ファスナハト(バーゼル・カーニバル)
真夜中の魔法と仮面と音楽が街を包む3日間
2026/02/22 - 2026/02/25
バーゼル・カーニバル(ファスナハト)は、毎年春にスイス・バーゼルで開催される、仮面・ランタン・音楽と紙吹雪が街を埋め尽くすスイス最大級の伝統カーニバルです。
毎年春、スイスの都市バーゼルは「ファスナハト(バーゼル・カーニバル)」の夢のような熱気に包まれます。72時間にわたり、中世の街並みを仮面の音楽隊や巨大なランタン、紙吹雪が埋め尽くし、世界中から20万人以上の観光客が訪れます。夜型の人も伝統好きも、五感を刺激するスイス文化を体験したい人も、バーゼル・カーニバルは一生忘れられない体験になるはずです。
3月の夜明け前、街の明かりがすべて消え、何千もの手描きランタンがふわりと灯る瞬間。細い路地に響くピッコロと太鼓の音、足元に積もる紙吹雪の感触…。3日間、バーゼルの街はまるで生きたアート作品のように変貌します。
主な見どころ
モルゲンシュトライヒ:午前4時の魔法の幕開け
祭りは月曜午前4時ちょうど、街の明かりが一斉に消え、200以上の「クリーク」(カーニバルグループ)が手作りランタンと仮面、楽器を持って旧市街を練り歩く「モルゲンシュトライヒ」で始まります。唯一の光はランタンの灯りだけ。ピッコロと太鼓の幻想的な旋律が響き渡り、まるで異世界に迷い込んだような体験です。
コルテージュパレード&グッゲンムジーク
月曜と水曜の午後は、華やかなコルテージュパレードが街を巡ります。数千人の仮面参加者が紙吹雪をまき、飴やオレンジを配り、山車から風刺劇を披露。グッゲンムジーク(仮装ブラスバンド)の陽気な演奏が街中に響き渡り、観客もお菓子や紙吹雪を求めて大盛り上がりです。
ランタン展示&シュニッツェルバンク
モルゲンシュトライヒ後は、ミュンスター広場にランタンが展示され、その精巧な絵柄や風刺デザインを間近で楽しめます。夜は地元の歌い手が「シュニッツェルバンク」と呼ばれる風刺ソングを披露し、イラストボードとともに時事ネタをユーモラスに歌い上げます。
仮装と装飾
参加者は「ラルヴェ」と呼ばれる仮面をつけ、グロテスクな顔や動物、政治家など多彩なキャラクターに扮します。街は紙吹雪で覆われ、店のウィンドウもカーニバル風の板で保護&装飾。仮面の手触り、紙吹雪の感触、ランタンの灯り…五感で楽しめる装飾が魅力です。
伝統グルメ&ドリンク
祭りの定番はメールズッペ(小麦粉スープ)、ツヴィーベルヴァーエ(玉ねぎタルト)、ファステンヴァーエ(キャラウェイ入りパン)。カフェや地下室ではホットワインやビール、スイーツが夜遅くまで提供され、焼き玉ねぎやパン、スパイスの香りが冷たい空気に漂います。
文化・歴史的背景
バーゼル・カーニバルの歴史は非常に古く、記録上は1376年の「バゼルの血の月曜日事件」まで遡ります。当時はカトリックの謝肉祭(カーニバル)として、四旬節(断食期間)の直前に盛大に行われていました。しかし16世紀の宗教改革でスイスはプロテスタント化し、多くの地域でカーニバルが禁止される中、バーゼルでは独自の形で祭りが生き残りました。
特徴的なのは、バーゼル・カーニバルが「灰の水曜日」後の月曜午前4時から始まる点です。これは、プロテスタントの伝統とカトリックの名残が混ざり合った独特のタイミングで、スイス国内でも唯一無二の開催方式となっています。祭りは72時間きっかり続き、その間は市民が仮面やランタン、風刺画や音楽で社会や政治を痛烈に批判し、自由な表現の場となります。
19世紀以降、山車やグッゲンムジーク(仮装ブラスバンド)、シュニッツェルバンク(風刺ソング)など新しい要素が加わり、現代の多彩で芸術性の高いカーニバルへと発展しました。2017年には「バーゼル・ファスナハト」としてユネスコ無形文化遺産に登録され、今や市民の誇りとアイデンティティ、そして創造性の象徴となっています。
バーゼル市民にとってファスナハトは、子どもから大人まで世代を超えて受け継がれる人生の通過儀礼であり、地域コミュニティの結束と自由な表現の場。観光客にとっても、スイスの歴史・社会・風刺文化を体感できる貴重な体験です。
参加者の声
午前4時、暗闇の中でモルゲンシュトライヒを体験した感動は一生もの。音楽もランタンも、何百年もの歴史の一部になった気がしました。
豆知識
- モルゲンシュトライヒの時だけ、法律で市中心部の明かりがすべて消される。
- 紙吹雪は単色のみ販売(混色は不吉とされる)。
- 世界唯一のプロテスタント系カーニバルでもある。
開催日程
バーゼル・カーニバルは毎年「灰の水曜日」後の月曜午前4時からスタート。真夜中の街でランタンと音楽に包まれ、スイス最大のカーニバルの魔法に酔いしれてみてください。
開催が近いお祭り
モンスのデュカス祭り ベルギー
ドラゴンの咆哮が街をひとつにする伝説と歓喜の一週間
2025/06/11聖アントニオ祭り(いわし祭り) ポルトガル
リスボンが恋とサルディーニャに染まる、初夏の祝祭
2025/06/11聖アントニオ祭り(いわし祭り) ポルトガル
リスボンが恋とサルディーニャに染まる、初夏の祝祭
2025/06/11セフルー・チェリーフェスティバル モロッコ
春と美とコミュニティを祝うモロッコの甘い祭典
2025/06/12バナナスプリットフェスティバル アメリカ
小さな町に広がる、甘くて懐かしい夏の幸せ
2025/06/13ヘルシンキサンバカーニバル フィンランド
北欧の夏に咲く熱帯の花火
2025/06/13バナナスプリットフェスティバル アメリカ
小さな町に広がる、甘くて懐かしい夏の幸せ
2025/06/13バリ・アートフェスティバル インドネシア
色彩と舞踊、島の魂が躍動する一か月
2025/06/14狂人の祭り メキシコ
サン・ミゲルが熱狂する色と笑いとカオスの祭典
2025/06/17ベルガのラ・パトゥム祭り スペイン
巨人と悪魔の炎の舞