ガーマ・フェスティバル
アーネムランドに響く歌と対話、聖なる集い
2026/07/30 - 2026/08/02
毎年8月、オーストラリア北部アーネムランドの赤い大地とユーカリ林が「ガーマ・フェスティバル」の熱気に包まれます。ガルクラという聖地で開催されるこの祭りは、ヨルング族を中心とした先住民文化とオーストラリア最古の伝統を体感できる特別な祝祭。全国から先住民・非先住民、アーティスト、リーダー、訪問者が集い、大地と人、文化のつながりを深く味わいます。オーストラリアの“心の鼓動”を感じたい人にとって、ガーマは音楽・ダンス・アート・対話が織りなす魂の体験です。
夕暮れに響くイダキ(ディジュリドゥ)の低音、赤土を舞う踊り手たちのボディペイントと羽根飾り、焚き火で焼かれるブッシュフードの香り、星空の下で味わうダンパーや新鮮な魚…。五感を刺激し、古代の知恵と現代の希望が交差する“生きた集い”がガーマです。
主な見どころ
ブングル(伝統舞踊の儀式)
ガーマの中心は、毎晩行われるヨルングの伝統舞踊「ブングル」。長老から子どもまで、訪問クランも加わり、赤土の舞台でリズムと歌、羽根やオーカーの衣装が一体となる荘厳な光景。拍子木やイダキの音色とともに、誰もがヨルングの物語と法に迎え入れられます。
キーフォーラム&学びのサークル
ガーマは対話の場としても有名。キーフォーラムには先住民リーダーや政治家、研究者が集い、和解や土地の権利、未来のオーストラリアについて議論します。ワークショップやユースフォーラムでは、ヨルング語やアート、ブッシュメディスンなどを体験でき、世代や文化を超えた学びが広がります。
アート・音楽・ストーリーテリング
会場では樹皮画や織物、彫刻、現代アートまで多彩な作品が展示され、伝統音楽や先住民バンドのライブも楽しめます。夜は焚き火を囲み、長老が物語や知恵を語り継ぐ“世界最古の口承文化”の時間も。
衣装と装飾
踊り手はオーカー(天然顔料)のボディペイントや羽根飾り、編みスカートをまとい、色や模様がクランや土地の物語を伝えます。会場はペイントポールやバナー、ブッシュ素材で彩られ、赤土の感触や夜風もガーマならではの体験です。
文化・歴史的背景
ガーマ・フェスティバルの起源は、1999年にヨス・インディ・ファウンデーション(Yothu Yindi Foundation)が設立したことに始まります。ヨス・インディ・ファウンデーションは、ヨルングの長老やリーダーたちが中心となり、ヨルング文化の保存・継承と、先住民と非先住民の相互理解・和解を推進する目的で設立されました。
開催地のガルクラ(Gulkula)は、アーネムランドの北東部に位置し、ヨルングの人々にとって何千年も前から儀式やイニシエーション(通過儀礼)が行われてきた聖地です。ガルクラは「イダキ(ディジュリドゥ)」発祥の地ともいわれ、音楽・舞踊・ストーリーテリングなど、ヨルング文化の根幹が息づく場所です。
1990年代、オーストラリア社会では先住民の権利回復や文化復興の動きが高まっていましたが、依然として差別や誤解、社会的な分断が残っていました。こうした状況を受けて、ヨス・インディ・ファウンデーションは「双方向の学び(two-way learning)」をコンセプトに、先住民と非先住民が対等に語り合い、知恵や価値観を分かち合う場としてガーマをスタートさせました。
ガーマは、伝統儀式や芸術、音楽、ストーリーテリングだけでなく、政治・教育・社会問題についてのフォーラムやワークショップも重視しています。これにより、ヨルングのアイデンティティの強化と次世代への伝承、そしてオーストラリア全体の和解・多文化共生の象徴的な場となりました。
現在、ガーマは国内外から2,500人以上が参加するオーストラリア有数の先住民文化イベントへと成長し、ヨルングの誇りと知恵、そして“共に学び合う未来”を世界に発信し続けています。
参加者の声
夕暮れのブングルは忘れられません。赤土、音楽、みんなが一体になる瞬間…古代と美しさにつながった気がしました。
豆知識
- イダキはヨルング語でディジュリドゥのこと。世界最古の楽器のひとつ。
- 「ガーマ」はヨルング語で「知恵を分かち合う集い」の意。
- ガーマのキーフォーラムはオーストラリアで最も重要な先住民政策の議論の場のひとつ。
開催日程
ガーマ・フェスティバルは毎年8月、ノーザンテリトリー・アーネムランドのガルクラで開催。大地と文化、音楽と対話の祝祭を、ぜひ現地で体感してください。
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