ジャックさん(地元住民)
「2月にこの祭り目当てで訪れました。音楽やアイビー、子どもたちの全力疾走…まるでコーンウォールのおとぎ話の中みたい。娘が一瞬ボールを持てて、ずっと笑顔でした。」― エミリーさん(観光客)
「私にとってボール投げは“コミュニティ”そのもの。毎年行列を手伝い、泉での祝福から最後の大乱戦まで、町全体が一つになるのを見るとコーンウォール人でよかったと実感します。」― メーガンさん(地元住民)

豆知識

  • シルバーボールはリンゴの木と純銀で作られ、銀の帯で固定されています。
  • ボール投げはコーンウォールの“国技”で、コーニッシュ・レスリングと並ぶ伝統です。
  • 正午にボールを持って市庁舎に戻ると、市長から伝統的に5シリングのご褒美がもらえます。
  • 試合後、市庁舎のバルコニーから群衆にペニー硬貨がまかれるのも子どもたちの楽しみ。
  • コーンウォールでこの伝統が残るのはセント・アイヴスとセント・コロンブ・メジャーだけ。後者は大人が参加する激しい町対田舎バージョンです。

開催日程

シルバーボール投げは毎年2月3日後の最初の月曜日、コーンウォール州セント・アイヴスで開催されます。

開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。

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実際の様子

Tokyo

photo by KEN FORD

Tokyo

photo by KEN FORD


開催情報

名称 シルバーボール投げ
イギリス
エリア イングランド, セント・コロンブ・メジャー
開催時期 2026/02/08
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