マーストリヒト・カーニバル
色彩とカオス、コミュニティが中世の街を包む3日間
2026/02/14 - 2026/02/16
毎年2月または3月、オランダ南部の宝石マーストリヒトの街は「カーニバル(現地ではファステラオヴェント)」の熱狂に包まれます。3日間、石畳の通りや広場、歴史ある橋が、奇抜な衣装やブラスバンド、そして地元の人も観光客も巻き込む陽気なエネルギーであふれます。伝統・音楽・お祭り騒ぎが中世の街並みとリムブルフ流のおもてなしに溶け合う、オランダ屈指の“体験型”カーニバルです。
フライトホフ広場の号砲で始まり、マルクト広場に響くブラスバンドの余韻で終わるまで、マーストリヒトのカーニバルは五感を刺激します。きらびやかな衣装、揚げ菓子の香り、地元ビールの味、足元に積もる紙吹雪…家族連れもパーティ好きも文化好きも、誰もが“最も陽気で温かいオランダのカーニバル”を楽しめます。
主な見どころ
ボーンテ・ストレム大パレード&ストリートカーニバル
カーニバル最大の目玉は日曜の「ボーンテ・ストレム」大パレード。テーマごとの山車や巨大パペット、ブラスバンド(ザーテ・ヘルメニエケス)、仮装グループが市街地を練り歩きます。赤・黄・緑のカーニバルカラーで埋め尽くされ、音楽・ダンス・笑い声が街中にあふれます。
パレードだけでなく、マーストリヒトのカーニバルは“ストリートカーニバル”が有名。あちこちで即興の音楽やダンス、バル巡りが繰り広げられ、街全体が巨大なパーティ会場に。誰もが自然に輪に加わり、陽気なカオスと一体感を楽しめます。
主要イベント:プリンス・カーニバル、鍵の授与式、クラミニョンダンス
祭りの幕開けはプリンス・カーニバル(カーニバル王子)の登場。市長から「街の鍵」を受け取り、3日間だけ“街の権力”を託されます。プリンスはパレードの先頭に立ち、祭りの象徴として大活躍。
土曜日には、プリンスがカーニバルの守護像「モースウィーフ」に野菜の花輪を捧げます。毎晩8時33分にはマルクト広場で伝統のクラミニョンダンス(みんなで手をつないで踊るラインダンス)が行われ、誰でも飛び入り参加OK。街全体が一つになる瞬間です。
衣装&デコレーション
カーニバルの命は“ペクスケス”と呼ばれる仮装。地元の人は何ヶ月もかけて、羽根・スパンコール・ウィッグ・フェイスペイント・奇抜な帽子など、ユーモアや風刺を効かせた衣装を自作します。街は赤・黄・緑のバナーやガーランドで彩られ、橋や街灯、自転車までカーニバルカラー一色。衣装に“演技”やパフォーマンスを加える人も多く、遊び心満載です。
伝統グルメ&ドリンク
カーニバル名物はノンネフォッテン(リボン型の揚げドーナツ)。この時期だけ味わえる甘いお菓子で、地元のパン屋や屋台で大人気。他にもブラッドソーセージやレバーソーセージ、ジンジャーブレッド、煮込み料理など、リムブルフ地方の郷土料理が並びます。地元ビールやイェネーファー(オランダジン)で乾杯し、歴史あるカフェやバーは夜遅くまで賑わいます。
文化・歴史的背景
マーストリヒトのカーニバル(Vastelaovend)は、中世カトリックの四旬節(Lent)前の“飲めや歌えや”の時期にルーツを持ちます。もともとは春を迎える前に社会のルールや身分差を一時的に逆転し、庶民や“愚者”が街を仕切ることで、日常の秩序や緊張を解放する役割がありました。カーニバルは冬の終わりを告げる“闇から光”への転換、豊穣と再生を願う儀式的な意味も持ち、やがてカトリック教会に取り込まれ、四旬節前の3日間(現在は日曜〜火曜)に盛大に祝われるようになりました。
マーストリヒトでは、少なくとも中世初期からカーニバル的な祭りが行われていた記録があり、19世紀には上流階級が主催する「ソシエテ・モムス」と、庶民によるストリートカーニバルが並行して存在しました。第二次世界大戦後、カーニバル協会「デ・テンペレールス」が両者の伝統を融合し、貴族も庶民も、老若男女も、誰もが参加できる“みんなの祭り”へと発展。今も毎年11月11日11時11分にカーニバルシーズンが開幕し、プリンス・カーニバルの選出や鍵の授与、モースウィーフ像の登場、ボーンテ・ストレム大パレードなど、独自の儀式やシンボルが大切に受け継がれています。
カーニバルはリムブルフ州や北ブラバント州などオランダ南部のカトリック文化圏で特に盛んで、ベルギーやドイツの影響も色濃く残ります。仮装(ペクスケス)や山車、ブラスバンド、即興の音楽や踊り、そして“社会的な役割の逆転”という伝統は、現代でもコミュニティの結束や創造力、ユーモアの象徴。準備期間から当日まで、世代や地域、移住者も巻き込んで街全体が一つになる、マーストリヒトの“心”ともいえる存在です。
参加者の声
観光客として参加しましたが、色彩とエネルギーに圧倒されました。小さなバーで地元の人たちとオランダ語の歌を歌い、みんなが昔からの友達のように迎えてくれて感激。初めて食べたノンネフォッテンの味も忘れられません。
豆知識
- 赤・黄・緑のカーニバルカラーは旗やお菓子、フェイスペイントにも使われます。
開催日程
マーストリヒト・カーニバルは毎年2月または3月、市内中心部を舞台に開催。早めに到着して思い切り仮装し、音楽と笑いと魔法に満ちたこの街最大のお祭りを体験してみてください。
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