ブルーメンコルソ（花のパレード）

毎年秋、オランダ・アールスメールの町は「ブルーメンコルソ・アールスメール（Aalsmeer Flower Parade）」で色彩と香りに包まれます。世界唯一の“水上花パレード”として知られ、9月の爽やかな週末に、地元の温室で育てられた何千・何万本もの花で飾られた船やフロートが運河や街道をゆっくりと進みます。花好きはもちろん、写真好きや“オランダらしい体験”を求める人にもおすすめの、五感で楽しむ地域の誇りあふれる祭典です。

パレードはアールスメールから周辺の町まで続き、水辺と街並みが一大アートギャラリーに変身。ダリアやバラ、ユリの甘い香り、ライブ音楽や笑い声、そして鮮やかなフロートの競演が、忘れられない秋の思い出を作ります。この週末だけはアールスメールが“オランダの花の心臓”となり、誰もが美と創造力を分かち合います。

水上花パレード

イベント＆アクティビティ

オランダのブルーメンコルソ（花パレード）の伝統は、中世の宗教行列にまでさかのぼります。当時は聖書の物語を描いた山車が登場し、文字が読めない人々にも宗教的メッセージを伝える役割を果たしていました。やがて時代が進むにつれ、これらの宗教的なパレードは徐々に世俗的な祝祭へと姿を変え、地域の収穫や花産業の発展を祝うイベントへと発展していきました。19世紀には南フランス・ニースのカーニバルや「花合戦」などの影響も受け、オランダ各地で花を使った装飾山車のパレードが始まります。特にハールレムなど花産業が盛んな町では、19世紀末から盛大な花パレードが行われるようになりました。

第二次世界大戦後、オランダ社会は再生と希望を求めていました。1947年、ヒレホムのアマリリス栽培家ウィレム・ワルメンホーフェンがヒヤシンスで覆われたクジラ型のフロートを作ったのが、現代のブルーメンコルソの始まりです。近隣の町も協力し、ボランティアや地域コミュニティが一体となって山車を制作する伝統が根付きました。戦後の復興期に生まれたこの祭りは、地域の連帯感や創造力の象徴となり、やがて全国規模へと拡大。1950年代には50万人以上が来場する一大イベントとなり、ケーケンホフ公園の開園もパレード人気を後押ししました。

アールスメールのブルーメンコルソは、特に“水上パレード”という独自のスタイルで知られています。地元の花市場や温室産業と深く結びつき、何千・何万本もの花で飾られた船やフロートが運河や街道を進む姿は、まさに“花と水の町”ならではの風景です。山車の制作には数ヶ月をかけ、直前の数日で地元温室の新鮮な花を一気に飾り付けるため、地域住民や友人グループ、建設チームが一丸となって準備します。1台のフロートに50万本ものダリアが使われることもあり、競技性を持つコルソ文化では審査員による表彰も大きなモチベーションです。

コルソ文化は単なるパレードではなく、準備期間中の食事やパーティー、世代を超えた交流と技術継承、地域の誇りや連帯感そのものです。オランダ国内では年間約30の花パレードが開催され、総勢7万5千人以上のボランティアが関わります。2021年には「オランダのコルソ文化」がユネスコ無形文化遺産に登録され、その歴史的・文化的価値が国際的にも認められました。

こんなにたくさんの花を見たのは人生で初めて！水上を進む船の一つ一つが夢のように美しく、花の香りと音楽、みんなの笑顔が本当に魔法のような時間でした。フラワーアレンジメントのワークショップで地元の人と話し、フロートの裏話も聞けて、本当に“誰でも歓迎される”お祭りだと感じました。

• ブルーメンコルソ・アールスメールは世界唯一の“水上花パレード”。毎年数十万本の花で船やフロートが飾られます。
• アールスメールは世界最大の花市場「フローラホランド」があり、1日2,000万本以上の花や植物が取引されます。
• 2021年、オランダの「コルソ文化」はユネスコ無形文化遺産に登録されました。

ブルーメンコルソ・アールスメールは毎年9月、アムステルダム南西のアールスメールで開催。運河沿いのベストスポットで花のパレードを楽しみ、色・香り・創造力に包まれる唯一無二の秋を体験してみてください。