奇跡の主(セニョール・デ・ロス・ミラグロス)

リマを紫に染める、祈りと希望と伝統の大行進


2026/10/02 - 2026/10/27

毎年10月、リマの街は「奇跡の主(セニョール・デ・ロス・ミラグロス)」の祭りで紫色の人波に包まれます。約1か月にわたり、街には香の煙と聖歌、行進の足音が響き渡り、世界最大級の宗教行列が繰り広げられます。ペルーの伝統、信仰の力、そしてリマの絶品屋台グルメを全身で味わいたい人にとって、この祭りはまさに必見です。

奇跡の主の祭りは毎年10月にリマ市内各地で開催され、歴史地区を巡る大行進が最大の見どころ。信者はもちろん、観光客や地元の人も誰でも参加でき、ペルー中、そして世界中から人々が集う、色彩と祈りと連帯感に満ちた祝祭です。

主な見どころ

聖画の大行進

祭りの中心は、十字架のキリスト像が描かれた巨大な聖画(壁画)が「ナサレノス」と呼ばれる担ぎ手たちによって街中を練り歩く大行進。プラットフォームに載せられた聖画の周囲には香の煙が立ちこめ、紫と白の花が降り注ぎ、紫の衣をまとった信者の波が続きます。数万人が一体となって聖歌を歌い、白いハンカチを振る光景は圧巻です。

主なイベント

10月の複数日にわたり、リマ旧市街を中心にさまざまなルートで大行進が行われます。交通は封鎖され、バルコニーには紫のバナーが飾られます。沿道では合唱隊やブラスバンドの演奏、神父による祝福も。特別ミサやキャンドルの夜間礼拝、「デセンサ」と呼ばれる聖画の降下式も見どころです。

衣装と装飾

参加者は白い帯を締めた紫のチュニック姿が定番で、これは悔い改めと謙虚さの象徴とされます。ロザリオや奇跡の主の小さな像を持つ人も多く、裸足で歩く信者も。街やバルコニーは紫と白の花やキャンドル、宗教バナーで彩られ、香や花の香りが潮風と混ざり合い、厳かでありながらも華やかな雰囲気です。

伝統グルメ&ドリンク

10月のリマといえば「トゥロン・デ・ドーニャ・ペパ」。アニス風味のヌガーにカラフルな砂糖菓子を散りばめた甘いお菓子が、街中の屋台やパン屋に並びます。アンティクーチョ(牛ハツ串焼き)、ピカロネス(サツマイモのドーナツ)、マサモラ・モラーダ(紫トウモロコシのプリン)、チチャ・モラーダ(紫トウモロコシのドリンク)など、甘さ・スパイス・素朴な味が祭りの楽しさをさらに盛り上げます。

文化・歴史的背景

奇跡の主の祭りは17世紀、アンゴラ出身の奴隷がリマのアドビ教会の壁にキリスト像を描いたことに始まります。1655年の大地震で街が壊滅的被害を受ける中、この壁画だけが無傷で残ったことから「奇跡」とされ、信仰が広まりました。以来、リマの労働者層やアフロ系住民を中心に信仰が深まり、困難や希望の象徴としてペルー全土に広がりました。

現在では「奇跡の主」はリマの守護聖人であり、南米でも有数の宗教的アイコン。行進には100万人以上が参加し、10月のリマは紫一色に染まります。多くの人にとってこの祭りは、家族や地域の絆、感謝や祈りを新たにする大切な時間です。

参加者の声

アレキパからこの祭りのために来ました。人混みの多さは聞いていましたが、聖画が目の前を通る瞬間の感動は想像以上。ナサレノスの担ぎ手に加わり、数ブロックだけ一緒に担がせてもらいました。重さも絆も本当に特別な体験でした.

豆知識

  • メインの大行進は20時間以上、10km以上に及ぶこともある。
  • 紫のチュニックの由来は17世紀の信者アントニア・マルドナードが始めたとされる。
  • 10月にはリマ中のパン屋でトゥロン・デ・ドーニャ・ペパが50万本以上売れる。
  • ニューヨークやマドリード、ミラノなど世界各地のペルー人コミュニティでも祭りが行われている。

開催日程

    奇跡の主の祭りは毎年10月、リマ市内各地で複数日にわたり開催されます。

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実際の様子

Tokyo

photo by pedro zaciga

Tokyo

photo by Dan Gaken


開催情報

名称 奇跡の主(セニョール・デ・ロス・ミラグロス)
ペルー
エリア リマ,
開催時期 2026/10/02 - 2026/10/27
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