聖アントニオ祭り(いわし祭り)

リスボンが恋とサルディーニャに染まる、初夏の祝祭


2025/06/11 - 2026/06/12

毎年6月、リスボンの街は守護聖人サント・アントニオを讃える「聖アントニオ祭り」で熱狂に包まれます。6月12日・13日の2日間、歴史ある路地や坂道はカラフルな飾りとサルディーニャ(イワシ)の香ばしい匂い、パレードや路上パーティーの賑やかなリズムで満ちあふれます。地元の人も恋人たちも、異国の文化を味わいたい旅人も、リスボンの“本気の夏”を体感できる最高のフェスティバルです。

祭りの中心はアルファマ、バイロ・アルト、グラサなどの旧市街。地元の人も観光客も一緒になって音楽や笑い声、グリルの煙に包まれ、サント・アントニオ名物の集団結婚式や華やかなパレード「マルシャス・ポプラーレス」など、リスボンらしさ全開の祝祭が続きます。

主な見どころ

マルシャス・ポプラーレスとサント・アントニオの結婚式

6月12日の夜、最大の見どころは「マルシャス・ポプラーレス」。各地区のグループが衣装や振付、歌を何カ月もかけて準備し、アヴェニーダ・ダ・リベルダーデを練り歩きます。色とりどりの衣装やバナー、紙花、エネルギッシュなパフォーマンスで、どの地区が一番かを競い合う様子は圧巻。数千人の観衆が見守る中、夜通し盛り上がります。

もう一つの名物が「サント・アントニオの結婚式」。6月12日には市が主催する集団結婚式が行われ、選ばれたカップルたちがバジルの鉢(マンジェリコ)やプレゼントを受け取り、リスボンで一番有名な新郎新婦として祝福されます。新婚カップルはそのままパレードやパーティーに参加し、街全体が幸せムードに包まれます。

アライアル(路上パーティー)、衣装とデコレーション

リスボン中の各地区では「アライアル」と呼ばれる路上パーティーが開催され、ライブ音楽やフォークダンス、ゲームや屋台グルメが夜通し楽しめます。通りや広場、バルコニーはアーチや風船、紙花で飾られ、参加者は伝統衣装やカラフルな夏服、パレードの揃いの衣装やフリルスカート、サッシュ、セーラー帽などで登場。街全体がランタンと人々の笑顔で輝きます。

伝統グルメとドリンク

聖アントニオ祭りといえば、炭火焼きサルディーニャ!厚切りパンにのせて手づかみで食べ歩くのが定番です。他にもカルド・ヴェルデ(ケールとチョリソーのスープ)、ビファナ(ガーリックポークサンド)、パォン・コン・ショリソ(チョリソーパン)、焼きパプリカやバジルの鉢も人気。ビールやワイン、サングリアも欠かせません。マンジェリコ(バジル鉢)に紙の旗と詩を添えて贈り合うのも恋の風物詩です。

文化・歴史的背景

聖アントニオ祭りの起源は13世紀に遡り、リスボン生まれの聖人サント・アントニオ(パドヴァのアントニオ/1195-1231)を讃える宗教行事として始まりました。聖アントニオはその説教の力や貧しい人々への慈愛、失せ物探しや縁結びの守護聖人として知られ、リスボン市民に深く愛されてきました。1930年にポルトガルの守護聖人、1981年にはリスボンの守護聖人にも正式に選ばれています。

この祭りは、聖アントニオの命日である6月13日を中心に、古くは宗教行列やミサを中心とした厳かな祝日でしたが、やがて夏至の太陽や豊穣を祝う異教的な要素も取り込まれ、街全体が参加する庶民の祝祭へと発展しました。6月はイワシが旬を迎える時期でもあり、炭火焼きイワシの屋台や香りがリスボン中にあふれることから「イワシ祭り」とも呼ばれるようになりました。

1930年代からは、地区ごとに競い合う「マルシャス・ポプラーレス(大パレード)」が始まり、色鮮やかな衣装や歌、踊りでリベルダーデ大通りを練り歩くこの伝統は、リスボンのアイデンティティを象徴する一大イベントとなりました。1950年代には市主催の集団結婚式も加わり、縁結びの聖人サント・アントニオにちなんで多くのカップルが祝福されるようになりました。

現在の聖アントニオ祭りは、宗教的な祈りとともに、パレードや路上パーティー、イワシやバジルの鉢(マンジェリコ)を贈り合う恋の風習など、リスボンの誇りとおもてなし、人生を楽しむ心を体現する“生きた伝統”です。市民も観光客も一緒になって、教会の祈りから路上の笑顔まで、リスボンの夏を祝う風物詩となっています。

参加者の声

観光客として初めて参加しましたが、グラサの路上パーティーでカルド・ヴェルデを初体験。地元の人にダンスを教わり、リスボンの魔法のような夜を味わいました。サルディーニャを食べて踊って歌って、夜明けまで楽しむのが最高です。

豆知識

  • この祭りは「イワシ祭り」とも呼ばれ、毎年100万匹以上のサルディーニャが消費されます。
  • サント・アントニオの集団結婚式は1950年代から続き、テレビ中継もされる人気行事です。
  • バジル鉢(マンジェリコ)に紙の旗と詩を添えて贈り合うのが恋人たちの伝統です。

開催日程

聖アントニオ祭りは毎年6月12日〜13日、リスボンのアルファマ、バイロ・アルト、グラサ、アヴェニーダ・ダ・リベルダーデなどを中心に開催されます。路上パーティーでサルディーニャを頬張り、リスボンの夏の魔法に酔いしれてください。

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実際の様子


開催情報

名称 聖アントニオ祭り(いわし祭り)
ポルトガル
エリア リスボン
開催時期 2025/06/11 - 2026/06/12
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