マーカブーチャ(万仏節)
光と祈りが満ちる夜
2026/02/27
毎年、旧暦3月の満月の夜になると、タイ各地の寺院は無数のろうそくの光に包まれます。マーカブーチャー(万仏節)は、仏教の教えと共同体の絆を称える特別な日。バンコクの賑やかな寺院から、パヤオ湖畔の静かな水辺まで、地元の人も旅行者も一緒になって功徳を積み、心を静め、幻想的な夜のひとときを過ごします。深い精神性と美しい光景が調和するこの祭りは、タイ仏教の本質を肌で感じたい人にこそおすすめです。
マーカブーチャーは、毎年2月または3月の満月の日にタイ全国や他の上座部仏教国で祝われる仏教の祝日です。家族連れも、旅人も、仏教の伝統や心のリセットを求めるすべての人に開かれています。
主な見どころ
ろうそく行進(ウィアンティアン)
夕暮れになると、寺院の境内は何千本ものろうそくの柔らかな光で満たされます。ウィアンティアンと呼ばれる儀式では、白い服をまとった参拝者たちが、花や線香、ろうそくを手に本堂を3周静かに歩きます。仏・法・僧の「三宝」を象徴しています。ゆらめく炎、蓮や線香の香り、読経の声が重なり、静謐で神聖な雰囲気に包まれます。パヤオではこの伝統が湖上に広がり、ろうそくを灯した小舟がワット・ティロカラームへと進み、湖面に無数の光が浮かび上がります。
托鉢(タクバット)
早朝、寺院周辺の通りには托鉢のために集まる人々の静かな活気が広がります。地元の人々はもち米や果物、自家製カレーなどをかごに入れ、裸足の僧侶に食べ物を施します。この「タクバット」は、一般の人が功徳を積み、僧侶と社会のつながりを感じる大切な機会です。
法話・瞑想・功徳積み
一日を通して、寺院では仏陀の教えに関する説法や瞑想会、功徳を積む様々なアクティビティが行われます。参拝者はオーワーダパーティモッカ(仏陀の根本教義)の読誦に耳を傾け、鐘の音や読経、回転するお経車の音が静かに響きます。
文化的・歴史的背景
マーカブーチャーは今から約2,600年前、仏陀が1,250人の阿羅漢(悟りを開いた弟子)に対して、悪を避け善を行い心を清めるという仏教の根本教義「オーワーダパーティモッカ」を説いた奇跡の日を記念しています。この出来事は「四重の吉祥集会」とも呼ばれ、理想の仏教共同体や、忍耐・慈悲・調和といった価値観を祝う日となりました。
タイで公的な祝日として制定されたのはラーマ4世(モンクット王)時代の1851年。王はこの精神的意義を重視し、エメラルド寺院での国家的な式典を始めました。その後ラーマ5世が全国に拡大し、今日ではタイ仏教のアイデンティティを象徴する重要な祭日となっています。現代でもタイや他の上座部仏教国で、伝統と現代的な信仰が融合した形で広く祝われています。
タイの人々にとってマーカブーチャーは、仏陀の教えを振り返り、優しさや忍耐、自制心を新たに誓う日です。貪欲・怒り・無知という「三毒」を浄化し、家族や地域の絆を深め、感謝や施し、平和への願いを分かち合う大切な時間でもあります。
参加者の声
「バンコクのワット・サケットでマーカブーチャーに参加しました。ろうそく行進は本当に幻想的で、何千人もの人が静かに巡る光景に心を打たれました。現地の方々と一緒に蓮の花や線香を分け合い、儀式の意味を教えてもらいながら、静かで温かな時間を過ごせました。人々の優しさや、質素な食事、そして一体感はこれまでにない体験でした。僧侶の方から仏陀の教えや慈悲の大切さを聞き、自分自身の生き方を見つめ直すきっかけになりました。」
面白い事実
- マーカブーチャーは「仏教の万聖節」や「サンガ(僧団)の日」とも呼ばれ、タイではヴィサカブーチャー(仏誕節)に次ぐ重要な仏教行事です。
開催日程
旧暦3月の満月の日に開催されます。
- 2026/02/28(旧暦3月の満月)[1]
- 2025/03/28(旧暦3月の満月)[1]
- 2024/02/24(旧暦3月の満月)[1][4][8]
- 2023/03/06(旧暦3月の満月)[4][8]
- 2022/02/16(旧暦3月の満月)[4][8]
- 2021/02/26(旧暦3月の満月)[4][8]
- 2020/02/08(旧暦3月の満月)[4][8]
- 2019/02/19(旧暦3月の満月)[4][8]
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