バリ・アートフェスティバル
色彩と舞踊、島の魂が躍動する一か月
2026/06/12 - 2026/07/11
毎年6月から7月、バリ島の州都デンパサールは「バリ・アートフェスティバル」の巨大な舞台へと変貌します。1か月にわたり、島内外から集まるアーティストやパフォーマーが伝統芸能から現代アートまでを披露し、街は音楽・舞踊・演劇・ファッション・グルメであふれます。バリの創造力とアイデンティティを全身で体感できる“感覚の祭典”です。
ガムランのリズムが空気を震わせ、線香とプルメリアの香りが漂い、通りやステージごとに金糸の衣装や仮面、寺院傘がきらめく…。バリ・アートフェスティバルは、まさに“島の魂が生きて踊る”祝祭です。
主な見どころ
グランドオープニングパレード
フェスの幕開けはデンパサールの街を練り歩く壮大なパレード。何百人ものダンサーやミュージシャンがバロン、レゴン、ケチャなどバリ伝統舞踊を披露し、巨大なオゴオゴ人形や山車、子どもたちの仮装も加わって、島の多様な文化が一堂に会します。色と音と熱気に包まれる圧巻の光景です。
毎日のパフォーマンス&アート展示
タマン・ウェルディ・ブダヤ芸術センターでは毎日、屋内外のステージでワヤン・クリ(影絵芝居)、仮面舞踊、ガムランコンサート、演劇、ファッションショー、現代アート展示など多彩なプログラムが開催。会場を巡れば、伝統儀礼から前衛的な実験まで“バリ芸術の今”に触れられます。
ワークショップ・クラフト市・グルメフェア
バティック染めや木彫、銀細工、バリ料理教室などのワークショップも人気。クラフト市には手織り布やジュエリー、陶器がずらりと並び、屋台グルメではバビグリン(豚の丸焼き)、サテ・リリッ、ラワール、黒米プディングなど、ココナッツやスパイス、炭火の香りが食欲をそそります。
衣装とデコレーション
出演者は金糸のソンケットや羽根飾りのヘッドドレス、彩色仮面、シルクやブロケードの重ね着など、島随一の豪華な衣装で登場。会場はペンジョール(竹飾り)や花のお供え、カラフルなバナーで彩られ、どこを歩いてもフォトジェニックです。
伝統グルメ&フード
ラワール(香辛料野菜とココナッツ)、ジャジャ・バリ(米粉菓子)など、島各地の味が屋台に並びます。ココナッツジュースやバリコーヒー、アラック(米焼酎)を片手に、音と香りと味を楽しめます。
文化・歴史的背景
バリ・アートフェスティバル(Pesta Kesenian Bali)は、1970年代の観光ブームと急速な近代化の中で、バリの伝統芸術や村ごとの祭礼文化が失われつつあることへの危機感から誕生しました。当時、観光客向けに簡略化された舞踊や音楽が主流となり、本来の宗教的・儀礼的な意味や地域ごとの多様性が薄れていく傾向がありました。こうした状況を憂えたバリ州政府や文化人、芸術家たちが「本物のバリ芸術を次世代へ残す」ことを目指し、1979年に第1回フェスティバルを開催。各村の代表が伝統舞踊やガムラン、仮面劇、影絵芝居などを持ち寄り、島全体が芸術の競演と交流の場となりました。
その後、フェスティバルは年々規模を拡大し、インドネシア全土や海外からもアーティストが参加する国際的な芸術祭へと成長。バリの若手アーティストや職人にとっては、技術や創造力を発表する登竜門であり、村人にとっては祖先や神々への感謝と誇りを表現する“精神的な義務”でもあります。伝統と現代、宗教と芸術、地域と世界をつなぐ「生きた橋渡し」として、バリ社会に深く根付いています。
また、フェスティバル期間中は各村の寺院やコミュニティが一丸となって準備に取り組み、衣装や楽器、舞台装飾の多くは手作業で作られます。こうしたプロセスそのものが、バリの「バンジャール(地域共同体)」の絆や世代間の技術継承を強める役割も果たしています。今やバリ・アートフェスティバルは、観光資源であると同時に、島の文化アイデンティティと精神性を守り育てる“生きた伝統”となっています。
参加者の声
バティック体験や星空の下のケチャを鑑賞しました。衣装も音楽もエネルギーも、島中が一つになって躍動する感覚です。色彩、音、食…旅のハイライトになりました!
豆知識
- 毎年バリ島内の異なる県(レジェンシー)がホストを務め、その伝統が特集される。
- このフェスの影響で、インドネシア各地に同様の芸術祭が誕生した。
開催日程
バリ・アートフェスティバルは毎年6〜7月、デンパサールのタマン・ウェルディ・ブダヤ芸術センターおよび市内各所で開催。オープニングパレードやワークショップに参加し、島の芸術と感性を全身で味わってください。
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