聖ジョアン祭り
火とイワシとハンマーが響く、ポルトの真夏の夜
2025/06/22 - 2025/06/23
毎年6月23日、ポルトの街は「サン・ジョアン祭り」でカラフルな熱狂に包まれます。カトリックと古代の太陽信仰が混ざり合ったこの夏至の祭りは、地元の人も観光客も一緒になって夜通し踊り、笑い、イワシを頬張り、夜空を彩る花火や無数の紙ランタンを見上げる“ポルトで一番魔法の夜”。初めての人も、毎年欠かさず参加する人も、サン・ジョアンは誰もが家族になれる特別なフェスティバルです。
午後から明け方まで、歴史あるリベイラや川沿い、旧市街のあちこちに人が集まり、ライブ音楽やダンス、炭火焼きイワシやビファナ(豚肉サンド)を楽しみます。街中に響くプラスチックハンマーの「ポコッ」という音と、バジルや炭火の香り、そして花火の轟音が、夏の夜を五感で満たします。
主な見どころ
路上パーティー・花火・ユニークな伝統
祭りの中心は、街全体を巻き込むオールナイトの路上パーティー。どこも野外コンサートやフォークダンスで盛り上がり、炭火焼きイワシやカルド・ヴェルデ(ケールスープ)、ビファナ、スペアリブなどが並びます。ビールやポートワインも欠かせません。
真夜中にはドウロ川とドン・ルイス1世橋を背景に大規模な花火大会が開催され、10万人以上が川沿いや屋上、船の上から夜空を見上げます。紙ランタン(バロインス)が無数に空へ舞い上がる光景も幻想的です。
プラスチックハンマー・ニンニク・たき火
サン・ジョアン祭りの名物は、カラフルなプラスチックハンマー。老若男女がこれでお互いの頭を軽く叩き合い、幸運や友情を分かち合います。昔はニンニクやリーキ(ネギ)を振りかざす習慣もあり、健康や魔除けの意味が込められています。
街角ではたき火が焚かれ、勇気ある人はその炎を飛び越えて無病息災を祈ります。バジル鉢(マンジェリコ)や紙の旗、詩を飾るのも風物詩。各地区では「カスカータ」と呼ばれるミニチュアの祭壇やジオラマも飾られます。
衣装・デコレーション
ドレスコードはないものの、花冠やフェイスペイント、バジル鉢を持つ人が多く、街中はバナーや風船、ランタンで彩られます。教会や広場はキャンドルや電飾で輝き、どこも温かく賑やかな雰囲気に包まれます。
伝統グルメとドリンク
サン・ジョアンの主役はやっぱり炭火焼きイワシ!厚切りパンにのせて手づかみで食べるのが定番。他にもカルド・ヴェルデやスペアリブ、ビファナ、サン・ジョアンケーキなど。ビールやワイン、ポートワインと一緒に、笑い声とともに味わいます。
文化・歴史的背景
サン・ジョアン祭りは600年以上の歴史を持ち、ポルトガル北部のポルトで毎年6月23日から24日にかけて開催される伝統的な夏の祭典です。この祭りは、カトリックの洗礼者聖ヨハネ(サン・ジョアン)の誕生を祝う宗教的な意味と、古代から続く夏至(1年で最も日が長い日)や太陽、豊穣を祈る異教的な火祭りの要素が融合して生まれました。もともとは宗教行列やミサが中心でしたが、時代とともにたき火を飛び越える勇敢な若者たちの姿や、夜空を彩る花火、そして1960年代に登場したプラスチックハンマーや、かつて使われていたニンニクやリーキ(ネギ)で頭を軽く叩き合うユニークな悪戯など、健康や幸運、再生を願う庶民の祭りとして発展してきました。
サン・ジョアン祭りは、家族や友人が再会し、伝統を守りながらも新しい楽しみを取り入れる“ポルトの魂”を象徴するイベントです。祭りの夜には、歴史あるリベイラや川沿い、旧市街の路地に何万人もの人々が集まり、炭火焼きイワシやカルド・ヴェルデ、ビファナなどの郷土料理を味わい、ライブ音楽やダンス、花火や紙ランタンで夜明けまで盛り上がります。たき火を飛び越える勇気試しや、幸運を願うハンマーの音、そしてバジル鉢や「カスカータ」と呼ばれるミニチュア祭壇の展示など、街中が伝統と創造性に満ちた祝祭空間となります。
この祭りは、ポルトガルの歴史や文化、そして市民の結束と喜びを体感できる“生きた伝統”です。今では世界中から多くの観光客が訪れ、誰もが一晩で“ポルトの家族”になれる夜として、世代や国籍を超えて人々をつなぐ特別な存在となっています。
参加者の声
「旅行者として初参加。知らない人にハンマーで頭を叩かれた瞬間から友達になり、食べ物や思い出を分け合いました。街全体が大きな家族のようでした。」
豆知識
- サン・ジョアン期間中に食べられるイワシは100万匹以上!
- プラスチックハンマーは1960年代から普及し、昔はニンニクやリーキを使っていました。
開催日程
サン・ジョアン祭りは毎年6月23日夜から24日朝にかけて、ポルト全域で開催されます。早めに街に繰り出し、ハンマー片手にこの“ポルトで一番熱い夜”を体験してみてください。
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