スリンのゾウ祭り

巨象のパレード


2026/11/19 - 2026/11/21

毎年11月、静かなスリンの街は、色彩と音、そして250頭を超える象たちの堂々たる存在感に包まれます。スリンのゾウ祭りは、イサーン(タイ東北部に住む住民)の人々と象との深い絆を讃える壮大な祭典です。古の儀式と現代のスペクタクルが融合し、歴史と迫力、そしてタイの国獣である象の威厳を体感できる特別な時間が広がります。歴史や文化、動物の魅力を全身で味わいたい人にとって、スリンはまさに理想の場所です。

この祭りは毎年11月第3週末、スリン市内とシーナロン・スタジアムを中心に開催されます。家族連れ、旅行者、動物好きなど、タイ国内外から多くの人々が集まり、世界最大規模の象のパレードや華やかなパフォーマンス、他では味わえない文化体験を楽しみます。

主な見どころ

壮大な象のパレード&象の朝食ビュッフェ

夜明けとともに、スリンの大通りは約300頭の象とマフート(象使い)、カラフルな布や伝統的なペイントで飾られた象たちで埋め尽くされます。手作りの象帽子をかぶった子どもたちや地元の役人も行進に加わり、太鼓や象の鳴き声、笑い声が響き渡ります。パレードが市中心部に到着すると、名物「象のビュッフェ」が始まります。スイカ、パイナップル、バナナ、サトウキビなど50トンもの果物や野菜が通りにずらりと並べられ、象たちが器用に好物を選び、時には丸ごとスイカを飲み込む様子に歓声が上がります。

象のスキルショー&模擬戦

祭りの中心、シーナロン・スタジアムでは象たちのサッカーや綱引き(時には兵士100人を相手にします)、さらには象が鼻で絵を描くパフォーマンスも。歴史再現ショーでは、アユタヤ時代の戦いが再現され、赤と青の伝統衣装をまとった象とパフォーマーが、シャム軍とビルマ軍の伝説の戦いを演じます。象の突進や木剣のぶつかる音、舞い上がる砂埃に、観客の興奮も最高潮に達します。

プラサート・シーコラプームでのライト&サウンドショー

夕暮れになると、クメール様式の古代寺院プラサート・シーコラプームがライトアップされます。伝統舞踊や音楽、象のパフォーマンスが石造りの塔を背景に繰り広げられ、空気はお香と期待感で満ちています。音楽と語り、舞がスリンの歴史を紡ぎ、観客は星空の下で幻想的なひとときを味わいます。

衣装と装飾

マフート(象使い)は藍染めのシャツと格子柄のパーカオマー(腰布)、パレード参加者は鮮やかなシルクや金の装飾、豪華なヘッドドレスを身にまといます。象たちは刺繍入りの布やペイント、マリーゴールドやジャスミンの花輪で飾られ、子どもたちは手作りの象マスクや紙の衣装で祭りに彩りを添えます。街にはバナーが掲げられ、マーケットには象モチーフの雑貨や工芸品が並びます。

イサーンの香りと味覚を楽しむグルメ屋台巡り

祭りの会場では、もち米、スパイシーな焼き鳥、ソムタム(青パパイヤサラダ)、香り高いヌードルスープなどが並び、象のビュッフェのフルーツの甘い香りと混ざり合います。屋台では竹の器に盛られたココナッツアイスや串焼き、冒険好きにはカリカリに揚げた昆虫も。冷たいサトウキビジュースやハーブティーが暑さを和らげ、ココナッツ風味のカノムクロック(米粉のパンケーキ)はとろける美味しさです。

文化的・歴史的背景

スリンのゾウ祭り の起源は、スリン地域に古くから暮らすクイ族(クウェ族)による王室の象狩りにさかのぼります。クイ族はタイ国内でも特に象使い(マフート)としての高い技術を持ち、何世代にもわたり象の捕獲や調教を担ってきました。アユタヤ王朝時代(14世紀~18世紀)、王室の象狩りは国家の威信を示す重要な儀式となり、やがて一般市民も見学できる公開スペクタクルとして発展。クイ族の見事な象使いの技や、象と人が一体となる様子は、王族や外国の使節団をも魅了しました。

しかし、20世紀半ば以降、機械化や社会の変化により象の経済的役割が急速に減少。象狩りや林業で活躍していた象たちの仕事は失われ、クイ族や象使いの伝統も危機に瀕しました。そこで1960年代、地元行政や観光庁が中心となり、象と共に生きる文化を後世に伝え、観光資源として地域を活性化する目的でこの祭りが再構築されました。現在では、世界中から観光客が訪れるスリン最大級のイベントとなり、地域経済や象の保護活動にも大きく貢献しています。

スリンの人々にとって、象は単なる動物ではありません。家族の一員であり、人生を共に歩むパートナーであり、また力や知恵、幸運の象徴でもあります。特にクイ族にとっては、象と共に生きることが誇りであり、アイデンティティそのものです。祭りの期間中、象使いと象が心を通わせてパフォーマンスを披露する姿や、子どもたちが象に触れて学ぶ様子は、地域の結束や世代を超えた文化継承の場ともなっています。

また、現代社会においては象の保護や福祉の重要性も強く意識されるようになり、祭りは観光客や地元住民に対して象の現状や共生の大切さを伝える教育的な場としても機能しています。象と人が互いに支え合い、共に生きてきた歴史を再認識し、未来へとつなげていく――それがスリン・エレファント・ラウンドアップ・フェスティバルの真の意義です。

参加者の声

「オーストラリアから来ました。ずっとスリンの象祭りに憧れていて、ついに訪れることができました。一番印象的だったのは象のサッカー。巨大なボールを鼻で押してゴールを目指す姿はユーモラスで迫力満点でした。もち米と焼き鳥を売る地元のおばさんと話すと、祭りの時期が家族にとって一番忙しいそうです。会場全体が活気にあふれ、タイの人々と象の絆に感動しました。

面白い事実

  • 象のビュッフェでは50トン以上の果物や野菜が用意され、世界最大規模の象の朝食イベントです。
  • スリンのクイ族は何世代にもわたり象を調教してきた、世界有数の象使いの名手です。

開催日程

毎年11月の第3週末に開催されます。

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実際の様子


開催情報

名称 スリンのゾウ祭り
タイ
エリア スリン
開催時期 2026/11/19 - 2026/11/21
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