サンフアンの火祭

風刺的な要素を含む精巧な木製・紙製の彫刻が街中に建てられます。これらの印象的な構造物の中には20メートルを超えるものもあり、6月24日の夜に「La Cremà（ラ・クレマ）」と呼ばれる行事で儀式的に燃やされます。

毎日午後2時にプラザ・デ・ロス・ルセロスで轟音を響かせる爆竹ショー「マスクレタ」が行われます。祭りのクライマックスは6月23日の海岸での「Nit del Foc（火の夜）」と呼ばれる大規模な花火大会です。

伝統衣装を着た人々による色鮮やかなパレードが街を練り歩きます。6月21日の「バンドの入場」パレードでは音楽バンドが披露され、21日と22日の「花の奉納」では参加者がレメディオスの聖母に花を捧げます。

訪問者は「バラッカス」（barracas）や「ラコス」（racós）と呼ばれる、食事やダンスを楽しむための特設スペースで地元の名物料理を味わうことができます。

・バラッカス：祭りの期間中に設置される仮設のテントで、地元の料理や飲み物を提供します。ここでは、パエリアやアロス・ア・バンダなどの伝統的なアリカンテ料理を楽しむことができます。

・ラコス：より小規模で親密な雰囲気の飲食スペースで、タパスや地元のワイン、特製のカクテルなどを楽しむことができます。

また、祭り特有の料理も見逃せません：

・コカ・アム・トニーナ（Coca amb tonyina）：ツナを使った伝統的な塩味のペストリー。

・ブレバス（Brevas）：イチジクの一種で、祭りの時期に食べられる伝統的な果物。

これらの場所で、アリカンテの地元の味と祭りの雰囲気を同時に楽しむことができます。

サン・フアンの火祭りは、夏至を祝う古代の真夏の祭りに起源があります。アリカンテでは、1928年にバレンシアのファリャス祭りにインスピレーションを受けて現代の祭りが始まりました。焚き火は浄化と再生を象徴し、夏の到来を歓迎します。

この祭りは、アラゴン地方とカタルーニャ地方の数々の地で夏の到来を祝う先祖代々の伝統とも関連しています。ピレネーのラス・ファジャスとしても知られるこの伝統は、「ピレネー山脈の夏至の火祭り」としてユネスコの無形文化遺産に指定されています。

ピレネー山脈の村々では、参加者が火のついた手作りのたいまつ（ファジャス）を持ち、高地から降りてきて火で様々な形を作ります。最後に、村では大きな炎が舞い上がり、それをもって夏を迎えます。これらの儀式は先祖代々受け継がれており、村ごとに、シンボルが異なります。

また、2014年には、スペイン政府の観光省によって「Fiestas of International Tourist Interest of Spain」に認定されています。これは国際的な知名度と観光的価値を持つ祭りに与えられる最高レベルの認定です。

サン・フアンの焚き火祭りは私たちの血に流れています。市庁舎広場の巨大な焚き火が燃えるのを見ていると、伝統に対する誇りが湧いてきます。顔に感じる熱、群衆の歓声、炎のパチパチという音、これらの感覚の洪水が私の心を毎年動かします。祭りの期間中、街全体が一つになっているのを感じるんです

偶然この祭りに出くわしましたが、信じられないほど素晴らしい驚きでした。祭りの期間中、アリカンテのエネルギーは電気のように感じられます。暑い午後にオルチャータを飲んだ味や、ニット・デル・フォクの花火の壮大さも鮮明に記憶に残っています。特にラ・クレマの特に、子供たちが消防車の放水を駆け抜ける様子を見た興奮は忘れられません。

私にとって、この祭りは家族と伝統に関するものです。今年は孫を連れて、燃やされる前のニノット（人形）を見に行きました。特に巧みな政治風刺を見て笑いました。政治家や有名人の風刺は、私たちの文化と時事問題への洞察を反映しているんです。祭りは毎年少しずつ変化していますが、コミュニティと喜びの精神は変わりません。バラッカスでパエリアを食べながら、若い人たちと交流できるのも毎年の楽しみなんです。

スペインのアリカンテで毎年6月20日から24日まで開催されます。