ヴァルプルギスの夜

炎と歌で春を迎えるスウェーデンの祝祭


2026/04/29

ヴァルボリの夜は、スウェーデンで冬の終わりと春の訪れを祝う伝統的な火祭りです。4月最後の夜、長い冬がようやく終わりを告げる頃、スウェーデン各地の町や村は「ヴァルボリの夜(ヴァルプルギスの夜)」の熱気に包まれます。澄んだ空気の中、巨大な焚き火が次々と灯り、合唱団が春を告げる歌を響かせ、人々が集まって春の訪れを祝います。大きな炎と音楽、そしてみんなで分かち合う高揚感――スウェーデンのコミュニティ精神や季節の変わり目の喜びを体感したい人には、まさに必見のイベントです。

毎年4月30日に開催されるこの祭りは、学生も家族も、都会の人も田舎の人も、地元の人も旅行者もみんなが主役。大都市の広場でも、静かな湖畔の村でも、誰もが炎と歌と春の空気に包まれる夜です。

主な見どころ

巨大な焚き火

ヴァルボリの夜の中心は、地域のみんなで集めた枝や木で作る巨大な焚き火。夕暮れとともに火が放たれると、炎が夜空に舞い上がり、子どもから大人までその温もりと迫力に引き込まれます。パチパチと燃える音、木の香り、炎のゆらめき…五感で楽しむ春の儀式です。

主なイベント

焚き火の点火とともに、学生や地域の合唱団が春の歌を合唱。ウプサラやルンドなどの大学都市では、学生たちが白い帽子(学生帽)をかぶり街をパレードし、ピクニックや川下り、夜通しのパーティーで盛り上がります。多くの町では春を祝うスピーチや花火、子ども向けのたいまつ行列やゲームも行われます。

衣装と装飾

特別なドレスコードはありませんが、大学生は白い学生帽(studentmössa)をかぶるのが伝統。まだ肌寒いのでスカーフやコート姿も多く、春の花やスウェーデン国旗で飾る人も。焚き火そのものが祭りの主役で、リボンやランタンで彩られることもあります。

伝統グルメ&ドリンク

ピクニックが定番で、サンドイッチやソーセージ、ポテトサラダ、焼き菓子がバスケットに並びます。学生街ではシャンパンとイチゴが欠かせず、家族連れは焚き火でホットドッグを焼いたり、手作りケーキやコーヒーを楽しんだり。焼きソーセージの香りやイチゴの甘みが春の訪れを実感させてくれます。

文化・歴史的背景

ヴァルボリの夜の起源は、冬から春への季節の変わり目を祝う古代ゲルマンの火祭りにさかのぼります。悪霊を追い払い、光の復活を願って焚き火が焚かれたのが始まりです。名前は8世紀のイギリス人修道女・聖ヴァルプルギスに由来し、彼女の祝日と春の祭りが重なったことで現在の形に。19世紀には特に学生の間で人気となり、今では全国的な春の風物詩に発展しました。

スウェーデン人にとってヴァルボリの夜は、単なるお祭りではなく、長い冬に別れを告げ、希望と再生、みんなで迎える春の喜びを象徴する行事。焚き火を囲むことは、寒さと闇から解放され、新しい季節への期待を分かち合う大切な儀式です。

参加者の声

ストックホルム郊外の小さな村で現地の人たちと焚き火を囲み、みんなで春の歌を歌いました。現地の女性が“子どもの頃からこの祭りが本当の春の始まりだった”と話してくれたのが印象的でした。

豆知識

  • ウプサラだけで10万人以上が集まる、スウェーデン最大級の野外イベント。
  • 学生帽(studentmössa)は卒業生がこの夜に初めてかぶる伝統。
  • ヴァルボリの夜はフィンランドやエストニア、ドイツなど北ヨーロッパ各地でも祝われている。
  • 地域によっては冬に使ったクリスマスツリーを焚き火で燃やす習慣も。

開催日程

ヴァルボリの夜は毎年4月30日にスウェーデン全土で開催されます。最新情報はVisit Swedenや各地の観光局をご確認ください。

開催日程は変更になる場合があります。最新の情報は公式サイトなどをご確認ください。

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実際の様子

Tokyo

photo by Rutger Blom


開催情報

名称 ヴァルプルギスの夜
スウェーデン
エリア ストックホルム,
開催時期 2026/04/29
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