国王の日
オレンジ色に染まるオランダ最大の祝祭
2026/04/26
毎年4月27日、オランダ全土が「キングスデー(Koningsdag)」でオレンジ色に染まり、国中が熱狂に包まれます。王ウィレム=アレクサンダーの誕生日を祝うこの国民的祝日は、100万人以上がアムステルダムをはじめ各地のストリートや運河、広場に集い、音楽やダンス、青空市、そしてオランダらしい陽気な一体感を楽しみます。地元の人も観光客も、誰もが“世界最大のバースデーパーティー”に参加できる一日です。
朝から夜遅くまで、町中がフェスティバル会場に変身。笑い声やストリートフードの香り、ライブミュージックがあふれ、オランダ人の王室愛と“ヘゼリヒハイト(居心地の良さ・一体感)”が街を包みます。伝統と自由な雰囲気が融合した、他にはない祝祭です。
主な見どころ
オレンジ一色のストリートパーティー(オランイェヘクテ)
キングスデー最大の特徴は、頭の先からつま先までオレンジ色に染まる「オランイェヘクテ(オレンジ狂騒)」。服やウィッグ、帽子、フェイスペイント、バナー、さらにはフードやドリンクまでオレンジ色!王室オラニエ家への敬意を表し、街中がオランダの団結と陽気さに包まれます。アムステルダムやロッテルダム、ユトレヒト、ハーグなどでは大規模なストリートパーティーや野外コンサート、運河のボートパーティーも大盛況です。
全国規模のフリーマーケット(フリーマルクト)
キングスデーの日、オランダ全土が巨大なフリーマーケット「フリーマルクト」に変身。誰でも許可なしで自宅前や公園、通りで中古品や手作りグッズ、手作りお菓子などを販売できます。子どもたちも自分の屋台を出し、通りは値切り交渉や大道芸、音楽、ゲームで大賑わい。リサイクル文化と社交の場が一体となった、オランダらしい風景です。
伝統ゲーム&移動遊園地
家族向けの伝統的な遊びも盛りだくさん。スパイカープーペン(紐に付けた釘落としゲーム)、クックハッペン(ぶら下げたクッキーを口で取る競争)、トンボラ(ビンゴ抽選会)など、広場や公園で子どもも大人も楽しめます。多くの都市では移動遊園地やカーニバルゲーム、ライブパフォーマンスも開催され、懐かしさと賑やかさが共存します。
衣装とデコレーション
この日はオレンジ色がドレスコード。ウィッグや王冠、オレンジのサングラスやチュチュ、全身コスチュームまで様々。オランダ国旗やガーランド、バナーが家や橋、ボートを彩り、顔に国旗をペイントしたり、ペットまでオレンジ色に着飾る人も!
伝統グルメ&ドリンク
キングスデーはオランダの定番グルメも満喫できます。必食はオレンジ色のトンプース(カスタードパイ)、この日限定でベーカリーやスーパーに並びます。ビターバレン(揚げミートコロッケ)、ポッフェルチェス(粉砂糖をかけたミニパンケーキ)、ストロープワッフル(キャラメルワッフル)、フリッツ(マヨネーズたっぷりのフライドポテト)も人気。オランイェビッター(オレンジリキュール)やビール片手に街歩きもおすすめです。
文化・歴史的背景
キングスデー(Koningsdag)の起源は1885年、ウィルヘルミナ王女の5歳の誕生日を祝う「プリンセスデー(Prinsessedag)」として8月31日に初めて開催されたことにさかのぼります。当時、王室人気が低迷していた中で、リベラル派の政治家たちが国民統合を目的に始めた祝日でしたが、幼い王女は国民に広く愛されていました。最初は地域限定の行事でしたが、やがて全国に広がり、パレードや子ども向けの催しが夏休みの締めくくりとして定着していきました。
1890年にウィルヘルミナが女王に即位すると「クイーンズデー(Koninginnedag)」となり、1902年には女王の病気回復を祝って全国的な祝祭へと発展しました。1948年にユリアナ女王が即位すると、クイーンズデーは女王の誕生日である4月30日に移動。ユリアナ女王の時代には、ソースダイク宮殿で王室が国民から花束を受け取る様子がテレビ中継され、国民的な休日としての性格が強まりました。
1980年にベアトリクス女王が即位すると、気候の良い4月30日(母ユリアナ女王の誕生日)を祝日として継続。ベアトリクス女王は伝統を刷新し、毎年王室一家が異なる町や村を訪れ、地元のイベントやゲームに参加するスタイルを導入。これが現在まで続くスタイルの原型となりました。
2013年、ベアトリクス女王が退位し、ウィレム=アレクサンダー国王がオランダで100年以上ぶりの男性君主となりました。2014年からは祝日名が「キングスデー(Koningsdag)」に変わり、国王の誕生日である4月27日に移動。現在も王室一家は毎年異なる都市を訪れ、その様子は全国生中継されます。キングスデーはオランダ人のアイデンティティや団結、王室への誇り、“ヘゼリヒハイト(居心地の良さ・一体感)”の象徴であり、自由やコミュニティ、オレンジ色の一体感を祝う大切な日として根付いています。
参加者の声
キングスデーの熱狂は本当に唯一無二です。朝から街中がオレンジ色に染まり、子どもからお年寄りまでみんなが道端や広場で歌い、踊り、笑い合っています。私はアムステルダムの運河でボートパーティーに参加したのですが、音楽が鳴り響く中、知らない人同士が自然と乾杯してハグし合い、国籍も年齢も関係なく“仲間”になれる雰囲気。気づけばドイツ、ブラジル、韓国、イタリア出身の人たちと一緒に踊っていて、まさに“世界が一つになる日”を体感しました。オレンジ色のサングラスや王冠、フェイスペイントで全身コーディネートして、人生で一番自由でハッピーな一日でした。
豆知識
- アムステルダムだけで100万人以上が祝うため、当日は人口がほぼ2倍に!
- フリーマルクトは世界最大級の青空市で、全国に何千もの屋台が出現。
- オレンジ色は王室オラニエ家のシンボル。フードやドリンクまでオレンジ色に染まります。
- 2013年までは「クイーンズデー」だったが、国王即位で「キングスデー」に。
開催日程
キングスデーは毎年4月27日(27日が日曜の場合は26日)にオランダ全土で開催。オレンジ色を身にまとい、ストリートパーティーに飛び込んで、世界一陽気なバースデーを体験してみてください!
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